ふたりの攻防
国としての借りを作るわけにはいかねぇ。
だが、こちらから脅しをかけた以上対立すれば兵力差で滅ぼされる。
「八柏とやら、どこまで仕組んだ。
これだけの傭兵団を集める力やコネはねぇだろ。
さらに、このタイミングだ。
どうやった。」
「八柏道為といいます。
紂の商人である夏の尽力です。
私の考えでも傭兵団の到着には少なくとも後半年はかかると見ていました。
先触れを受けた後にアルバ王子の襲撃失敗。
鉱山都市に到着する伝令を調整すれば、この会談中に傭兵団が到着するというわけです。」
まだわからねぇ事がある。
「どうやって夏を動かした?それにこんだけの傭兵団をどうやって集めた?」
八柏が小僧を見て笑い、答える。
「古代ロンドニアス金貨を投げ出したそうです。さらに追加も払ったそうです。
護衛の者が言うには夏も呆れ果てていたとか。」
「ククク。ハハハハ!!小僧!!国を買う気か?」
小僧が恥ずかしそうに目を開ける。
「僕には力がありませんから。なら、集められる最大兵力で一気に魔物掃除をするだけです。」
「あー、負けだ負けだ。それでどうする?
ここで殺すか?」
「私としては降伏をお勧めしたいのですが。」
「傭兵団には魔物を殲滅すると言ってあります。
ここで契約外の事をさせる気はありません。」
八柏はため息をつきながら答える。
「私の主人はこう言って聞き分けがないのです。
なので提案です。我々はトリスタン王国と老王ダッカの国の魔物を討ちます。和睦して私の主人に従属するのなら王都を差し上げましょう。」
「何を考えてやがる。破格すぎるぞ。」
「傭兵団と夏の情報によると、オーガキングはこの国にはいません。北上を続け、小国を呑み込んでいます。さらにムスラ王国も魔物の侵攻を受けています。詳細はわかりませんが、ドラゴンゾンビの目撃情報があります。」
「なんだと!」
「どうなさいますか?」
「トリスタン王国は残るんだな?」
「王都周辺と南部はどうぞ。あぁ、私の主人への貢献次第で領地が増えるでしょう。」
「いいだろう。和睦しよう。」
周りの貴族達がざわめく。
「何もしないで王都が貰えると思え!!
国も滅びるわけじゃねぇ。」
八柏に合図を送る。
「俺は八柏と詳細を打ち合わせる。外で待ってな。」
別室で八柏と話す。
「本音を話しな。何故、俺達を滅ぼさねぇ。」
「アントンと放浪の王子。」
「あん?」
それで八柏は黙る。
「あぁ、アントンに大義名分を与えねぇためか。
それと移動してる王子の抵抗ね。」
「然り。」
「それもなんとか出来るだろ?アントンなんざ弱兵だ。」
「私の主人がなんとかしろと。」
「ん?」
「最後は泣かれました。」
ふぅ、小僧、しばらくは大人しくしといてやるよ。




