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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
国外でも後衛なのです。
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「何事だ!」

「人が突然消えます!」

「なんだと!?」


 まだ黒い玉には気付きません。私にも。索敵スキルを持っていない兵士が多いようです。それほど強く無いのでしょうか?不思議です。()()というくらいですから、強いのだと思っていました。


「黒い玉です!あれに触れると消えてしまいます!」

「他国の攻撃かもしれん!あれに触れるな!」

「了解です!」


 兵士たちは持っていた物で玉を弾きます。弾くことができない者は私の手元に転移してしまうのです。このまますべてが終わるのかと思いきや、私が隠れている柱が砕けました。


「お前か!この騒動の犯人は!」

「無言で逃げます。」

「逃げられると思うなよ。」


 もう一人来ました。あら。大変。騎士ですね。近くでみると鎧の機能性があまりないことがわかりました。なるほど。飾りの騎士様なのですね。他の騎士に比べてこの二人の鎧は少し汚れています。手入れはしっかりされているようです。無言の私は黒い硝子を投げます。


「当たるか!」


 さすが騎士様で、見事避けることができています。しかし、その後ろにいた騎士は別です。私の手元に転移してしまいました。


「あいつの手に移動させられるのか。」

「当たるな!」


 次の獲物を狙う硝子。騎士は私に斬りかかります。剣筋は素晴らしいです。後衛の私は両親をはじめとした不死人族の皆さんに鍛え上げられましたからね。だいたいわかります。しかし、これは魅せるための鍛え方ですね。

 丁度別の硝子が別の騎士を捕まえたので、私の手に移動しました。降りて来ていた剣は騎士の前で止まります。仲間を殺すつもりはないようです。仲間を大切にしているようですね。いつかそんな仲間を持ちたいです。


 兵士をまた転移させて今度は騎士に触れようとしますが、避けられます。きれいに私の手と黒い硝子を避けていましたが、透明な硝子に触れてしまったようです。虚しく私の手元に転移するのでした。残りの騎士は一人です。


「お前の手に触れると、消滅する。そうだな?それと、あの黒い硝子に触れるとお前のところに転移する。あとは、何かの条件を満たすと転移する。違うか?」

「・・・・クロ。行け。」

「ぽよ!」


 クロは結構強い魔物です。避けることは苦手。というよりも避ける必要がないから避けない。もともとスライムには物理攻撃が効きません。さらにクロは特別なスライムですから。物理は無効ですね。クロが剣で切られますが、空気を切っているように何の抵抗もなくすり抜けます。そして魔法の発動。手足を縛られた騎士が、私のところに引きずられてくるのです。遅れて他の騎士も参上しました。増援を呼ばれていたようです。


 私は後衛ですので敵と距離をとる必要があるかもしれませんが、優秀な後衛ならば必要とする距離が縮まります。そして攻撃できる距離が延びます。とてもとても優秀な私はほぼ対峙するような距離でも十分に戦闘ができるのです。ね?優秀でしょう?さらに優秀な後衛は攻撃範囲が広がり、魔法発動距離が狭まるのです。私の父のように!

 私の戦い方は特殊です。相手の剣を避けてわき腹に【無魔法:衝撃波】という魔法を撃ちこみます。すると気絶してくれるので、次の相手に移ることができます。


「相当なやり手だ!()()()()攻撃しろ!」


 弓と魔法で攻撃してきました。魔法は私の領域です。弓はクロには効かないので、私に当たりそうなものだけ排除しました。クロが前衛・・・私は後衛・・・興奮してきました。後衛は素晴らしいのですよ。

 なにが素晴らしいって!攻撃スタイルがまず素晴らしい!近距離戦の何が面白いのですか!魔法を撃つのは楽しいじゃないですか!危険なんて嫌です。痛いのは嫌いですから!私に後衛で挑んできた勇気は褒めましょう!しかし!私のような後衛が相手だとそれは無意味なのです!


「ナイスです!クロ!」

「ぽ!」


 クロが強そうな騎士と戦っている間に他の騎士を次々と転移させていきます。この程度ですか・・・少し調子に乗っていますと上から何かが降ってきました。

 〝ドーン〟という音がして砂埃が舞います。そこから出てきたのは首輪をつけた巨大な犬・・・・恐らく獣化した獣人族でしょう。しかも奴隷化されています。まだ砂埃が・・・掃除くらいしてほしいものです。

 巨大な大剣を振りまわされて少し困ります。大剣だけでも大きいのですが、さらに大きいから、巨大な大剣なのです。間違いではないですよ?ほんとうにでかいのです。対処法はあります。

 物質を操るスキル。大剣をただの金属の塊になります。後衛の私は素晴らしい!敵の武器を無力化・・・なんと、金属の塊を投げてきました。異空間にしまいます。

 このまま転移させても父と母がなんとかしてくれるでしょう。しかし、私は後衛なのです。しっかり職務を全うしたいのですよ。はい。【闇魔法:無効の闇光】。矛盾していませんよ。無力化した獣人族を転移させました。


「あいつもやられたか。」

()騎士を呼べ!」


 ここには()もいるようです。すごくないですか?龍は知能が高いのです。なので従魔になることが少ないのです。卵を盗んでも逃げ出してしまいますからね。龍を従魔にするには【召喚魔法】でしょうか?しかし、【召喚魔法】には欠点があるのです。時間が経つと消えることです。魔力量の問題もありますが、大抵の召喚魔法では魔核や魔石を使うので解決できるのです。切り札として使われることが多いですね。

 しばらくの間に騎士を何人も転移させていますと空から何かが降りてきました。


「なーんだ。聞き間違いでした。龍ではなく、ドラゴンではなく、竜。蜥蜴でしたか。」

「バカにできるのも今の内だ!」

「クロ。任せたよ。」

「ぽ!」


 蜥蜴ですか・・・残念です。ドラゴンって大きいですよね。あれが飛べるのは強い魔力があるからなのですが、それを諦めた種族が竜です。種族的に弱いのが特徴ですし、知能も低いです。それでも人族全体としては脅威だと思いますけどね。私たちにとってはただの蜥蜴です。ちなみに龍人族に蜥蜴というととても怒られます。蜥蜴人族に言っても怒られますよ。


「行きますよ。」

「ぽよ!」


 クロが蜥蜴を倒してから転移で街に逃げました。なんだか面倒になったのです。クロは遊べてうれしそうです。

 この国にもかつてはギルドがあったようです。腐っていない食べ物をすべて回収したあとで元ギルドの建物に入りました。扉には釘が大量に打ち込まれていましたが、種族スキルで模様にしました。便利でしょう?いいですよね。一家に一人は欲しいくらいです。しかし、問題があります。模様にしたのはいいのですが、扉が開きません。扉を開けてから模様にするべきでした。あちゃー。一回別の建物に入りましょう。




「あいつはどこに行った?」

「分かりません!消えました!」

「あの手の能力は厄介だな。どんなスキルだと思われる?」

「消滅か、転移ですね。」

「魔術部隊に解析を急がせろ。」

「はい!」

「それと、王に報告しろ。街の捜索もだ。」

「はい!」


 被害は大きい。たった一人と従魔一匹に俺たち騎士団が壊滅的な被害を受け、恐らく街からは人が消えた。どんな魔法だ?味方であるならば心強いが、敵だ。恐怖の対象でしかない。俺が国王に報告するのだが、政治の素人である俺が見てもこの状況はやばい。国民なくして国は成り立たない。この状況はやばい。大切なことだから2度言った。


 俺は城の中を進む。どうしようか。王になんと言われるか。わからない。王は気まぐれなのだ。俺の報告した内容が気に食わなかったり、気分が悪いときに話しかけたりすると死刑になるかもしれない。それだけは避けたいのだ。もしくは俺の実家が取り潰しになるかもしれない。


「失礼します。陛下。恐れながら申し上げます。街から人が消えました。」


 よし。こんな感じで言おう。なるべく軽やかに。

 廊下を進んで大きな扉の前にいる騎士に話しかける。こいつらは上流階級の貴族だ。ろくに剣も握ったことがない。


「陛下に話がある。通せ。」

「分かりました。どうぞ。」


 何事もなく通ると、王がいつも通り偉そうに座っている。まあ、実際に偉いのだからいいのだが。それにしても、すぐに通ることができたな。いつもなら上から目線で威圧してくるのに。なにかがあったのだろうか?


「陛下。恐れながら申し上げます。」


 俺は頭を下げながら言う。以前、王の顔を凝視した者が死刑にされたことがある。気をつけなければ。どれだけ死刑にしたところでこの暴君は止まらない。何度市民が暗殺をたくらんだことか・・・


「うむ。どうした?先ほどの騒ぎわなんだ?」

「はい。先ほどの騒ぎは、城内の騎士訓練所に賊が侵入していました。」

「なに!?賊はどうした?」

「消えました。騎士、竜騎士の一騎がやられました。」

「何をしている!!」


 手に持っていたグラスを投げられます。私は避けもせずにただじっとしています。以前、避けた兵士が惨殺されたことがある。当たらないわけばない。こいつは普段、グラスを投げる練習しかしていないのだから。


「申し訳ありません。そして、現状を報告させていただきます。」

「よかろう。」


 とても不機嫌そうに俺に言う。戦闘の技術では俺が圧倒的に上だ。ただ、先祖が王だからと言ってどうしてこんな太いやつに従わなければならない?もっと尊敬できるような人が王ならば喜んで仕えたのだ。こんなただの穀つぶしにこの国を任せてもいいのか?訳の分からない実験に市民を巻き込みやがって。実験失敗の死者が歩きだすんだぞ?恐怖でしかなかった。毎晩毎晩死人が門を叩くのは恐怖でしかない。


「街から民が消えました。残っているのは従者たち、騎士少数、魔術士、王族の皆様方。近護兵、研究者です。」

「壊滅的ではないか!」

「申し訳ありません。」

「・・・まあいい。近くの国に攻めいるぞ。時間がない!研究の成果を見せよ!」

「かしこまりました。」


 むかつく。王族以外はすべて訳がわからない実験に使われている。アンデットの研究・・・元は永遠の命の為の研究であった。しかし、その研究は実らず。代わりに魔物になる技術を得てしまった。この研究成果は金になったが・・・と、何故このタイミングで他国を攻める?まさか国民を確保するつもりなのか?頭は大丈夫か?ネジが何百と外れているのではないだろうか・・・このままでは我々のすべてがアンデットにされてしまう・・・

 純人族すなわち、人族以外の亜人族がどうなろうと知らないが・・・我々の破滅は困る。さて。どうしたものか。いっそこの王を殺してしまオウか。シャレではない。

読んでいただきありがとうです。

気まぐれ更新でもうしわけありません。

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