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HelloWorld -ハローワールド-  作者: 三鷹 キシュン
第三章 「王国に眠る秘密と観測者」 Episode.Ⅰ-Ⅰ 《灰色事件》
72/109

【#072】 Lord of Square Part.Ⅱ -甲邱での謁見と密会-

お待たせしました。

これから益々●王宮都編●が盛り上がるその序章が今回のPart.Ⅱまで。次話Part.Ⅲから本番ですので乞うご期待下さい!

※次週またしても仕事の都合で土曜は通常出勤と日曜日の休日はない可能性がありますので、次回は盆休みの連休になりそうです。私の休みは一応は11日からですが、どうなるやら‥‥

それでは、おやすみなさい(-_-)zzz



◇最上層 王宮都 甲邱◇


 甲邱こうきゅうと呼ばれる宮殿は――と言うよりシェンリルの街並みは白金砂丘の砂で出来ている。

 と言うのも素材【白金砂】を水で固めて素体【白金砂ブロック】という煉瓦状のブロックに変わる。形状を変えたい場合は海水で素材に戻して使う。

 素体【白金砂ブロック】の価格はシェンリル王国を中心に近隣諸国では無料タダ同然の扱いを受けているが、雨天・雨季が長い国や地域では自国以上に重宝されて高い利益を生んでくれている。耐水性に優れているだけでなく、煉瓦一つ当たりの硬度も非常に高い性能を持っていると言うのが売れ行き右肩上がりの大きな要因でもある。

 素体【白金砂ブロック】の基本色は白金砂と同じように真っ白だが、大抵の店舗は好んで灰色の水溶液を用いることが多い。店主の好みで喫茶店は白や水色、ワインやブランデーが多く置かれているバーラウンジ等には、本物の赤レンガと変わらぬ赤茶色と言う風にそのバリエーションは豊富である。


 甲邱の外装は、遠目から見ても異質な純黒の素体【白金砂ブロック】が鉄壁とピリピリする威圧感を放っているが内装はホッと一息着かせる柔らかい白色と優しげな肌色が迎えてくれる。

 正面口に立つ近衛兵が険しい視線で侵入者オレを見てくるが、―――敬礼。軽い挨拶をした後、謁見の間まで案内してくれると言う。


 甲邱は"王の住まう館"だが、国王が住むにしてはかなり縮小されて小さいと言う話だ。と言うのも元々、最上層のすべての空間が領城をこの一区画を除いて行政区や商業スペースに変えたのが大きな原因らしい。

 近衛兵からそんな話を聞くと、かなり大掛かりな物だし二年や其処らで改築出来るものではない。がそれを平然と遣って退けるところを見れば大きな魔力と魔法力の成せる業。

 と言うのもあるが、それ以前に人を動かせるカリスマ性を持っていなければ政策すら進まないだろう。自分が思っている以上にマイトさんは凄い人だと再認識させられた。


 国王と言えば多くの側近や護衛やらを着けるのが普通だが、そのすべてを自分の最も信頼に値する私兵。国王守護部隊が担当していることを聞いた。

 国を治める立場の国王に戴冠した日に貿易都市のギルドや地方に散らばっている優秀な人材をスカウト。断った者は極少数だったと言う。

 今の国王守護部隊は三つの役職が設けられており、護衛を本業とする『聖騎士』。

 筆頭と言う纏め人を任ぜられているのがあのカナタだ。と言っても【時間跳躍】で巻き戻ったこの世界では会っていないことになっているから向こうは当然俺の子とを知らないだろう。

 次に魔法研究と魔法支援の『魔導』。

 筆頭に任せられているのはレインだ。これに関しては本人から直接聞いているので問題ない。問題があるとするなら、レインを引き抜こうとしている俺自身にあるだろう。

 最後に諜報機関らしい暗部の『狩猟』。

 筆頭を任せられている者はこの近衛兵も知らないらしいが、実質上は国王の右腕と担う遣り手だと言う。マイトさんの右腕に成り得る人物を俺は一人知っている。

 嘗ての師匠クルスだ。一度死んでしまっているが為に、魂の繋がりが切れている以上はそこに師弟の関係はない。それでもまだ、俺はあの人から教えを乞いたいと願っている。

 これは甘えだ。

 そんなことは百も承知だ。それでも・・・・・・とそうこう考えている内に謁見の間に到着したようで近衛兵が敬礼して待機の姿勢をする。


 重工な扉がどっしり構えている。

 入ることを一瞬躊躇ってしまうほどの圧倒的な物を感じずには要られない。ここまで壁に使われている素体【白金砂ブロック】は肌色か白色の際立って明るい色彩が、ここに来て黒色に変わるのだから足がすくんでしまうのも分かるだろう。

 そうでなくともピリピリとする緊張感がドアと壁一枚越しから伝わってくる。



◇甲邱 謁見の間◇


 開門せよ! と言う近衛兵の申し出によって自動的に黒い扉が開かれる。

 ゴゴゴゴ・・・と唸る音から分かる通り途徹もなく重い超重量級の扉なのだろう。音も凄いが開かれる扉の分厚さは尋常ではない。近代兵器の大砲による砲撃をゼロ地点から受けてもビクともしない厚さもそうだが、使われている素材が【黒結晶】だと匂いから判別できる。

 素材【黒結晶】の硬度は、俺が一番良く分かってる。スキル【物質変換】で投擲用のナイフに変換させて使っていたからだ。この地域で採取できる最硬度の鉱石と言うのもあるが、―――重い。重量のことじゃあない。なんて言うか、甲邱の内装の中でも窮めて歴史が詰まった財産に思えた。


 七割がた開かれたところで扉は止まって視界に入ってきたのは、中央に真っ直ぐ一直線に玉座の手前まで招かれた者を迎えてくれるレッドカーペット。廊下に使われている安っぽい素体【白金砂ブロック】とは違って、床一面に敷かれた白色の大理石が高級感を印象付ける。

 謁見の間と言うだけあって、護衛騎士が一列横隊十間隔で左右に展開している。

 当然と言えば当然だが、距離を目測で見れば分かる。もしも仮に魔導師が敵として遣って来たら、どう対処するつもりなのか。自決覚悟の爆裂魔法なんざ放たれたら、一貫の終わりだろうに―――と思いはしたが一人の青年の登場で俺の戦術予想の妄想は絶たれる。


 謁見の間の玉座。その右方の幕縁から現れたのは、本人から聞いたのだから間違いないだろう。白い霊装と光輝く聖気に満ち溢れた甲冑武装は、彼が聖騎士パラディンだと示している証拠だと言えよう。

 国王守護部隊『聖騎士』所属。その中でも筆頭トップリーダーを務めるシェンリル王国最強の騎士にして現代の剣聖。下から見上げれば、トップに立つと言う風格や威厳ある表情はトレーニングのそれとはかけ離れている。まるで別人だ。


「国王は忙しい身です。

 それだと言うのに、なぜこの男を通したのか。それとも、まだ謳われているのですか、"黒結晶洞窟での英雄譚"。『魔導』筆頭のレイン様にも困ったものですな、カナタど・・・」


 唐突に塞がれた口を驚愕の表情でパクつかせる大臣。芸人にも見える顔芸は、面白いからいいけど・・・これは隠密魔法【沈黙】だと俺の左目がそう解析している。

 魔法を使ったのは、カナタだ。一瞥で魔法を的確に放てるその技量は流石は筆頭と言うところだが、相手が悪い。国の大臣の身分は、平民よりも上の筈だが―――平然と手を出すってことは彼よりも階級は上だと言うことか?

 一方的に遣られている大臣に視線の向きさえ変えない護衛騎士もアレだが、カナタの表情に怒りしかないところを見ると禁句を口にしたのだろう。と予想する。


「ヴァルトシューベルト卿、俺が敬愛するレインさんに向かって減らず口は控えて頂きたい。失礼、慎んで頂きたい。

 それに言葉はもっと慎重に選ぶべきですよ。貴方が口にしたその言葉は、罪人にかけるもの。の客人は国王の旧友にして、理由はどうあれ国を救った英雄。それを―――」


 カナタの言葉を横から遮って、玉座に重い腰を降ろすのはシェンリル王国の国王マイト=ゴルディーその人だった。

 俺にはこう言った中世ヨーロッパの仕来たりやマナーは良くわからないが、それでも一国の王に挨拶無しと言うのは些か失礼に値するだろうと思い片膝を床に。頭を下げて挨拶しようとした矢先のこと。


「構わん、楽にしてくれ!

 ヒロキよ。今、カナタが言った通りお前さんはワシの旧友だ。それに『狩猟』の暗部連中から奴隷市場での一件も知っておる。――とは言うものの、あの一件を表だって発表するものではないから上層部だけがだが。

 良く遣ってくれた。ベルのヤツも大層喜んでおった。報酬はギルド商会に用意していると―――」


「マイトさん!」


 俺は大声で叫んだ。

 誰の耳にも届くようにと声を張り上げて叫んだ声にアレだけ無視を決め込んでいた護衛騎士が頭部を傾けてレイピアの柄に手を置く。国の国王ともなれば、警戒するのが当たり前ってもんだ。

 カナタは護衛騎士を宥めるように手振りで応対するが、彼の警戒心も中々のものだ。鋭い眼が下へ向けられるそれは威嚇にとれる。

 マイトさんはそんなカナタを見て、溜め息を着いてまず大臣と護衛騎士を謁見の間から退出するように命じる。国王の言葉に逆らうような愚か者は流石にいなかったが、大臣が俺に向けてくる嫌う視線が必然的に目に入った。

 人払いを済ませたマイトさんは、カナタに目をやるが動こうとはしない。そこで咳払いをするも、やはり動じない様子を見て口を開く。口にする言葉なんて分かりきっている。だからこそ、それを口にする前に俺は先手を打つことにした。

 俺がここに来たのは、ギルド『観測者の宴』のギルドメンバーの反応を見ることでもあるからだ。国王の意見は最もだが、幸いにもカナタは自分がギルドメンバーとは俺に言っていないのだからこれ以上に好都合なことはない。


「マイトさん!

 人払いは充分ですよ。それに俺がここに来たのは、奴隷市場での一件を態々報告することではありません。俺がここに足を運んだのは、ひとつの質問に答えてほしいんです」


 これには予想し得なかったようで目を細めてマイトさんは、下がった腰を再度上げて奥に座り込む。カナタは目を閉じて半歩後退する。


「ギルドに加わる一件か?」


「いえ、違います。

 ・・・マイトさんは俺を旧友と言いましたが、それは親しい間柄と言う意味合いでですか? それとも俺の中で眠っている"龍種"の力がほしいからですか?

 レインから聞きました。俺が白金砂丘でマイトさんと出会ったことも、黒結晶洞窟で俺が一度死んでそこで更なる力を手に入れることも知っていた。つまり、それはレインが傷付くことも知っていたってことだろう!

 マイトさんは、俺の敵ですか? 答えてください」


 溜め息を着いて長い沈黙が訪れるかと思ったのだが、マイトさんは目を見開いて玉座を降りて俺の傍までやって来て何故か抱き締められた。耳元で囁くように、


「神に誓って答えよう。

 ワシは最初に白色砂丘で出会った時から、ヒロキの味方だ。信じて貰わなくてもいい。それでも・・・一国の王になろうとも、自分の言葉を曲げるつもりはない。それがワシの答えだ」


 と答えるマイトに俺は、安心しきった笑顔で「ありがとう」と言う。不思議と信用出来るのだ。それは声色や声質からじゃあない。抱き締められたからでもない。

 俺は彼よりも言葉を信用したのだ。


 分厚い胸骨が暑苦しく思う中で笑顔の俺とお礼を聞いて離れる。マイトさんは笑顔だったが、その表情に違和感を覚える。心からの笑顔と言うよりは、切羽詰まった嘘っぽい笑顔をしていた。

 カナタは未だに目を閉じて静者を気取っているが、これは違うだろう。怒りだ。何も知らされていない自分の愚かさとレインに対する悲しみが上回った嫌な静けさを生んでいるように見えた。

 カナタは恐らくギルド加入からまだ日が浅いのだろう。あの時の彼の言葉には、レインに対する愛情があるように思えた。俺の勝手な憶測に過ぎなかったが、これで四割がた証明された。


 カナタには悪いが、これで少しはギルド『観測者の宴』について分かってきた。前もってレインから聞かされていた通り、俺の件を知っているのは中枢。それもギルド発足に関わる上層幹部だけ。

 ジャーの言葉をさらに踏まえるならば、俺が転生者ではなく新生者と言う有りもしない幻想を完全には信用してはいない。それでも万が一、その答えが真実ならマイトさんは少なくとも一つは嘘をついていることになる。

 そして何よりも俺に近づいて囁くという行為そのものがそうだと証明しているようなもんだ。そうしなければならない理由は、・・・違う。そうじゃない。あれは嘘の証明にはならない。マイトさんは―――、

 一つの答えに行き着いたところで左側の幕縁から顔馴染みの人物が現れた。レインだ。


「もう大丈夫。

 大掛かりな結界は張れないけど、小規模で強力な結界術式を魔導書で発動したから発言が郊外に漏れる心配はないです」


 レインにそう言われて左目の解析を使って漸く分かる本当に小規模な術式が発動していることに気付く。

 もし、この場にカルマがいたならもっと早くに分かっていたかもしれないが・・・それよりも、何故この場にレインが現れるのか? そっちの方がよっぽど気にかかる。

 発言が郊外に漏れる・・・? それは国王になった立場上で何者かによって監視されている。と言うそういうことなのか。


「助かったぞ、レイン。

 さてヒロキよ。もう時間がないから二度は言わん。心して聞いてくれ。

 ワシ等が組織したギルド『観測者の宴』は、御伽囃の世界で語られる"最古の英雄"が組織した歴史上最も古きギルドだと言えよう。

 世界の秘密を明かす。と言うことは即ちは歴史を知ることであり、別の意味合いで禁忌を知ると言うことでもある。故に我々は連盟側と不仲な状態にある。

 ギルド連盟については知っているな。すべての職業組合だけでなく、個人が組織したギルドを束ねて支援と繁栄を約束される一方で奴等が行っているのは世界の秘密を隠蔽することにある。

 奴等は知っているからだ。そしてワシ等も知っておるのだ。ヒロキもそれを知ったからこそ、ワシに答えを求めたのだろう?

 創成期と言う歴史に隠されたキーパーソンを匿うには、あの方法しかないと考えた。それが例え、鬼の道であろうとも必ずこの国に辿り着くことを願って待つことを選んだのだ」


 そう言うことか。

 ギルド連盟がすべてのギルドを束ねているのだとすれば、当然祝い事や大きなイベントには参加する。英雄祭がクーデターで無惨な結果に終わると知っていたからこその対策も、俺を水晶洞窟に進ませたのもただの偶然じゃない。とすれば納得がいく。

 それでも、もっと他にも遣りようがあったんじゃないのか? 一度命を落とすことも予測していたなら別の手段があってもおかしくないだろ。

 悔やんでも悔やみ切れない俺の心情も無視して、マイトさんは話を続ける。


「・・・・・・最後にこれだけは話しておこう。

 もう気付いていると思うが、この国の地下に大国アダマンナイトが眠っている。それを長年守護するべくのちの時代。途絶えた王族の眷族たちは巨大な魔法力で大国を隠すためにダンジョンを作った。

 魔窟、鬼の第百層、黒結晶洞窟、水晶洞窟。白金砂丘を最後に創造して集落を作った。それが後の貿易都市シェンリルであり、シェンリル王国。

 眷族たちは、何時しか戻ってくるであろう王族の帰りを待って家名をその身に刻んだ。それが元領主セラフのアンドリュー家。ここはお前の故郷なのだ、ヒロキよ」


 ダンジョンを作った?

 俄には信じられない。それ以前に大国アダマンナイトには、俺が知っていること以上に大きな秘密が隠されているのだろうことがその話から容易に分かってしまう。

 ダンジョンを作ったのは、大国アダマンナイトの場所が知られても容易に近寄らせない防衛措置だろう。そこまでして、王族の帰りを待つなんて古代人の考えは少々理解できないところがあるが割りと嫌いにはなれない。

 レインの話では、セラフ=アンドリューは既に他界していると聞くが・・・


「アンドリュー家は、まだ滅んではいない。

 長女のシルファはここから北西。ホクオウ興国の大英図書館で司書を務めている。

 三女のジーナはこの国の騎士団。流星騎士団第四師団に所属している。会いたければ紹介状を渡そう。

 ―――密会はここまでで良かろう。ヒロキよ、スマン。これが今できる最善の手なのだ。ワシを信用しなくともいい。しかし、お前さんの味方であることは嘘ではない」


 結界術式が解かれた謁見の間で語れた一つの答えから紡がれた秘密を俺は、守らないといけない。

 これはもう俺だけの問題ではないからだ。王族の帰りを待った眷族の想いまで踏み潰すことは出来ないし、俺は答えを尋ねる義務があるように思えた。

 さてと。相槌を打って話題を変える言葉に映ったのは俺自身の今後に纏わることだった。


「さてと、レインを仲間として連れていくのは構わん。ワシ、一個人としてはな。

 しかし国王としてはどうだ? 優秀な人材が国から失われることは大きな損失だ。そこでヒロキには剣舞祭で己の強さをアピールしてもらいたい。それと幾つかの問題事を解決してもらいたい」


 ああ、やっぱりそんな話になりますよね。

 国王守護部隊『魔導』の筆頭になっている時点で一国の戦力としてもだが、何よりもレインは薬師でもあるのだ。この損失は痛手で済むわけない。下手をすれば国の存亡にも関わってくるだろう。

 これに対してレインが説明する。


「わたしも含めてヒロキの本当の力はまだ誰も知らない。剣舞祭は地方から強者を集めて、その中で『剣王』を決める伝統的な闘技演舞。剣王になれば知名度は急上昇する・・・つまり、わたしを引き抜くだけの付加価値がヒロキに与えられても可笑しくないということ」


 知名度ね。

 確かにとある一部の連中は、俺のことを開拓世代の転生者だと思ってるし大きな舞台で自己アピール出来るなら剣舞祭は丁度いい機会チャンスでもある。

 納得する俺に言葉を続ける。


「幾つかの問題事なんだけど、・・・実はね。

 この剣舞祭には参加資格。三十連勝の他にもすべてのイベントにおいての基本があって。ランクE以上の冒険者に限られるの。

 ―――だから一週間後から始まるランク昇格試験に合格することが必須事項。それと、あとは・・・」


 え!? ナニそれ、聞いてないんですが。

 確かに登録済ませたばっかで最低ランクFだけど、そんな説明受けて~~ああそうか。説明受けるどころの騒ぎじゃなかったからか。


 レインは、マイトに視線を仰いだのを受けて『ふむ、そうだな』そう言ってマイトが続ける。


「これはクルスとワシからの提案でな。

 複数の依頼即ち、クエストを達成してもらいたい。先程も言ったがレインに抜けられると国にとっては損失でしかない。

 発注は既に済んでいる。『赤ガエルと青ガエル』これは甲邱の研究所所長ヘレンからの依頼だ。『百年蟹の熟成肉』これは飲食店「大喰らい」の料理長クーパーからの依頼。最後に『剣王の指輪』これはレインからの依頼だ。それぞれの依頼主に会って内容を聞くようにな」


 最後の依頼主がレインというのも驚きだが、当の本人は何時もの明るい表情のまま謁見の間を後にするのだった。


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