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これはいったいなんでしょうか?この破壊兵器はどういう仕組みなんでしょう?これは、なんとかの泉に聞くしかないですね。
「今から、あのテロ集団に「脱走者だ!!」」
「はぁ?なぜですか?」
「セル!今すぐ結界!」
「はい!え?待って下さい!脱走したのはいつですか?」
「わかりません!見張り交代に行ったら・・・」
「それでは・・・結界では無理です。城の外に逃げているかもしれません。結界を張れば、騎士も動けなくなります。」
どうしましょう。街に隠れられたら見つけ出すのは安易なことではありません。いったい何処に逃げるのでしょうか?逃げ場は・・・どうやって逃げたのですか?
「あの。どうやって脱走できたのですか?特殊な結界が張られているのですよね?確か・・・生贄をささげての結界維持だったそうですね?」
周りの顔が青くなります。そうです。制限をかける魔法には代償がいるのです。その点、攻撃魔法、防御魔法は魔力だけで解決できます。ただし、保持している魔力以上の魔力が必要な場合、寿命や、生贄をささげなければならない場合があります。魔力が足りない時は魔法が発動しません。特殊な状況下と魔方陣を用意した時だけ、代償を払うことが許されます。
「そうです。死刑囚の肉体をささげています。足りない時には自殺志願者や魔物を使うこともあります。」
「魔物を使わないのは何故ですか?」
「魔物を使う場合、量が多く必要なのです。とても現実的ではありません。しかし、今でも魔物の生贄をささげていますよ。」
「話を戻します。脱出した方法は?」
「はい!」
私たちは原因を知らないので、室内に入って来た騎士に目線が移動します。彼は冷や汗を流しながら一言を選ぶように言葉を発します。
「内通者が「内通者!?」はい。」
「それはまずい状態ですね。風が吹けば桶屋がもうかってしまいます。内通者のことは他国や市民に流すことがないようにしてください。」
「と、いいますと?」
「裏切り者がいる国はたやすく落ちるからです。攻め込まれますよ。」
女王は状況が理解できたようです。しかし、内緒にするとしても犯人とテロリストを捕まえなければなりません。どうしましょうか。どうやって犯人を探しましょう。考えすぎなような気もしますが、市民の不安を煽ることはしないほうがいいでしょう。内通者・・・
「ちなみに、見張りの管理はどのようにされているのですか?」
「現在確認を行っています。書類に纏めてあるはずです。」
不幸はどこまでも続いてしまうようで、何かが燃えるような臭いが私の優れた嗅覚を刺激します。これは不死人族の国にある図書館を燃やしてしまった・・燃やしてしまいそうになった時と同じです。ああ。こんなことなら、硝子を張り巡らせるべきでした。
「なにか、燃えていませんか?」
「夕食では?」
「ここでは紙や皮を燃やして火をつけるのですか?これほどの臭いですから、衣服や建物全体に臭いが付着するはずです。それより、書類がある「火事です!避難してください!」」
「今すぐ魔法使いを現場に。消しますよ。」
「はい!」
煙を辿って現場に急ぎます。窓を解放し、煙を外に逃がします。本当だったら窓は閉めるべきなのですが、今回は特別です。
「クロ。どうおもいますか?」
「ぽー?」
「テロリストの発生、魔力を使わない、魔力を外に出さない兵器、内通者、脱走したテロリスト、平行して、姿を見せないテロリスト。これが終わったら聞き込みをしましょう。」
「ぽぽ。ぽーぽ。ぽよぽよよ。」
「そういう見方がありましたか・・・」
煙の中から何か筒状のものが〝ドシュン〟という音と共に飛んできたのです。【転移魔法:対象転移】。この魔法は半径5メートル以内のものを転移させることができます。
〝ドン!〟。筒が弾けて・・・・
「ありがとう。クロ。では。戻りましょうか。」
「ぽぽ!」
クロが私と周りにいた魔法使いを転移させてくれました。恐らく、城を破壊した兵器と同じ原理のものだったと思います。と、なれば、あの煙の向こうには何者かが潜み、我々が来ているのを察して攻撃してきたと思われます。爆破の魔法に似ていますが、魔力を感じることができませんでした。つまり、爆破させることができるなにかということになります。しかし、そんな技術は知りません。変な収集癖がある不死人族ですが、そんな素晴らしい技術を知らないのです。どうしてでしょうか?新しい発見をした何者かが、我々の邪魔をしているのですね。
転移でまた戻ってきました。クロにも限界があったようで、魔法使いの何人かが焼け焦げています。黒い煤が白い壁を汚し、亀裂を生じさせています。これがもし、戦争に使われたら・・・
だれがこんな技術を?そんなことよりも火事です。急行せねばなりません。もし、これがこの国を変えるためのものだとしたら?女王を亡きものにするための作戦だったとしたらどうでしょう?
「そんなことよりも。クロ。見ましたか?」
「ぽ。」
「そうです。あの筒の中。燃えていました。一瞬でしたが、動体視力で見ることができましたね。あれは・・・焚火のすごいやつでしょうか?」
「ぽぽ?ぽ・・」
「まあ、焚火と同じにするのはちょっと語弊がありましたね。ですが、何かを燃やすという考えなのでしょう。どんな配合なのでしょうか?魔法に頼っていた私では考えられません。これはやはり、錬金術を学ぶ必要がありますね?」
「ぽー!」
「到着です!」
部屋に到着する前から炎が勢いよく燃え盛っているのが見えていました。建物が崩れたときは魔法で解決できるのですが、燃えるといろいろ条件が変わるので魔法では解決できないのです。【水魔法:鉄砲水】。全体を濡らした後、【氷魔法:氷結】を使います。消火できればいいのですけど・・・これでは中にあった書類等は全滅でしょうね。見張りの記録を隠滅するための作業だったのでしょうか?
「火の勢いが収まってきました!」
「みなさんは先ほどの筒で攻撃してきた犯人を探して下さい。」
「了解です!」
どうしてこんなにも事件が重なるのでしょうか?いや?もしかしたら一つの事件なのかもしれないですね。この放火はテロリストの逃亡を助けるためのものだとしたら?もしくは、逃亡を助けた者の手助けだとしたら?だれが首謀者か。そんなことは関係ないですね。いや?組織ですかね?目的を先に考えた方がいいかもしれないです。
鎮火した後、王城の一室、すぐに避難できる場所で会議が開かれました。
「火災の犯人は誰ですか?自然発火はあり得ない場所です。」
「ご報告させていただきます。犯人は未だ特定できていません。」
「テロリストの脱走を手助けした犯人は?」
「そちらも同様です。」
「となると・・・どうしますか?騎士団長。セルゼルフ。」
女王が私を指名しました。
私は少しずつ口を開き、立ち上がります。心なしか、体中に力が入るようです。私にこれほどまでの力が残されていたとは予想すらしていませんでした。突き刺さるような視線を浴びながら、私は自分が思っていることを正直に言います。
「お手洗いに行きたいのですが。よろしいでしょうか?」
「・・・ええ。いいでしょう。」
【転移魔法:瞬移】。私は即座に転移し、体から必要ないとされているものを出しました。
会議室に戻った時、何故かそこだけ重力が変わっていました。空気事態が重苦しく感じられます。これほどまでに外から力を受けたのは始めてかもしれません。
「みなさん!魔法で攻撃されています!早く退出してください!」
「え!?なんだと!?」
「重力に関する魔法だと思われます!なるべく慎重に、頭上に注意しながら移動してください!」
重力に干渉する魔法や、圧力に関わる魔法の恐ろしさは建物の内部にいるときに体験できます。レベルが上がれば耐えることができる魔法攻撃であっても、建物は体に比べて脆いのです。建物が限界を迎えれば最後、生き埋めになって生涯の幕を下ろすことになるでしょう。美しかった壁をよく見れば亀裂がうかがえます。静かに、ゆっくりと魔法を強めているのでしょう。
「危ないです!」「女王を守れ!」
〝ミシッ〟という音が聞こえました。現在地は一階。しかし、ここには地下室があったはずです。それに最悪の場合、穴を掘られているかもしれません。一度落ちたら戻れないような穴があいているかもしてないのです。それにこの違和感はあの魔法ですね。
「クロ。何かあったら女王を頼みます。魔法はなるべく使わないようにしてください。呪系の魔法が使われています。」
「ぽ?」
「そうです。魔力をすでに使われている魔法です。呪系魔法は厄介ですから。この感覚は間違いないでしょう。母に外出禁止の呪いをかけられた時と同じ感覚です。」
「ぽぽ?」
「はい。魔法を使うと建物全体が崩れ去ります。生き埋めを狙う魔法ですが、厄介なところはその条件。魔法を使う前なのです。生贄を使ったようですね。」
「よぽ?」
クロがよくわかっていないようですので、説明します。今回建物全体と私とクロにかけられている呪系の魔法は、私たちが魔法を使う前に発動するという効果です。
床が崩れ去りました。私たちが落下します。予測通り、穴が開けられていたようです。最悪なことに、この穴はダンジョンであるようです。ダンジョンの穴の中では転移系の魔法が制限されます。転移で逃げる事はできませんが、脱出する方法があるのはうれしいですね。ダンジョンなので、上に向かえばいいだけです。硝子に落ちた全員を乗せ、ゆっくりと下降します。
読んでいただいてとてもうれしいです。




