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十二歳③

 失敗した。まさか後方で酒を飲んでいる奴が敵国の大将だとは。そんな奴だから気絶させて拉致ってきたのに……。失敗したよ。任務を受けて王都から走っている途中でショートカットに気づいて山を突破して目的地である敵軍の裏側の指定されていた道の崖を力一杯殴って崖を壊して道を塞いだ。一ヶ所だけだと撤去されると思ったから三ヶ所の崖を壊して帰ろうと思ったけど、陛下達は信用してくれるのか?と思った。だから敵兵のお偉いさんを拉致って証拠として持って帰ろうと思ったら……敵の大将だなんて。

 お蔭で先王陛下に怒られた。「勝手に戦争を終わらせるな!」と必死に言い訳をしたのだけど流石は年配者だから言い訳なんて効かなかった。陛下達の相談の結果、敵の大将は騎士団長の隠密奇襲部隊が捕縛した事にして、騎士団長は敵の大将を連れてルックナー砦に行く事になった。宰相は騎士団長と相談して援軍の他に物資や文官の手配を始める。……宰相は戦争が終わったと思っているようだ。

 そして数日後には敵軍が降伏して勝利したと聞いた。敵の大将が捕まり、撤退しようとしても国に通じる道が塞がれ袋のネズミとなった敵軍は後方から攻められて、対応をしたが食糧や物資の不足等で降伏した。

 敵国を撃退したルックナー砦の責任者は爵位が上がり伯爵となる予定だ。ロックマイヤー=マクガイア伯爵となった。マクガイア?確かミリアリア様の学友のファムさんの名字がマクガイアだったような……。今度会ったら聞いてみるか。

 その後、貴族や騎士達の身代金をヨーテンボリー王国に請求する予定だったのだが、そのヨーテンボリー王国が他の国に攻め込まれて国が滅んだ。ヨーテンボリー王国の隣国の国、エルドラージ王国に攻め込まれてあっという間に滅んだ。王侯貴族達は捕まり監禁もしくは人質とされたそうだ。

 エルドラージ王国の魔の手から逃げ出したヨーテンボリー王国の貴族達がバルテハイム王国に亡命を希望したそうだが、陛下や宰相達はそれを拒否して叩き返す。

 一番困った事はルックナー砦を攻めて負けた捕虜の対応だ。ヨーテンボリー王国から身代金が取れないから陛下達は捕虜を開放する事にした。しかし国に戻っても他国に責められて敗国となり、戻ればエルドラージ王国の軍に捕まる。捕虜だった貴族達も亡命を希望したが却下して敗国に返した。

 宰相は身代金が取れなかった事にため息を付き、騎士団長はエルドラージ王国から国を守る為にルックナー砦に兵を送って対応をする。

 陛下達も今後の対応に忙しく、暇なのは子供だけだろう。その子供は勉強中で悪質な学友の嫌がらせに嫌気がさしている。……学友辞めよう。





 バルテハイム王国の宰相であるゲックハルトは頭を抱える事になった。問題の主は命の恩人である小さき守護者。ドックライム公爵家のアルムエルグ殿に関する事だった。

 陛下と話して褒美をやる事にしたのだが褒美を辞退して「ベルファルト殿下の学友を辞めたい」と言った。その言葉を聞いて陛下は理由を聞く。


「ベルファルト殿下達、学友関係が上手くいかず、私が居ない方が良いと思ったのです」

「その様な事はないぞ!アルムエルグが居るからベルファルトは真面目に勉強をしているのだ!教師もお前の事を褒めているではないか!」

「しかし私が居ても居なくても一緒です」


 先日、バルテハイム王国極秘の騎士に任命しようと思っていた事だった。アルムエルグ殿の速さだけも重要で彼が居ればルックナー砦に極秘の書類を三時間で持って行ける。ヨーテンボリー王国を滅ぼしたエルドラージ王国がいつ攻めて来るか分からない状態だから彼の速さは必要になる。

 速さだけではない。私の命を守ってくれた護衛術、敵を無力化する力、必要な人材でもあり、ベルファルト殿下の学友として王子を守ってくれる存在だ。その者が学友を辞めたいと言う。


「公爵は知っているのか?伝えたのか?」

「父上にはまだ言っていません」

「では、保留としよう。私が公爵に連絡をするからもう少しだけ待ってくれ!」

「わかりました。失礼します」


 結局、褒美は貰わず仕舞い。私は陛下と頭を抱える事になった。騎士団長のダムボックスも考え込んでいる。彼はアルムエルグ殿の強さの秘密を知りたくて、今日をその機会としていたのに、話せる雰囲気ではないので彼に話さなかった様だ。


「どうした、三人共。アルムはどうした?私の話し相手になって貰おうと思っていたが」


 陛下が先王陛下に理由を話す。それを聞いてため息を付いて呆れながら言った。


「盆暗ども、どうして隠居している私の方が周りの事を知っているのだ?明日の勉強しているアルム達を蔭から観察してみろ」


 そう言われて部屋を退出する。私達は明日のベルファルト殿下達を陰ながら見た。


「アルム!どうしてこんな事が解らないのだ!」

「ベルファルト殿下、この問題は先日出された問題の応用です。だからアルムエルグには解らなかったのでしょう。この程度の応用が出来なくて学友が務まるとは情けないと思わないのですか?」

「デーデルの言う通りだ。少しは頭を使え!」

「申し訳ありません、ベルファルト殿下」

「こんな奴で学友が務まるのだからコネは楽だな」

「お前も間違っているではないか、ラーブス」

「すいません。訓練に忙しくて予習が出来なかったのです」

「まぁ、良いだろう。次の問題は間違えるなよ!」


 どうなっている? これが勉強をしている空気なのか? 一人を悪者にして残りが責める。教師も注意をしているが聞いていない。私の息子は何を言っている。公爵家子息の頭を叩くな! 殿下の勉強に何を口出しして教えている! 殿下は考えていないで書き写しているだけではないか! 殿下に媚びを売って何を喜んでいる!


「アルムエルグ、どうしてこんな事も知っていない。勉強不足ではないのか?」

「すまない、この場所はまだ予習していなかった」

「殿下の学友ならこの程度の事くらい知っていて当然だろう。これだから欠陥魔法使いの無能と言われているんだ!」

「欠陥魔法使いは事実だが無能は言い過ぎだろう」

「事実だから仕方ないだろう。無能でないと言うなら私よりも勉強が出来る様になれば良い。そうだろう?」


 私の息子は何を言っているのだ! アルムエルグ殿を呼び捨てにして、無能呼ばわり! 今すぐ愚息を殴ってやりたい! 彼は演技をして勉強が出来ないフリをしているのに!

 息子を殴ろうと思って部屋に入ろうとしたが騎士団長に止められた。騎士団長も怒っている。彼の息子もアルムエルグ殿に文句を言っているのだ。本人はアルムエルグ殿よりも勉強が出来ないのを棚に上げて。私よりも気が短いダムボックス騎士団長も我慢しているのだ。私も我慢しよう。

 勉強が終わって今度は剣の訓練の為に訓練場に行く。そこで見たのはアルムエルグ殿が騎士団長の息子との模擬戦だった。彼は身体強化の魔法を使ってアルムエルグ殿と戦っている。アルムエルグ殿の手加減で上手く弱いフリをしていて剣が飛ばされる。剣が手元に無くなったら負けなのだが、騎士団長の息子は最後に腹を殴る。


「おい、剣を飛ばされた、時点で、負けだろ」


 痛みを抑えながらアルムエルグ殿が言う。


「何を言っている。真剣勝負では剣が無くなったら死んで当然だろう。お前が弱いからオレが鍛えてやっているんだ。手加減をしたからまだ戦えるだろう!ほら、立てよ!」


 蹲っているアルムエルグ殿を蹴って起こそうとする騎士団長の息子。


「二人とも!模擬戦は禁止しただろう!どうして模擬戦をする!」


 若い騎士がアルムエルグ殿を庇う!


「殿下の命令だ! アルムエルグを強くする為には模擬戦が一番だろう。平民ごときが引っ込んでいろ! それとも何か? 命令を無視してオレに楯突くか? そんな事をしたらどうなるか分かっているのか?」


 騎士団長の息子が若い騎士を除けて再度アルムエルグ殿を蹴ろうとするがアルムエルグ殿が立ち上がって言う。


「平民ごときと言うのを止めろ。彼は私達よりも位が高い騎士だぞ」

「平民とオレ。どっちが偉いかなんて貴族のオレに決まっているだろう。立ったのなら模擬戦の再開だ!」


 今度は私が騎士団長を止める役になった。息子のデーデルは何をしているのか見ていると椅子に座って本を読んでいる。その横に居るベルファルト殿下はそれを見ていて言った。


「またラーブスの勝ちが。アルムももっと頑張れよ!そんな事では私に勝てないぞ」

「仕方がありません。彼は運動神経が悪いですから。本当に無能な人ですね。どうして学友にされたのですか?」

「父上の命令だ。仕方がないだろう。お前達が言う通りアルムを学友から外させようと考えたのが、アイツは公爵家の者だから無下には出来ん。仕方ないから当分は学友だな」

「私も父上に言っておきましょう。アルムエルグの無能さを」

「そうだな、私も父上に進言すれば辞めさせる事が出来るかもな」


 この言葉を聴いた私と陛下は訓練場に入り込んだ!


「ベルファルト!何をしている!」

「デーデル!アルムエルグ殿に何と言った!」


 そして騎士団長は二人の模擬戦の間に入り言う。


「模擬戦が希望なら私が相手になってやる。アルムエルグ殿と模擬戦をしたルールで倒れても殴っても良いのだったな」


 そう言って息子に模擬戦を仕掛けて殴り飛ばしている。


「今日一日、お前達の勉強を見ていたが何を考えている!この馬鹿者が!」

「デーデル!アルムエルグ殿になんて事を言っている!これほど怒りを感じた事はない!」


 私はデーデルを殴り飛ばして言う。昔はこんな性格ではなかったのに! どこでこんな曲がった性根になったのだ!


「ほら! 立て! 今度はお前を庇う者は居ないぞ! お前ごときが騎士に命令をするとは!」


 騎士団長は息子を剣で叩きつけ倒れても蹴っている。よほど頭に来ている様だ。


「ベルファルト! アルムになんて事を言っている! お前達は友人同士だろう! どうして友を傷つけるのだ!」

「傷つけているのではありません! アルムの為です! アルムが成長するには責めた方が成長すると言われたのです!」


 自信を持ってベルファルト殿下は陛下に言う。誰がそのような事を言ったのだ!


「誰が言ったのだ! そんな無慈悲な事を!」

「ラーブスとデーデルです! 彼らは私に言いました。アルムが賢く強くなる為に必要な事だと」


 私の息子はそんな事を言ったのか!何を考えている!


「デーデル! 貴様は! 何という事を! お前は剣術が苦手だったな! だったらアルムエルグ殿の様に鍛えてやろう! 勉強? そんなモノよりも剣術で騎士団長の息子に勝つまでは何もさせんからな!」

「ラーブス! 貴様の本音は分かった。だったらお前の言う通りの勉強をさせてやろう! 宰相の息子に勝つまで地獄を見せてやる!」

「ベルファルト! 貴様も当分は一人で勉強しろ! 教師には理解するまでは何をしても良いと伝えてやる! それに私も時間を割いて勉強を教えてやる! お前の希望通りにアルムを学友から外してやろう。今のお前にはアルムは勿体ない!」


 子供達を説教していると先王陛下が訓練場に入って来た。


「とりあえずアルムと医務室に、いや私の自室に運ばせて治療させるから、説教が終わったら来い」


 ゴーイングにアルムエルグ殿を背負わせて三人とも訓練場を去って行く。陛下はベルファルト殿下を自室に戻し、私と騎士団長の息子達は。


「お前達は此処で立ってろ! そこの者! こいつらが動いたら殴って良い! 一歩でも動いたら殴れ! 便所にも行かせなくて良い! 我慢させるか、その場でさせろ! これは命令だ! こいつらは私達が帰るときまでずっと立たせておけ!」


 騎士団長が周りの騎士に命じて二人を立たせた。私も同じ事を言おうとしたがダムボックスが先に言ったので私も周りの騎士達に言う。


「私達が戻るまで絶対に立たせて動かすな! 剣で殴っても文句は言わんし、気絶したら水をかけて起こして立たせろ! 分かったな! 自分達が行っていた事を解らせる為だ!」

「分かりました!」


 周りの騎士達に言って私達も先王陛下の自室に行く。


「アルムエルグ殿に何とお詫びすれば良いのか……」

「私も一緒の気持ちだ。昔は真面目な子だったのだが……」

「私の子もそうだった……」

「何がいけなかったのか……」


 仕事をしていても子供を大事に育てていたつもりだった。確かにその数年は忙しくて息子と話す事は少なかったかもしれないが、歪んだ性格になっているとは思っていなかった。家族会議をしないといけないな。息子の性格を矯正する為に妻に任せるのではなく私も動かないといけない。

 その様な考えをしていると先王陛下の部屋に着いた。ノックをして部屋に入る。部屋では先王陛下とアルムがお茶を飲み、後ろでゴーイングが立っていた。


「アルムエルグ殿、怪我は大丈夫なのですか? 殴られた所の傷は?」


 ダムボックスが心配そうに言う。私も心配をしていた事だ。


「大丈夫です。痛がったフリをしていたので。怪我もありません」


 そう言って殴られた所を見せるが……怪我も痣もない。


「こいつは騎士に剣で切られても傷が付かないように身体強化を施している。子供の力で傷が付くはずがない。しかし本当に演技が上手いな」

「何年も手加減して演技していますから」


 明るく言うアルムエルグ殿。何年ってそんなに殴られていたのですか!ベルファルト殿下にもやられていたのですか!


「ちなみにだが、お前の息子から魔法を放たれても当たっても平気だったそうだ」


 先王陛下が私に言う。息子は恩人に魔法を当てたのか! アイツは何を考えている!


「アルムエルグ殿、誠に申し訳ない。デーデルの教育を間違えた様だ。必ず矯正させるので」


 そんなやり取りをしていると陛下が部屋に入って来る。


「アルムよ、学友の件。すまなかった。学友の辞退だが辞退すればお前の将来に傷が付くかもしれない。ベルファルトは学院に入るまでは一人で勉強させるが、アルムには今のまま学友を続けてほしい。公爵に心配をさせたくない」

「では私は王宮に来る日は何をすれば良いのでしょうか?」

「アルムには私達を助けてほしいのだ。現在、国内外で様々な事が起きている。その対応にアルムも手伝ってほしい」


 考え込むアルムエルグ殿。子供にその様な仕事をさせるとなんて無理だと思うがアルムエルグ殿の能力なら役に立つ。


「私には出来そうにないのですが……。子供ですから」

「確かにアルムは子供だが私達を助けてくれた小さき守護者だ。その力で私達を助けてほしい!」


 考え込んでいるアルムエルグ殿に先王陛下が言う。


「アルム、これは極秘任務だ。国のトップが極秘任務を与えるのだぞ! 貴族として、男として誇っても良い任務だ。それなのに何を考えている?」

「……極秘任務は嬉しいのですが、家を留守にする可能性があるので叔父に相談をしないといけないと思ったのです」

「屋敷の事なら城で寝泊まりをするか?どうせ一人だろう?」


 一人とはどういう意味でしょうか?確かにアルムエルグ殿の家族はローデンファング公国に行っていて、兄は宮廷魔術師の寮にいるはずだ。それなのに一人ってどういう意味なのだ?


「屋敷には王宮で寝泊まりをして偶に帰れば良いのではないか?どうせ離れにはほとんど人が来ないのだろう?それにこちらの方が食事も美味いぞ」

「そうですね。ではその様にします。叔父に伝えよう……」

「宰相が全部段取りする。お前は着替えと私物を持って来るだけで良い」

「分かりました。お願いします」

「部屋は……どこが良いかな? 流石に宮殿は駄目だろう。……客間の一つをアルムの部屋にするか?」

「私の仮眠室を使ってはどうでしょうか? 仮眠室とはいえ広いし陛下や私と会いやすい場所です。私の仮眠室は他の場所に移してアルムエルグ殿に使ってもらうのはどうでしょうか? 宰相の仮眠室ならアルムエルグ殿の秘密も守れるでしょうし」

「しかしその様な場所にアルムエルグ殿が泊まっては周りが何か言う可能性があります」


 確かにそうだな。なら他の案を……。


「ゴーイングの隣の部屋で良いのではないか?何かあればゴーイングに頼めば良い。後は食事や掃除洗濯を任せられる専任の侍女を付ければよいだろう」

「分かりました。そして表向きには学友としてベルファルト殿下と勉強をする為、内実は極秘任務の為ですね」


 アルムエルグ殿が嬉しそうに言う。……前に聞いた様に本当に内密とか極秘とかが好きなのだな。こういう所は子供だな。そして私達は先王陛下の部屋を出て仕事に戻る。アルムエルグ殿の部屋を用意して専任の侍女の用意をしなければならない。アルムエルグ殿が落ち着いて生活できる基盤を作らなくては。


「そういえば、先王陛下が変な事を言っていたな。家には誰も居ないと」


 ダムボックスが私達に言う。私も気になっていた事だ。


「ゲックハルト、ダムボックス。ドックライム公爵家を少し調べてくれ。噂の出所の件もあるからな。何かあるのではないかと思う」

「分かりました」


 そう言って私達は仕事に戻った。





 私はミリアリア様の学友であるコレート・ギンガム。ミリアリア様は神殿で生活をしながら神聖魔法の修行をしていて、学友である私達も神殿で生活を共にしています。しかし私とファムは週に一度のペースで屋敷に帰る事が出来ます。

 一週間ぶりに屋敷に帰ると目を疑う出来事に出会いました。愚弟が屋敷の客間で男性教師と勉強をしている。本当に目を疑いました。


「この程度が解らないとはなんて子供でしょう。このような方が殿下の学友だったとは」

「チィ」

「舌打ちはしてはいけません」


 ビシィと鞭で叩く教師。愚弟を鞭で叩くなんて!


「痛てぇ!」

「口が悪いです!」


 再度鞭で叩く教師。勉強をしている事にも驚いていますが、その弟を鞭で叩いてくなんて……。


「コレート様ですね。初めまして、ラーブス様の教師で勉強と礼儀作法を教えています。今後ともよろしくお願いします。では勉強中なので詳しい紹介はまた後で」


 私に礼をして弟の勉強を見る。そして間違える度、言葉使いが悪い度に弟は鞭で打たれている。呆然と見ていると父が帰って来た様だ。


「今戻った。コレートも御帰り、ミリアリア様の学友として頑張っているか?」

「はい、子爵家の娘として無様な事はしていません。それで質問なのですが……」

「その質問は後で聞こう。まずはラーブスの事を聞かないといけない」


 父はラーブスと教師から話を聞き、ラーブスを殴った。


「この程度が解らないとは情けない。口調も礼儀も悪い。お前の様な馬鹿で無能が貴族と名乗るとは他の貴族を馬鹿にしているな。まだお前の腐った性根を治すにはまだまだ荒療治が必要だな。お前から殴られた使用人達の話を聞けば「上位の貴族に逆らうな」だったな。ならばお前も上位の者に逆らったらどうなるか分かっているだろう!お前が言った言葉だ!分かっているな!」

「しかし!」


 弟が反論しようとして父に殴られ椅子から倒れる。


「黙れ!私はお前よりも上位の人間だぞ! 逆らうな! 従え! お前の性根を直す為なら親子だろうが関係ない! 分かったな!」


 弟の返事を聞かずに教師と話して部屋を出て行った。私は父と話すために後について行く。


「あの馬鹿者は屋敷の使用人に暴力を振るい、アルムエルグ殿を陥れている性根の腐った者になっている。学院に入るまでに矯正させないと子爵家の面子に関わる!」

「それにしても厳しいのでは?」

「あれが厳しいだと? あの程度の事が厳しいなら被害を負った者は更に酷いのだぞ! お前は知っていたのか? 使用人がアイツに殴られ、剣の訓練と称して殴られたのを! それを聞いたとき私は情けなく思ったぞ! 騎士を目指していた息子が! 民を守る為の騎士にあるまじき行為だ! そのような者が騎士に憧れるとは! アイツの利き腕を切り落とそうと本当に考えたのだぞ!」


 父は本当に怒っていますね。このような父を見るのは初めてで怖いです。


「コレート、お前もラーブスに何を言われても聞くな! 何か言われたら私に言え! どんな事を言ったか知っておかなければ!」

「分かりました。それで母上はなんと?」

「アイツも承諾しているよ。これまでの事を話したらラーブスを泣きながら叩いていたぞ! それでもラーブスは反省していない。どうして性根の腐った性格に育ったのだ!」


 弟の性格がおかしくなった理由……きっとあれでしょうね。


「多分、悪い友人と付き合った結果だと思います。私達の従兄のオットコガーク家やその知り合いのペップコガーリ家の子供達と遊び始めたときから性格が歪み始めました。そのせいでしょう」


 オットコガーク家やヘップコガ―リ家の子供達は貴族の力を使ってやりたい放題をしていると聞いたことがあります。ドックライム公爵家次男の次に権力を使って平民で遊んでいると噂で聞いた事があります。


「……なるほど。私も確認してみよう。しかしコレートには悪い事をしたな。本来なら今年に学院に入学する年だったのにミリアリア様の学友となったから来年に入学する事になって」


 私はミリアリア様の歳が一つ上だから本来は学院に入学しているのですが、学友の他に護衛も含まれていますから、ミリアリア様と同じときに学院に入学をします。その事は何も問題なかったのですが、弟と同じ学年になるという事が少し嫌でした。理由はあの愚弟は私の事を年上の姉とは見ていないからです。尊敬されるはずの姉として私は頑張っていましたが、成長するにつれてあの愚弟は私を同年代の劣った女と見下していました。

 そして私は弟に抱く理想を捨てて愚弟と言い始めたのです。あれは愚弟と周りにも言いました! それでも顔は良くて剣術の才能もある。そして騎士団長の息子でベルファルト殿下の学友となっていたので同年代の異性からは人気です。……男性は性格よりも顔が良ければモテるのですね。

ファムに何度も愚痴りました。ファム曰く、女性は男性を知れば考え方が変わると言っていましたが……ファムは私よりも年下ですよね。経験があるのでしょうか? それとも恋愛本の知識でしょうか?


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらの話も楽しく読ませていただきました [気になる点] この跡も気になりますので、出来れば続きを! でも、精霊も読みたい!!
[一言] 面白いです。続きは開始しないのですか?再開を楽しみに待ってます。
[一言] ……主人公が、主人公が憐れに過ぎる……(涙) 短編通りの結末を迎えるのであれば、もう何をやったとしても主人公の得にはならず、国に対する滅私奉公にしかならないのが見えているので特に……(涙)…
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