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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
冒険大好き後衛です。
49/66

スパルタ教育も後衛です。

時間が早く進みます。

「君がセルゼルフ君だね!待っていたよ!」


何故かここのギルマスは私の事を知っていました。どうしてでしょうか?そんな時、ブクが私の耳元で鳴きました。〝前の街のギルドマスターが知らせている。〟どうしてブクがそんなことを知っているのか分かりませんが、それならつじつまが合います。


「どうして待っていたんですか?」

「実はね、初心者のダンジョンに新たな階層が増えてしまってね。」


このギルマスはとても若い話し方をしていますが、見た目は筋肉お化けです。2メートルはあると思われる身長に、床がきしむほどの体重です。丸太のように太い腕や足と、背中に大きな剣を背負っています。


「別の冒険者もいるでしょ?あ、あなたの名前は?」

「おお!忘れていた!俺の名前はデューク!よろしくな!それでだな。他の冒険者は新しい階層に入りたくないようなんだ。」

「どうしてですか?」

「新しい階層には必ず予想できないようなボスの魔物が出るからだ。」

「予想できないんですか?」

「そうだ。例えばアンデッドが出現するダンジョンの新階層には氷を使うボスが現れた。アンデッドの階層を進むような準備をしていた冒険者では対応できないんだ。」


なるほど。水辺を進んでいた船が一瞬で上空に投げ出されるようなものですね。しかし、どうして私なのでしょうか?


「Aランクのやつは珍しいんだぞ?」

「ですが、私たちは新しいパーティの調整をしなくてはならないんです。」

「問題ないぞ!なにせ行くのは初心者のダンジョンだからな!」


こうして私たちは初心者のダンジョンに来ています。無理やり押し込まれたという表現のようがいいかもしれません。全部で30階層しかないこの迷宮を私たちは進んだのですが、現在は見かける人がいなくなりました。


「上には沢山いたのにねー。」

「ある程度強くなったら他の迷宮に行くのでしょうね。」

「攻略しようとは思わないのかな?」

「一度攻略した迷宮では宝の出現はわずかですから。他の迷宮に行ってレベルを上げた方が効率がいいのでしょう。」


出てくる魔物は弱いものばかりで、外を通って来た私たちの敵になるような魔物はいませんでした。ここの国で初心者の冒険者をしている人はこの都市出身が多く、私たちが育った、魔物と隣り合わせの街ではなかったのでしょう。あ、ここでシンとアンに教えなければならないことがありました。


「あそこを見てください。」

「あの広い空間か?」

「そうです。あそこは魔物の楽園と呼ばれる場所です。」

「一気に魔物が出現する場所のこと?」

「そうです。」


私は落ちていた石ころを広場に向かって投げました。すると黒い靄のようなものが広がり、魔物が出現しました。しかし、不死人族にこのような場所は通じません。私は幼いころからこういう場所の対策を教えられています。


「なんか・・・おかしくない?魔物が潰れてる・・・」

「一気に出現しすぎたと思う・・・」

「私たち不死人族の特技です。一部のエルフでもできると思いますが・・・」


先に出てきた黒い靄のようなものは魔物を作り出す素材だと思います。そこに魔力を必要以上に注ぎ続けると魔物が溢れ出すのです。次から次に魔物が堆積を持つため、壁によって圧迫されて死ぬのです。私のようにドロップを自動的に回収できなければ途中で止まってしまうのですが、ドロップさえなければいつまでも魔物が押しつぶされます。魔物の玉の中では様々な悲鳴が聞こえてきています。かわいそうなのでもう止めてあげましょう。


「・・・」

「では、先に進みますよ。」

「・・・」


このような事がありましたが、私たちは無事に新階層に到着しました。新階層にはあれ?本当に新階層ですか?新階層は上にできるはずです。しかし、ここは一番下。新階層ができるのはおかしいはずです。不死人族の国にあるダンジョンでは塔になったあとで階層が増えるのですが・・・


「ダンジョンって、地下にできるのですか?」

「え?普通そうじゃないの?」


黙っておきましょう。私の国の常識は通用しないようです。そう思えば罠も少なかったと思います。難易度低くないですか?


「いよいよですね。」

「明らかに怪しい扉だからねー。」


明らかにボスがいそうな雰囲気がある扉です。ダンジョンに扉があることがまずおかしいのですが、そこは流しましょう。私たちのチームワークならどんな魔物が出てきても大丈夫だと思います。


「開けるよ。」

「はい・・・」


それぞれ武器を構えて進みます。私たちが完全に部屋に入った時、扉が閉まりました。恐らくこちらからは開かない仕掛けでしょう。とても広い部屋の中央からげっそりした犬の魔物が出てきました。弱っているようですが、なにかあったのでしょうか?


「お前たちなにしてんの?」

「え?」「はぁ?」「へ?」


ダンジョンのボスだと思われる犬が話しかけてきました。どういうことなのでしょうか?


「俺はこのダンジョンのボスに選ばれたんだけどな、お前らが無駄に魔力を消費するから俺の魔力と生命力が削られたじゃないか・・・もう瀕死だよ・・・」

「どういうことですか?」

「はぁ。まあ、知らないのも無理は無い。ダンジョンは新階層を作る時にボスも一緒に作るんだ。そこまでいいな?」

「はい。」

「ダンジョンは地中や大気中や外部の生物から魔力を吸収して貯めている。ある程度貯まったら新階層を作るというシステムだ。で、だ。新階層を作った後は貯めた魔力が枯渇している状態だ。しかし、ダンジョンには魔力が必要だ。ダンジョンの壁が破壊された時や、徘徊する魔物を作るときに魔力が必要になる。今回お前たちがやったことは、無理やり魔力を引きだしたと同様だ。もうダンジョンに貯蓄された魔力は残っていない。そこで俺から魔力を奪って巡回させる魔物を作っている。なにが問題かわかるか?お前たちは魔力を無理やり使いすぎなんだ!かわいそうだと思わないのか!」


と、長い説明をされました。纏めると、魔物を殺しすぎたということですね。申し訳ないと思っています。


「えーっと、とにかく倒してもいい?」

「もう少し待ってくれないか?ボスになって少ししか時間が経っていないんだ。見逃してほしい。」


その言葉を最後に、弱ったボスはドロップになりました。


「え。なにか言ってたよね?セル。」

「いいえ。気のせいですよ。魔物に同情も信頼もありません。さあ。帰りますよ。」


私たちは部屋を調べつくした後、地上に戻りました。日帰りで帰ってくるとは思っていなかったらしく、報酬は別の日に貰うことになりました。



「セル。これからどうするの?」

「とにかく、上級者の迷宮に入りましょうか。力を付けなければなりません。」

「上級者の?でも!そんなにレベルは上がらないと思うよ?」

「大丈夫です。睡眠も食事も必要ないですよ。一日中魔物を狩って狩って、狩りまくりましょう。」


口角を異常なまでに上げながら私は提案します。【回復魔法】や【治療魔法】などの状態を無理やり治す魔法を用いて魔物を狩りつくしていただきます。


「え?まじで?スパルタ?」

「はい。だいたい2月もあれば十分でしょう。」


青い顔をした二人が私の目の前にいました。本気だということが伝わったようです。




心の中のスパルタ日記一日目。

私とシンはとんでもない人についてきてしまったかもしれない。ダンジョンの上級者コース。そこに私たちは監禁されているの。セルの使い魔のブクは遠くから魔物を大量に連れてくるの。それを私は拳で倒す。その作業を繰り返すだけ。それと、びっくりしたことが一つ。セルが連れていたクロという魔物。実は魔物を大量に召喚できるみたい・・・クロが召喚した魔物を私とシンで倒しまくっているの。


心の中のスパルタ日記三日目。

一睡もしてないのに眠気が全くないの。セルが途中で私たちに魔法をかけているの。それで気分が上昇するの。トイレするときは弱い魔物を倒しながら。いつでも魔物を倒す作業を永遠と繰り返しているの。ジョブをこんなに速く変更できるとは思わなかったわ。私はどのくらい強くなっているのかしら?魔力はセルがくれるし、枯渇することはないの。ずっと、ずっと繰り返す。魔物によって急所が違うから、それに気を付けて倒すの。


心の中のスパルタ日記七日目。

昨日からシンとは別々の魔物を倒しているわ。私たちの成長速度はおかしいと思っていた時期があったけど、これは普通だと思えてきたわ。だって、普通の冒険者が活動するのは長くて12時間くらい。それ以上だと体が持たないの。魔物避けの魔法具を買って寝泊まりしているのが現実。一日の魔物を倒す数は多くて40体くらい。弱いやつと強いやつを合計してそのくらい。ドロップももったいないし、強い魔物との連戦は難しいの。

私たちは5分で一体を倒しているの。計算するのは面倒だけど普通の冒険者よりも多いはず。だからレベルが上昇するのは当然だと思うの。


心の中のスパルタ日記十五日目。

今日はセルが学校に行くとか言って転移でどっかに行ったわ。今日は休みかと思ったけどそれは勘違いだったわ。クロとブクがいれば魔物と戦えるし、クロはセルよりも劣るけれど回復魔法が使える。だから私たちは戦うことを止めることはできないわ。退屈にはならないの。だって私たちが強くなるのと同時に今までよりももっと強い魔物が相手になって・・・結局油断したら死ぬほどの相手を倒しているわ。


心の中のスパルタ日記二十一日目。

昨日の私たちは馬鹿だったわ。かなり強くなったからセルにも勝てると思っていたの。でも手も足も出なかったわ。まず、あの尻尾の速度について行けないの。絶対に避けられない角度で、速度で尻尾が迫ってくるの。その間に魔法で拘束されて終わり。シンは光の魔法に弱いらしくて、セルに近づくことができないの。実質私一人で戦っているのよ。あんな超人に勝てるはずが無いのよ。こっちは魔法を使えない状態なんだから。


心の中のスパルタ日記最終日。

昨日はセルが二度目の体育祭に出かけていたわ。そんなことを気にせずに私たちはデュラハンを倒しているの。最近かなり強くなったわ。普通に出てくるような魔物だったら瞬殺できることに気が付いたの。今日でこの訓練が終わると思うと涙が出てくるの。何故かしら?

読んでいただきありがとうございます。

今更ですが、ブックマークありがとうございます。

ブックマークを確認したとき、増えていると飛び上がってしまいます。電車の中で見たことがあったとき、思わず声が出てしまって白い目で見られました。

どうしたらもっと観覧数が増えるのでしょうか?

ちなみに、現在一話から誤字脱字の訂正をしております。結構分かりにくい表現などが多くてすみませんでした。更新するときは勢いで書いているので間違いが多いと思います。少しずつ直していくので、温かい目で見守ってください。

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