33
少しだけ短いです。
「クロの言った通り、薬草の依頼も同時に受けていてよかったですね。」
「ぽよ!」
学校を終えた私は昨日とは別の依頼を受けて同じ森に来ていました。クロが別の依頼も見ていた方がいいと言っていたので別の依頼紙を見たところ、薬草採取の依頼があったのです。かなり深い森にあるらしく、それなりに高額でした。ふふふ。杖への道を爆走中ですよ!依頼を受けると言っても、ただ見るだけで実際に受けてはないのです。次は適当に採取してからギルドに行きましょう。どうせ異空間に保存できますから。しかし、先を越される可能性もあるので、早めに依頼を完了しなければなりません。早くお金が欲しいんです!
魔熊の爪、老木の枝、幻の湖の苔が今回狙うドロップです。あ、そう思えば不死の森で昔取ったドロップを売ってなかったですね。それを売りましょう。
森を探索しているときれいな光が浮いているのを発見しました。精霊と呼ばれるモノでしょうか?光は私を誘うように森の奥へと移動します。それに付いて行くと木々が一部だけない場所に付きました。花が一面に咲いています。その中心にはなんと、少女が座っていました。
「こんにちわ。」
「あ、こんにちわ。」
少女は周りに割いている花々と同じような髪色で整った顔付きをしています。
「精霊に導かれるようにしてここに来たのですが。せっかく会えたのですから。少し話しませんか?」
「うん!そのつもりだよ!ていうか、元から私はそのつもりだったから。」
「どういう事ですか?」
「友達が欲しかったの。だって僕たち精霊はずっと生きれるでしょ?人族の友達はみんな死んじゃったし、他の精霊たちは私みたいにお話できないの。」
「それは辛いですね。友達になりましょうか。」
「うん!ありがとう!」
話を聞いているとこの精霊がどれだけ長い時を生きて、どれだけのことを知っているのかがわかりました。彼女はこの森のことしか知らない代わりにこの森のすべてを知っているようです。そして・・・この森に訪れるであろう危険も・・・
「ドラゴン?」
「そうなの・・・少し前にこの森の上を飛んでたの。たぶんここを次の寝床にすると思うの。」
「寝床にするとどうなるの?」
「そのドラゴンは炎龍なの。この森に寝るとこの森は・・・火山になっちゃう。」
「なるほど。そうすると自然が無くなりますから・・・」
「私たち精霊は死ぬか別の場所に行かなきゃだめになるの。でもね!ドラゴンさんがいいドラゴンならいいの!でも!あのドラゴンさんは精霊を好んで食べるの!」
悪い炎龍であれば私もためらう必要はないですね。その龍。私が退治しましょう。ドロップも欲しいですから。
「私がその龍と戦ってもいいですか?」
「え・・・?危ないからだめ!友達だもん!」
「あなたは私の友達ですから。次に龍が現れた時、この硝子を折ってください。あ、会いたい時でもいいですよ。」
「なにこれー?」
「私のスキルです。」
少女は硝子を見つめて握りしめています。そして涙を流していました。
「ありがとう・・・」
「では。また来ますね。」
「うん!あ・・・迷い込んだ烏が夕刻より遠方から来ているよ。もうすぐ衝突があるかもしれないね。その時、力ある者は両方を救おうとするけれど、それはできないことが多い。二つの真実を追うよりも、たった一つの偽証を手に入れて。」
転移が初めて長く感じました。白い空間の中で花の精霊が何かを言ったような気がしましたが、よくわからないというのが感想でした。いつの間にか夕焼けが空に輝いていました。烏が寝床に帰っていくのが見えます。
「だから!ドラゴンを見たんだ!」
興味深い事がギルドの扉を空けた瞬間に私の耳に入り込んできました。精霊が言っていたドラゴンと同じでしょうか?少しだけ、話を聞いた方がいい気がします。
「では、ギルドマスターをお呼びします。少々お待ち下さい。」
「で?どんな感じだったんだよー!」
話を聞くというのは盗み聞きの事です。コミュ症と呼ばれた私ですよ?直接話を聞けるはずがないじゃないですか。ドラゴンを見たという冒険者の知り合いらしい男性が茶化すように聞いています。
「近くに森があるじゃねぇーか!あそこの上を飛んでたんだよ!炎が見えたからたぶん火龍だと思う!」
「はぁ?炎龍とかじゃねぇーのか?」
「そんな強力なやつがこの近くに来たら死んじゃうじゃねぇーか!」
「希望的観測じゃなぇーか!」
はい。間違いなく炎龍ですね。
「国の騎士も動くようだぜ?」
「え?まじか?」
話が終わりそうですので、依頼をこなしてきます。お金が欲しいです!杖が欲しいです!欲しい!金が!欲望にまみれてしまっては駄目ですからね。落ち着いて退出しましょう。
城に帰りました。私の寝床は城ですから。城では会議が開かれていたようで、騎士たちが今出てくる所でした。
「セルゼルフだな。」
「そうですけど?」
「今から闘技場に来てもらおう。」
「えー。わかりました。」
断れる雰囲気ではなかったのです。騎士たちがすごい顔をして私を睨んできていましたから。心辺りはありますよ?昨日の夕食の事ですよね。デザート。実は二つも食べたんです。いや。悪いことをしたと思っていますけど、こんな人数になるほどではないと思います!
「何するんですかね?」
「俺と戦ってもらう。」
「えー。」
デザートを食べるはずだった人はこの人だったようです。怒りが伝わってきます。今日のデザートはこの人に上げようと思います。そんなに不機嫌になるような・・・好物だったのでしょうか!
闘技場に到着しました。私と彼だけで中央に移動します。本当に戦うのですね。ちなみに私の今の恰好は制服型の鎧です。こんな恰好で戦うつもりなのでしょうか?え?虐めかな?虐めですよね?
「これより、セルゼルフ対、一番隊隊長の決闘を開始します。」
突然始まる戦闘。彼は騎士らしく剣で戦うようです。私は一応後衛ですよ?不利なんですけど。そんなことも言ってはいられないので賢者モードで応戦します。後衛が前衛と戦う場合、しなければならないことはただ一つ。近づけさせないこと。ですが、今回はまじめに戦いましょうか。尻尾が使える今、私が虎人族程度に負けるはずがないのです。尻尾で頬を叩き、剣を弾きます。その間に細かい魔法で攻撃すれば騎士の体力も尽きてくるのです。
「ちっ!近づけねぇ!」
「私は後衛ですから。近づかれたら負けです。」
騎士はさらに速度を上げて私に近づこうとしてきますが、私にも硝子の騎士がいるのでそれは叶いません。斬らないように弾き飛ばします。肺から空気が抜けると同時に苦しそうな声を上げました。これって、いつ終わるんでしょうか?いつまでたっても終わらない気がします。
「デザートを取ったことは謝ります。貴方では私に敵わないのも事実です。諦めてください。」
「駄目だ!俺はお前が団長であることが気に食わない!」
え。確かにデザートを奪うようなやつは団長に向かないのかもしれませんが!そこまでいうことは無いと思います!さて。どうしましょうか。どうやったら諦めてくれるでしょう?
そんな時、闘技場を観覧する場所にいた騎士たちが下に飛び降りてきました。剣を抜いています。
「俺たちとも手合わせをお願いします。」
「わかりました。来てください。」
騎士たちの連携は素晴らしいものでした。前後左右から攻められます。それを騎士と魔法と尻尾でどうにかしながら私は剣で少しずつ戦います。剣の腕では騎士たちには敵わないようです。私は後衛ですのでいいのですが、悔しいというのが本音です。こんなことならもっと練習すればよかったです。
私もそろそろ疲れてきたころ、騎士の皆さんがようやく地面に寝転がりました。さすがに私も疲れてしまいましたが、彼らをこのまま放置していては風邪をひいてしまいそうです。汗もかいていますし・・・【洗浄魔法:闘技場全体】そのあとに【念動魔法:整列】。綿を地面に広げて並べた後、【結界魔法:温室】で適温を保ちます。私もその中で寝ようと思います。おやすみなさい・・・
翌朝。目が覚めると俺たちは整列して寝てしまっていた。全力で戦ってもこの程度。しかも、団長は建物が壊れないように結界まで張ってくれていた。力の差というのを感じてしまったのだ。汗をかいたはずなのに変な臭いがしない。これも団長のおかげだろう。一晩で俺はやつのことを認めてしまったようだ。その強さは本物であった。魔法使いであるならもっと大きな魔法を使えたはず。あとは見えないなにかの攻撃で俺たちをすぐに殺せたはず。殺し合いならやつに敵うはずが無かった。俺たちは殺すつもりでやっていたが、団長は気を使ってやっていたようだ。ハンデもあったのに負けたのか。
俺の足は自然と女王のところに向かってた。約束を守るためだ。男として、何より、騎士として。
「女王様。騎士団長の事ですが・・・」
「おはようございます。」
先を越されていた。団長は俺よりも早く起きていたようだ。なにを話していたのだろうか?女王は私にほほ笑んでいる。あの頬笑みはあれだ。面白がっているときの顔だ。
「セルゼルフは騎士とは別枠に行くようですよ?」
「え?」
「反発があるのでしたら、私を騎士団長とするのは止めた方がいいですから。周辺の魔物を倒す役をしますよ。団長は彼に務めてもらいます。お願いしますね。」
「え?え?」
「混乱しているようですね。時間を上げてください。」
認めた途端にこれか?騎士団長の仕事は誰がすんだ?あ?俺か・・・でも!
果たして、セルゼルフは騎士団長になれるのか!?
読んでくださいね!




