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第21話 「ただいま、姉様。」

「アクアシールド!」


僕は飛んで来た黒炎の球は水の壁に阻まれ僕に熱さえ伝わらなかった。


「効かぬ、か。」


わかってたように竜は言った。


「じゃあ、今度はこっちから行くね。ドレインッ!」


僕がそう唱えると黄緑の光線が竜から僕へ流れてくる。

ほんの少しずつ力が沸いてくるような感じがする。


「ぬっ!精霊神の力が!!!」


そういうと竜は黄緑の光線をどうにかしようと足掻くが強靭な爪で自分の鱗を抉るだけで何も対処ができなかった。

時間が過ぎていくと共に竜の綺麗な鱗はどんどん黒んずんでいった。


「ぐがぁ!!ち、力が失われる!ありえん!ドレイン如きで神の力を奪うなど!」


そう竜が叫んだときには30メートルぐらいあった巨体もいまじゃ20メートルにも満たなく、

そして綺麗な赤色の目は黄色に鱗や肌は黒くなり、爪も短く濁った色のようなものに変わってしまった。


「…ここからはワシじゃな。」


そういって学園長は昔よりも強くなった魔法を唱えた。


「サイクロンアロー!」









「もうひとつだけ疑問がある。」


時は遡り霊界に行く前。

学園長は胸に手を当て聞いてきた。


「精霊神の力を奪った竜はどうなるのじゃ?」


わからない、だが、多分元の竜に戻るのではないかと思ってる。

正確に言うと精霊神の力を持つ前の状態に。


僕がそう答えると学園長は息を大きく吸い言った。


「ワシにあの竜を倒させてくれぬか?」


僕はそれを了承し精霊界への入り口を開いた。











渦巻く風の矢が竜の腹部に突き刺さる。

黒い鱗を剥がし皮膚を突き抜け渦巻く風で血肉を抉った。

あまりの激痛に竜が咆哮を上げる。  


「グォォォオオオオオオ!!!!小娘ぇ!!!!!」


それだけ言うと竜は口から紋章を出した。


「燃塵紫炎!!!」


全てを焼き尽くすような紫色の炎がミフィアを飲み込もうとするが、


「アクアシールド!サイクロンシールド!」


ミフィアがそう唱えると炎のほとんどは風の壁でミフィアに近づけず、風の壁を突破した炎は水の壁の中で消えていった。

炎を耐え切るとミフィアはまた攻勢に出た。


「サイクロンクラッシャー!!!!」


風の巨人、いや竜巻のように身体中が吹き荒れていて1500年前の風の巨人とは2回り、3回りも違う大きさの風の巨人が現れた。

巨人は竜に向かって突っ込む。

竜はぶつぶつ呟くと魔法を撃った。


「竜言:血炎!!!!」


竜の目から血が流れる。

するとその血が炎と変わりだんだんそれは大きくなり風の巨人と同じ大きさになった。


それが風の巨人とぶつかり相殺した。


「ふ、ふははっ、はぁ…はぁ、貴様の攻撃その程度なら今の我でも対処できるぞ…。」


竜の見え透いた強がりを聞くとミフィアはにやりと笑いながら言った。


「確かにワシの最上風魔法は防がれてしまったのう。

だが、今のワシはただの魔法だけではない。」


ミフィアがそういうと竜はなんだと、と言いたそうな顔でミフィアを睨みつけた。

ミフィアはそれを見てよりいっそう笑いながらも言った。


「なに、精霊魔法を教えたのはお主ではないか。」


竜はその言葉を聞くと目を閉じ笑った。


「ふははっ、我の自爆、か。」

「年を取ると嫌じゃな。ワシも自爆をした。」


学園長はそう一瞬笑って言った。


「楽に死なせてやろう。老後は楽しんだろう?」


そういわれると竜は


「ふむ、ありがたいが、ワシもあの時贈れなかった竜言魔法最大の魔法を贈ろう。」


お互い眼を閉じ集中し、長い詠唱を始めた。


「嵐からそよ風まで操る自然使い、風の精霊よ我に力を授けたまえ…。」


「炎を司るために生受け、神の魂と共鳴する竜の力、血肉を燃やして灰で鎮めろ…。」


詠唱が終わると同時に技がぶつかる。


「ストームインパクト!!!!!!!!!!!」


「煉獄死炎!!!!!!!!!!!!!!!!」


嵐のように吹き荒れる風の放射と炎に見えない黒の光線が悲鳴のような燃え盛る音を立てつつぶつかる。


「ぬおおおおおおお!!!!!!!!」

「グォォォォォオオ!!!!!!!!」


学園長と竜が力を入れるように叫ぶと互いの技はもっと大きくなった。

2つの技がぶつかっているところは互いを押すように広がっている。


最初こそ拮抗してたがストームインパクトが段々死の炎を飲み込んでいく。

それは少しずつだったが、死の炎を包む風の速度は速くなっていった。


竜の目前に達した頃、竜は力を振り絞りながらも言った。


「エルフッ、いや、レフィアの姉よ!よくぞ、ここまで……。」


そこまでいうと竜は眼を閉じ、風を迎えた。


竜は身体の半分が無くなった状態で立っていたが少しするとただの魔石になった。




少しの間学園長は魔石を見つめていたが魔石を拾った。

そしてそれを握りつぶし、砂のようになった破片を手から流した。




「お疲れ様。」


僕がそう声をかけると学園長はゆっくりこちら向き言った。


「復讐をさせてくれてありがとう。最後のお願いじゃ妹を頼む。」


僕はその言葉に頷いて返した。

精霊神の力を自分の胸の辺りに用意をし、詠唱を始める。


「リサスィティション」


胸の辺りにあった力が抜けていくのがわかる。

そして自分の魔力に制限はないと思っていたが…、3割ぐらい持って行かれるのが分かる。


僕から出た力が黄緑や黄色の光となり、学園長に似たシルエットが浮かぶ。

すぐにシルエットが直視できないほど眩しくなる。


その光が薄れると、

ふわふわとしたプラチナブロンドが最初に見えた。

そのあとに見えた手足は細く白く、すぐ折れてしまいそうな物でありながらも美しく儚げなさを感じるものだった。


学園長のぱっちりとした眼とは違い、おっとりとした垂れ眼。

胸は学園長よりも僅かに大きく感じられた。


そんな彼女は震えるような声で言った。


「ただいま、姉様。」

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