表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
27/128

1 自国と他国の子供達

 バルデハイム王国の王である私は他国の令嬢達と面会している。壁側には騎士達が並び、主要な武官文官貴族達が集まっている。


「私達を助けてくれてありがとうございます。改めて自己紹介をします。私はマユーラ。エルドラージ王国、オルクーム公爵家の者です。隣はユーガムス伯爵のフレデリーア。そして私の妹のシャルロッテです。保護していただいて感謝します」


 薄い金髪の長い巻き髪が特徴の令嬢が、代表して話す。他国から来た三人の令嬢が頭を下げた。


「バルデハイム王国の王として当然の事。エルドラージ王国に使者を出すので、その方らの家族に無事を伝えておこう。迎えが来るまでゆっくりしておいてくれ」

「ありがとうございます。バルデハイム国王陛下」


 今回の訪問は公式なモノではない。公爵令嬢の話を聞く限りでは誘拐されたとの事である。

しかし真実は違う。令嬢達は『空を飛ぶ箱』に乗って国境を越え、不時着し、そのときに盗賊に捕まり、他国に売る為にアジトの牢屋に入れられたとの事だ。

 この事を調べた者はアルムエルグが令嬢達の話を盗聴して、ゴーイングが纏めた内容である。

流石に令嬢達の会話を盗み聞きする事をアルムは良い顔をしなかったが、父である先王が「任務だ」と言って強制した。

 しかし空飛ぶ箱とはどういう意味だ? アルムエルグに聞いてみたが良くわからない。令嬢達も詳しく話していないし、アルムエルグに空飛ぶ箱がある場所に行ってもらっても、そのような物はなかったそうだ。

 ……令嬢達が嘘を言っているのか、それとも他国の者に回収されたか。

 回収されたとなると、エルドラージ王国の密偵が王都に居るという事になる。その事を考えていると、アルムエルグ「複数の密偵が王都に居ます。流石に城には侵入していません。エルドラージ王国の密偵の一人は報告に帰ったようです」と言う。

 頭が痛い。アルムエルグからの報告を受けた私達は、密偵対応を考える事になる。エルドラージ王国の密偵がいる現状をどうにかしなければ。

 それよりも他国の令嬢達だな。三人には何事もなく無事に戻ってもらわないと。その為の人選も考えてある。


「その方らにはドックライム公爵夫人を相談役としてつける。公爵夫人は神聖魔法の使い手でもあるが、学院の教師もしていた。勉強を見てもらえるはずだ」


 ドックライム公爵夫人はミリアリアの教師役もしてくれているので、学院で教師をしているというのは虚偽だが、箔が付くから良いだろう。


「勉強を見ていただけるなんて嬉しい事です。エルドラージ王国では学べない事を教えて頂けそうですね」

「それに王妃もお主等をお茶会に招きたいそうだ。迷惑かもしれぬが良いだろうか?」

「王妃様とお茶を出来るとは、喜んでご招待頂きます」

「紹介しよう、王妃のエルリーシャだ」

「よろしくお願いしますね。他国の令嬢方とお茶をする機会なんてありませんから、招待出来てうれしいわ」

「こちらこそ、よろしくお願いします。エルリーシャ様」


 今回は王妃にも協力を求める。自然に情報を集めるにはお茶会が良いだろう。


「娘のミリアリアだ。歳が近いから話が合うと思ってな」

「初めまして、ミリアリアです。シャルロッテ様とは同じ歳ですね。よろしくお願いします」


 シャルロッテが王族である事はアルムから聞いている。しかしエルドラージ王国の王族にシャルロッテという名前はない。恐らく偽名、もしくはオルクーム公爵の娘にシャルロッテという名前があるのかもしれない。


「よろしくお願いします」

「申し訳ありません。妹は人見知りで、初対面の方と喋る事が苦手なのです」


 必要最小限しか喋らないシャルロッテを擁護する公爵令嬢のマユーラ。


「気にする必要はない。そして私の息子のベルファルトだ。息子とも仲良くしてくれ」

「初めまして、マユーラ殿、シャルロッテ殿、フレデリーア殿。バルデハイム王国、王太子のベルファルトだ。よろしく頼む」


 本当はベルファルトを他国の令嬢達の前に出す予定はなかった。まだ勉強中で心を入れ替えているとは思っていないからだ。しかし他の貴族達が、


「ミリアリア様が参加するのですから、王太子であるベルファルト様も参加しなければ不公平でしょう。それにベルファルト様を紹介しなければ相手が不愉快な思いをするかもしれません」


 という言葉で仕方なく参加させた。だがベルファルトよ。お前は王子であって王太子ではないぞ! 王太子の儀をしていないだろう! 何を勝手に言っている! 

 王妃や周りの者達が表情を硬くしたぞ! 気付いて……いないな。

 他国の者が居るのでベルファルトを叱る事が出来ん。本当に勉強をしているのだろうか? 教師に詳しく聞かなくては。それに他国の令嬢達を呼び捨てにするな!


「あと皆を他の者達に紹介する為に歓迎の宴を開こう。そなた達の疲れが取れたら開催しようと思うが大丈夫だろうか?」

「ありがとうございます。助けて頂いた上、皆様に紹介して頂けるとは。ですが私達にそこまでして頂かなくても」

「心配ない。三日後くらいに開こうと考えている。それくらいあれば疲れも取れているだろう」


 本音は準備に三日くらいかかるからだ。招待客も集めて令嬢達には我が国の事を、本国に知らせてもらわないといけない。我が国の武力や財力を伝えてもらえば、相手が慎重になるかもしれない。

 だが密偵の事もある。……アルムに簀巻きにしてもらうか。


「宴の為に疲れを癒してくれ。ドックライム公爵夫人よ、客人達を部屋に案内してくれ」

「かしこまりました、陛下。では皆様、こちらへ」


 ドックライム公爵夫人が令嬢達と一緒に退室した。さて、これからは説教タイムだ!


「ベルファルトよ、お前は王子であって王太子ではない。王太子の儀を受けた者が王太子になるのだ。そんな事も分からないのか!」

「し、しかし、私が王太子だと、皆が言っています。私が国王になるのだと」

「誰がそんな事を言ったのだ!」

「アルムです! アルムが言いました!」


 ……アルムが言った? そんな事を? いつ言ったのだ?


「半年くらい前です! アルムが言いました!」


 半年前? その時期はアルムを学友から外した時期ではないか? 


「アルムとは半年以上前から会っていないだろう、嘘をつくな! それにアルムが言ったのだとしても、王子のお前が王太子の意味を知らないのは勉強不足だ! 馬鹿者!」


 俯くベルファルト。本当に反省しているのか? 勉強の進捗や内容を教師に聞いておくべきか? ……今回の件が終わったら考えよう。


「エルリーシャよ、明日くらいにお茶会を開いてはどうだ?」

「そうですね。明日ではなく明後日なら大丈夫と思います。それよりもパーティー用の衣装を準備しないといけません。さすがに一から作る事はできませんから、既製品で合わせないと、それに普段着や日常品の用意をしないといけませんね。ドックライム公爵夫人と話し合いをしないといけません。その用意をしますので退出しますね。ミリアリア、手伝いなさい」


 そう言って王妃は娘と一緒に退出をする。

「これから忙しくなるが、団結して乗り切るぞ!」


 そう言って私は息子と一緒に退出をする。息子には礼儀作法をパーティーまでに学ばせなといけないな。側近に言って私は執務室で、今後の事を考える為に宰相達が来るまで、書類を処理した。




閑話 姫様頑張る 学友ファム視点



 ミリアリア様の学友となり、ツッコミ技術が上がっているファムです。淑女としてもっと他のスキルを上がって欲しいのです。


「ミリアリア様、今日の予定ですが」

「ファム、どうすればアルム様と二人で街中デートが出来るでしょうか?」

「……それよりも今日の予定を聞いてください! 今日の授業は」

「アルム様と広場で待ち合わせして、待っているアルム様に「お待たせしました!」「私も今来たところだよ」と挨拶を交わして、手を繋いで劇場まで会話をしながら歩き、今話題の『子爵令嬢と男爵子息の愛欲』を観て、夕食は今話題のレストランで食事して、星空の夜景を見ながら二人で見つめあって、私が目を閉じると、アルム様が……」

「ミリアリア様、願望という名の妄想は止めてください! そんな事よりも今日の予定です!」

「今日の予定にアルム様との交流はありますか?」

「ありません、先日のお茶会で毒吐いて心に残る傷を作ったのですよ! 休養期間が必要ですから当分は無理です!」

「ではお見舞いに……」

「お見舞いではなく、今日の予定です! それに話題の『子爵令嬢と男爵子息の愛欲』って何ですか! それって十五歳以下は見ては駄目な劇でしょう!」

「年齢を偽ったら見れるって……」

「駄目です! 嘘は駄目です! 王族が嘘ついてまで観るモノではありません! それよりも今日は」

「そうだわ! 今回も偶然のようにアルム様とバッタリ出会ったらお話が出来るわ!」

「今日はアルムエルグ様の登城はありません! お屋敷で養生中です!」

「ではお見舞いに行きましょう!」

「お見舞いよりも今日の予定です! 勉学に神聖魔法の訓練、マナー教育や同年代とのお茶会があるのです! お見舞いなんてする時間はありません!」

「……全部終わらせたらお見舞い行けるかしら?」

「無理です。ドックライム公爵家に訪問を伝えていません。いきなりの訪問はマナー違反です」

「神聖魔法の師匠であるドックライム公爵夫人に用があると言って行くのは駄目かしら?」

「駄目です!」

「側近の誰かにお見舞いに行ってもらうのは?」

「もう行っています。エリスお姉様がお見舞いに行っています」

「私も行くわ! エリスと同行する! どうして私抜きでアルム様のお見舞いに行くの!」

「毒を吐くからに決まっているでしょう! 絶対にお見舞いなんかに行かせません! 王妃様にも許可を貰っているので勝手な事は出来ませんよ!」


 上目遣いで目をウルウルさせても効きません。周りの側近達にも効かないので問題ありません。


「もうすぐ先生が来ますから準備してください」

「そうだわ! 私が体調を崩してアルム様がお見舞いに来てくれたら良いのよ! 今日は気分が悪いから寝込みましょう」

「そのような事をしたら、王妃様とドックライム公爵夫人に言って説教させますよ! 良い子にしていないとアルム様と会わせませんよ!」

「はい……」


 朝から疲れました。……本当に。





誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんかそういう設定だから仕方ないのかもしれませんけど、大人たちがろくな対応をしていなくてアルムの心情をケアする人が誰もいなくてその働きを搾取する人ばかりなのが憂鬱になってきます。
2022/11/22 12:59 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ