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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
国を飛び出す後衛です。
9/66

感想ください・・・

 さて、基本出現魔物ランクがSの森で私は訓練するのです。正直恐怖でしかありません。死を越えた痛みはとても痛いのですよ。私は現在火系の魔法しか使えませんので、見つけ次第燃やします。私の今の恰好は軽魔法使いと呼ばれるものです。マントと帽子。中はスーツです。袖口がヒラヒラしているのはわざとです。


「あ、セル。お前武器は?魔法発動には必須だろ?」

「え?えーと。これです!」


 神に貰った鎧を使いました。袖を剣に変えたものです。ヒラヒラしていたのは剣にするためです。火の魔法を使う寸前の魔力を鎧に通じさせます。そうすると魔法と使っている状態ですので、ジョブのレベルも上がるのです。この剣で斬ると燃え上がるか溶けます。危ない剣ですよ?


「なるほど。鎧と一体になっているのか。でも、お前は俺と同じ後衛じゃなかったのか?」

「後衛ですとも!この剣はですね、魔法を飛ばすことができるんです!」

「おお!じゃあ後衛だ!」


 父は後衛の鏡です。前衛を必要としないそのあり方に私は憧れています。しかし、その脳筋さは他の男の人達と同じです。父は良い後衛ですが、私はもっと遠距離から攻撃したいのです。

 まず敵の攻撃を避けて関節に魔法で攻撃します。父は拳に魔法を宿らせてその拳から相手に当てる寸前に魔法を放っています。そして、魔法で脆くなったはずのその場所を魔法の後に当たる拳で破壊するのです。

 言い換えれば魔法で弱らせ、魔力削減のために拳で止めを刺すのです!かっこいい後衛です!私もそんな後衛になりたいのです!敵には近寄りたくないですけどね。


 私はそれを真似して剣に魔法を宿らせます。そして、剣を完全に覆うのです。そうすると、剣が長くなるので延長された魔法の剣で相手を斬るのです。んー。説明がしにくいですね。あ、包丁を粘土で覆うと粘土の分だけ包丁が延長されますよね?その粘土の部分で相手を攻撃しています。よし。うまい説明でした。


 後衛二人が一匹を相手にすればそれはもう、完璧な処理です。私が相手の足を剣の先の魔法で斬ります。剣ではありません。魔法です。私に意識が向いた時、父が敵に拳を使った魔法で攻撃するのです。あー。完璧です。

 前衛である母がここに加われば、もっと完璧なのですが・・・家事に忙しいようです。母は魔法の剣で戦います。なんと!伸びるのです。神話に出てくる剣を元に作られた()()は、非常に扱いが難しいのですが母は使いこなしています。伸びるので距離は少し遠いですが。まあ、前衛です。私たちよりも後ろで戦っていても前衛です。女性の前衛は珍しいですけどね。何百体か魔物と倒した後で私たちは帰る決断をしました。帰りたくありません。なぜなら、家に帰って待っているのは地獄のような母の料理です。


「そろそろ帰るぞー。」

「はーい。」


 家に帰る途中の大広場では何かの会議が行われていました。何故でしょうか?この国で会議が行われることはまずないです。すごく珍しい事なので私たち以外にも集まっている人たちがいました。


「やっと来たか!待っていたぞ。若造。」

「あれ?今日は何かの会議ですか?」

「忘れたのか!この若造が!」


 この国の国王様です。身長は私と同じほどなのですが、歳がすごいのです。父の100倍ほどは生きているそうです。やはり人は見た目で判断できないのですね。卵に魔力を大量に送りながら話を聞きます。


「夜の戦いで、フェファトリスがアンデットを使ってきた。恐らく研究途中なのじゃろうな。その実用実験のつもりだったのだと思われる。」

「そうですね。殆どの敵を我が自慢の息子が落としたおかげで、アンデットになったのは一部ですが。」

「自慢はほどほどにせい。それでじゃな。今日の昼。別の国から使者がやってきたのじゃ。」

「どこからですか?」

「アルケディヤじゃ。」


 《フェファトリス》と敵対している国です。そして、私たちの国と仲がいいです。不死人族の女王様が治めている国です。不死人族の第二の国と言っても過言ではないです。


「他の国からも苦情が出ておってな。そこで、周辺国を集めての合同作戦に移ることになった。つまり、フェファトリスをこの世から消すのじゃな。そして、今回のテーマは、敵国市民を殺さないじゃ。殺すのは幹部だけじゃ。幹部も、降伏すれば命は助ける。」

「なるほど。敵国の市民はどうするんですか?」

「アルケディヤが混種国なのは知っておるな?女王が我のバカ娘の孫の孫だということも。」


 そうなのです。《アルケディヤ》女王は不死人族国王の孫の孫なのです。

 珍しい混種国。つまり他種族が集まった国なのです。そこに《フェファトリス》国民を移住させるそうです。ちなみに《フェファトリス》は純人族の国です。世界に確か13ある純人族の国の一つだったと思います。何故か純人族は種族差別が激しい人種なのです。しかし、一番他の人種と交わっている人種でもあるのです。


「前置きはこれくらいにしてじゃ。我が国からも、戦士を派遣することになったのじゃ。」

「ほう?誰をですか?」

「おぬしらの家族じゃ。」

「三人ですか!?少なすぎますよ!だって、その顔はしばらくあの国に滞在させる予定なんですよね?」

「そうじゃ。」


 普通の種族なら反対する場所は私のような子供の派遣と母のような女性の派遣なのでしょうが、私たちは死なないので問題とするのは数です。数が少なすぎです。


「対集団ではおぬしの息子のセルゼルフがこの国で一番強い。戦闘では、おぬし、サファエルの右に出る者はおらん。隠密行動では、おぬしの妻、メアリーが優秀じゃ。」

「しかし!国王の方が「家族旅行の費用は出すぞ?もちろん、報酬とは別にな。」」

「喜んで受けます!」

「あと、セルゼルフには、そのまま16の試験を受けてもらう。」

「早くないですか?」

「いや。ついでじゃ。国を出るなら、ついでに学校も卒業して来い。」

「はい!」


 この国は外交の時にしかお金を使わないので市民はお金を持っていません。なので、旅行をするときには働いて国からお金を貰う必要があるのです。物々交換ではないのです。

 めったに行けない旅行を餌にされ、父は情けない勢いで承諾したのでした。あとで母になにを言われても私は少ししか味方になりません。私も国の外に出たかったので丁度いいですよね。ちなみに、16の試験16個の試験があるわけではなく、16歳での試験です。他国の学校に入学して卒業するというものです。ただ常識を学ばせるという試験ですね。

 この国から近いので《アルケディヤ》の学校になりそうですね。《アルケディア》の国に行くのでその学校に行くのは当然ですよね。



「で?旅行が目当てで受けたと?」

「はい・・・」


 今、父は正座して母の前に項垂れています。顔はとても腫れています。人族の顔があそこまで膨れ上がるということがわかりました。そこまでに至った過程でとてもエグイ暴力を目撃しました。避けようとする父を母は魔法で拘束します。暴れられなくなった彼が・・・


「受けたことはもうしかたがないわね。」

「じゃあ!!」


 〝パチーン〟と、母が父を叩きます。さっきは〝ゴン!バキ!〟でした。骨が陥没したあと、1時間ほどで治りました。不死人族はすごいですよね。


「だれが顔上げていいと言ったの!?」

「すみません。」

「まあ、あなたが準備をすべてやってくれるんでしょうね?」

「はい。もちろんですとも・・・」


 この後、母の下着を鬼の形相で選んでいた父が悪魔の笑顔をしていた母になにをされたのかは言いませんが、不死人族だからこその拷問はつらいのです。その途中、魔法で作った薬を差し入れました。その時の父の叫び声が私の耳にずっと残っています。大丈夫ですよ。父さん。鎮痛剤も配合していますから。ちなみにジョブを変更しました。今のジョブは【極魔法使い】です。



 父殺害事件から何日か経過した後、私たちは出発するために朝から慌てていました。


「さて、この国を代表する3人じゃ。盛大な拍手で見送るのじゃ!!」


 国民全員に見送られ、私たちは《清き道》を進みます。父が馬になって馬車を引っ張ります。さすがにかわいそうなので、風で応援しています。強風なので少しは楽になっているでしょう。


「セル。ちょっと変わらんか?」

「え?まだ子供なので何言ってるのか判断できません。理解に苦しむ発言を私のような子供にしないでください。」

「その割にはめっちゃ熟語使ってんじゃん!」


 《清き道》はとても長いことで有名です。長くて横幅も広いです。軍が進むにはとてもいい道でしょうね。しかし、その中央を馬車が一台だけで進むのは異常としか言いようがありません。さらに、馬車を馬ではなく人が牽いているということがさらに異様に見せます。母が種族スキルで車輪の動きを鈍らせています。

 この道は魔物を寄せ付けない働きがあるのです。何故かはわかりません。しかし、SSランクの魔物は普通に通ります。とても不思議なことですが、この道では魔物に襲われないのです。不思議ですよね。軍もこの道を使ったので被害はなかったでしょう。

 暇ですので、クロを【鑑定】します。おとなしくしているクロは異様な気がします。魔法を見ても畏れないのです。スライムであるなら怖がってもいいと思いますけどね。


『クロ。特異異常種スライム。新たな種族のためクロは固体の名前ではなく、種族の名前となった。不死不滅性、物理完全無効に加え、魔法もすばらしい耐性を持つ。なんでも吸収。魔力であっても吸収できる。そのため、魔法を食べることができる。まさに、最強の種族になってしまった。ただし、増えることはまずない。』


「クロ。本当に死なないのですか?」

「ポヨ!」


 クロはそれを証明するかのように出て行きます。そして馬車に轢かれましたが、〝グニ〟となった後で普通の形に戻っていました。轢かれる時に父がとても辛そうにしていました。クロは何事もなかったかのように私のところに戻ってきます。母は興味も関心もないようです。


「じゃあ、これを食べれる?」


 私は火の玉を手に浮かべます。するとクロはそれを包み込んで食べてしまいました。他にも様々な魔法を食べさせます。気が付いたことがありました。細かい魔法を食べさせた方が強くなるということです。

読んでいただきありがとうです。

一章が終了しました。次話から二章突入となります。

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