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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
騎士団長は後衛です。
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「この辺の指名手配されている盗賊と、その被害件数を比較したところ、この区域で盗賊が強奪で生きていくには40人が限界です。それなのにあなたたちはとても数が多い。この森を根城にはできないでしょう。どうですか?口を開かないのならばもう一人犠牲になりますよ。」


 少年が盗賊を脅して、盗賊の顔が青く染まる。目の前で仲間が殺された。それも、小さな少年に。慈悲の欠片も窺い知ることができないそのまなざしからは、一点の光すらない。黒いその目が悪魔を連想させている。


「・・・わかった。言うから。見逃してほしい。」

「いい決断です。誰に雇われたんですか?」

「なんて言うとでも思ったのか!野郎ども!」

「おう!今までありがとう兄貴!」


 その言葉を最後にして、盗賊の誰一人として口を開く者はいなくなりました。自殺の魔方陣。額にはそう呼ばれる魔方陣が浮かび上がってきました。自殺するためだけに存在する魔方陣です。いったい誰に雇われたのでしょうか?陣が発動してから死体すら残さないという徹底した執念。私はそれが怖いです。


「行きましょうか。彼らは森の栄養になるようです。」

「はい。」


 どんどん盗賊の体が地中に引きずり込まれていきます。これも魔法なのでしょうか?地面に残っているのは自然に分解されない金属の類だけで、それも一瞬にしてどこかに消えてしまいました。一瞬、どこかの紋章が見えたような気がします。少年はそのことを隠すようにしていました。どういうことなんでしょうね?


 魔物が出ても少年が解決するため、魔車は予定よりも早く進みます。この車を牽いている魔物は睡眠を必要としないという素晴らしい魔物ですので、休憩は必要ないのです。馬車の中では王女様たちが寝ているでしょう。彼女たちの食事は少年が用意していました。なんでもできるのですね。これを機に、私は修行しようと思います。彼がいなければ私たちは死んでいました。あ、王女様たちがいましたか。御者として不可欠な何かをどこかで落としていたようです。



 と、いうことがなんやかんやありまして、《パラコミック》に到着です。魔車の運転手が元気を失くしているようですが、何かあったのでしょうか?私が原因でなければいいのですが・・・


「女王様。国に到着しました。」

「御苦労さまです。さっそく王城に向かいましょう。」


 魔車を運転していた人が車に魔力を込めるとオープンカーに変身しました。

 門が開き、ラッパの音が聞こえます。〝プープープー〟どうやら、女王を出迎えているようです。王というのはどうしてこんなに歓迎されているのでしょうか?住民の心の声を聞いてみましょうか。


「クロ。少し周りを警戒してくださいね。」

「ぽー!」


 〝女王様が帰って来たぞ!〟

 〝あの女王様は平民と殆ど変わらない生活だからな!国民の味方!〟

 〝貴族が廃止されてもう9年か。あの女王様のおかげで生活が楽になったからな。感謝しないと。〟

 〝あいつを殺せば俺が王となる。元貴族の俺が平民と同等だと?ふざけるな。伝承権は俺の者だ。〟


 この魔法を使うとき、一種の放心状態になってしまうのです。そんなことより、変な人がいましたね。元貴族。あの人が盗賊を差し向けたのでしょうか?

 そんなことはどうでもいいとして、城に向かって進んでいます。いつになったら着くのでしょうか?結構進んでいるのに全然着きません。


「はっはっは!我々は解放の湖!お前たち王族から国民を解放するために行動している!王城に爆破魔法をしかけた!爆破すれば多くの人が死ぬだろう!止めてほしければ!女王を差し出せ!」


 禿げた集団が何かを言っています。どういうことでしょうか?え?なに?登場が屋根って・・・危ないですよ?


「セルゼルフ。貴方は種族スキルが他の人よりもすぐれているのですよね?」

「え?そうなんですか?」

「少なくともそう窺っています。あの人たちの魔力を抜いていただけませんか?」


 あ、その手がありましたか。ついでに城の魔法も解除しましょうか。そうすれば、解決じゃないですか?


「この方は我が国の新しき騎士!貴方達など一瞬で葬ることができます!ひれ伏しなさい!」

「は!この国の騎士など取るに足りん!調子に乗るのもいい加減にしろ!やろうども!やれ!」

「あいあいさー!」


 横にいた手下が私に向かって走ってきます。屋根の上から飛躍。そして、私が作った硝子の壁に回収されました。硝子でできた網に入ってもがいています。


「この二人は確保しました。返してほしければ・・・」


 網が斬られました。何が起きました?次の瞬間。〝キーン〟という音が私の鎧からしました。何かに斬られたようです。スキルのおかげで無傷ですが、生身でしたら死んでいましたね。神器はとても強いようです。


「拙者は清光と申す。貴様の速度では拙者にはついてこれん。その堅い鎧に守られてはいるが、弱点は見極めた。」

「えー。じゃあ、フォルムチェンジで。」


 私はフルプレート騎士モードになりました。どんな剣であっても私には刺さらないです。どうでしょうか?


「なんだと!?」

「それと、あなたは速度が売りなのですね。ですので、私も本気を出します。」


【砂剣】を使うときが来ました。この剣は殺すのには最適なので、今回の目的にぴったりです。他にも相手の速度を落とし、自分の速度を上げる魔法があります。かなり差が出るのです。


「か!体が!」

「魔法の力です。ざまぁみろ。」


 それでも速度が私よりもあります。結界と硝子のおかげで耐えている状態ですが、それが無ければ一方的だったでしょう。


「この砂さえなければ!」


 今はただの砂として使っています。砂の上を移動するのは困難ですから。しかし、一瞬で決着を付けますよ!

 私がした事は剣を動かしただけです。ミキサーのスイッチを入れるように・・・足から頭までが粉々になり、摩擦で燃え上がっています。それくらい勢いがあるようです。


「あの人が・・・負けた!?」

「降伏するなら今ですよ。屋根の上から今すぐ降りてください。逃げてもこの騎士団長セルゼルフが地獄の底まで追いかけます。」

「魔法だ!魔法で爆破しろ!」

「無駄ですよ?貴方達に魔力は無いはずです。」

「は!馬鹿だな!」


 遠くで建物が崩れる音がしました。母が不死人族の国の城を壊したときと同じような音です。どういうことでしょう?魔力は抜いていました。しかし、何らかのボタンを押した瞬間のことでした。あのボタンはスイッチだったようですね。


「なんの音ですか?」

「はっ!貴様らが無益な象徴である城が崩れ去った音だ!がっはっは!」

「女王様。先を急ぎます。」

「行きなさい。」

「はい!」


 硝子で何とかの湖を確保した後、風の魔法や重力の魔法を駆使し、城へ急ぎました。城に近づくにつれ、城の方向から逃げる人が増えていきます。怪我している人も多くなっています。いったいどんな方法で城を破壊したのでしょうか?道行く人を治療しながら城へ急ぎます。


「クロ!あなたは地上で怪我している人を治療して回ってください!」

「ぽ!」


 私から飛び降りて別の方向に進むクロ。私は鎧の形を変形し、速度をさらに上げました。

 城に到着です。見るも無残な瓦礫の山になってしまっています。


「ちっ!」


 こんなことでへこたれる私ではないのです。方法はあります。【復元魔法:パラコミック城】。



 痛い。どうしてこんなことに?俺はただ、城の警備をしていただけだ。大きな振動があった。俺は・・・腹に何かが刺さっている。このままでは死んでしまうだろう。死ぬのはいやだ。いやだ。いやだ!


「力が欲しいか?」

「だれだ!だれでもいい!助けてくれ!」

「お前、魔族になるつもりはないか?」

「ま、魔族?」


 魔族。人族ではないそれ。時に人を惑わすというそれ。目的は、無し。特に言うなら娯楽。人が滑稽に操られ、争う様が大好きなもの。魔物ではなく、人族ではない。精霊という枠組みだ。


「もう一度言う。力が欲しいか?」

「目的はなんだ?なにが望みだ?」

「俺は未来がわかる。その未来が俺は気に食わない。根源は騎士団長。セルゼルフ。」

「セルゼルフ?」

「そうだ。お前はまだ知らないだろうが、もうすぐ会える。そいつの邪魔をしろ。それだけで、お前は力を得られる。」

「・・・わかった。邪魔をすればいいんだな?」

「そうだ。」


 眩しい。何の光だ?



 下敷きになっていた人は全部で51人。すべて警備していた騎士たちでした。どうしても逃げられない状況にあった人達ばかりで、日ごろの訓練の成果を見ることができます。他の警備の騎士は窓から脱出できていたようですね。残念ながら、死者は21人。私の判断ミスが招いた結果です。頭を潰されてしまっていた人が7人いました。私のせいです。他の方は苦しみながら亡くなったようです。


「あなた。傷がないですね?ここには瓦礫があったはずですけど?それに、その鎧。穴が開いています。」

「あ、ああ。スキルだ。10年に一度しか発動できないスキルがまさかこんな所で役に立つなんてな。運が良かった。」

「そうですか・・・ほんとうに申し訳ないことをしたと思っています。」

「いいんだ。すぎた事だよ。騎士団長様。」

「はい。あ、これからよろしくお願いします。若いですけど、団長をしばらく任せられることになりました。」

「楽にするといい。団長が仕事しなくても働ける騎士になってみせるから。」


 いいひとに出会えたようです。新人の私が急に騎士団長に・・・なぜでしょうか?

 普通、階級制度のあるなにかでは、上が消えたら下の者が変わるというシステムだったはずです。本来ならば、副騎士団長が昇格したはずです。これは、副騎士団長に聞くことがあるようですね。


 しばらくして、女王、王女、クロが城にやってきました。なんとかの湖は牢に入れられています。


「亡くなった方には申し訳ないですが、事件は無事解決しまし「いえ。女王陛下。申し訳ありませんが、まだです。」」

「どういうことですか?」

「第一に、何故魔力がないにも関わらず城が破壊されたのでしょうか?城を破壊された原因として、これが上げられます。」

「それは?」


 私は柱に取り付けられていたなにかを机の上に出しました。もちろん、結界と硝子で囲っています。破壊兵器ですから。


「とくに破壊された痕跡がひどかった場所で発見できました。恐らく、破壊兵器だと思われます。」

「どうやって城を戻したのですか?」

「魔法です。」

「どのような「それはだめです。陛下。魔法使いに魔法を聞いてはいけません。なにせ、研究のたまものですから。」」

「あ、そう思えばそうですね。ある魔法とだけ言っておきます。さて、ここで、ある疑問があります。」

「なんでしょうか?」

「それは、だれが仕掛けたのか。それだけです。城の柱にこれを付ける理由の申請はありましたか?魔導具ではないこれを付ける必要はない。つまり、柱につけてはならないはずです。それとも、自由に城を変えてもいいのですか?この国は。」

「駄目です。この城は国そのモノ。ここを傷つけるというのは国を傷つけるのと同じです。」


 いったい誰が・・・あ、今、魔法で解決すればいいと思いましたね?それが、だめなんです。今回使うとするならば、捜査、探査の魔法。それには相手の皮膚か、髪の毛が必要です。いえ。できないことはないのですが・・・

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