表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぽつんと家康  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/80

竹河(たけかわ)

 黒田くろだ長政ながまさ部隊ぶたい布陣ふじんするのは、東軍とうぐん全体ぜんたい右端みぎはしだ。すぐとなりやまになっている。


 普通ふつうであれば、やまにかからないように布陣ふじんする。斜面しゃめんじんかまえるのは大変たいへんだからだ。そんな状態じょうたいいくさ準備じゅんびをしなければならない。


 なのに黒田くろだ長政ながまさは、そこをあえてやまにかかるように布陣ふじんしたい、と言ってきた。


 そのねらいは、しま左近さこん陣地じんちみずからが突破とっぱすることではない。他にある。


 やまの中をすすみ、西軍せいぐん敗走はいそうみちになりそうな場所に、前もって東軍みかたへいひそませておくのだ。石田いしだ三成みつなり西軍てきおもな者たちをらえる上で、重要な手を先にっておく。


 ただし、この作戦を実行じっこうする場合、黒田くろだ長政ながまさぐん布陣ふじんする場所が、やまの中へとずれてしまう。


 へい一部いちぶをあらかじめやまの中にれておき、西軍てきにこちらの動きをさとられにくくすることが、この作戦の重要な点だ。やまの中にれるへいかずが多いほど、作戦のはばひろがる。


 しかし、問題もんだいもあった。しま左近さこんぐん正面しょうめん手薄てうすになってしまうのだ。


「それに気づいた時点で相手は、島津しまづ義弘よしひろ宇喜多うきた秀家ひでいえにでも、騎馬きばたい援軍えんぐん要請ようせいするでしょう」


「だろうな」


 井伊いい直政なおまさは考える。


 しま左近さこん陣地じんちにいる兵種へいしゅまもりにてっしているので、めにはかない。


 めに出るなら、しかもそれが奇襲きしゅう、または強襲きょうしゅうなら、騎馬きばたい最適さいてきだろう。


 しつもとめるなら島津しまづ義弘よしひろ騎馬きばたいで、かずもとめるなら宇喜多うきた秀家ひでいえ騎馬きばたいか。


 あるいは、その両方が一緒いっしょになってめてくることも考えられる。危険きけんきわまりない状況じょうきょうだ。


 黒田くろだ長政ながまさ部隊ぶたいだけなら、全員でやまの中にむこともできるが、そうすると今度こんどは、東軍みかた陣地じんち右端みぎはしからやぶられてしまう。


「そこで、まんいちを考えて、井伊いい直政なおまさ殿どのには前に出てきてもらいたいのです。手薄てうすになった場所をめていただきたい」


 しかも、そのことをしま左近さこんに気づかれてはならない。井伊いい直政なおまさ部隊ぶたい最前線さいぜんせんに出てきた、とられてはまずいのだ。


 その騎馬きばたいは東軍最強の部隊ぶたい。さすがに相手は警戒けいかいしてくる。明後日あさっての早朝、しま左近さこんじん突撃とつげきするまでは、こちらの正体しょうたい可能かのうかぎかくしておきたい。


「では、古田ふるた織部おりべ部隊ぶたいでもよそおうか」


 井伊いい直政なおまさは言ってみる。


名案めいあんだと思います。古田ふるた織部おりべ殿どのなら適任てきにんでしょう。話のわかるおひとですし」


 古田ふるた織部おりべ織田おだ信長のぶなが豊臣とよとみ秀吉ひでよしつかえた武将ぶしょうで、戦場の経験けいけん豊富ほうふだ。


 冷静れいせい沈着ちんちゃく性格せいかくで、ひろ視野しやによる知略ちりゃく味方みかたたすける。


 また、今はせんの利休りきゅう高弟こうていでもあり、ちゃを通してひろ人脈じんみゃくきずいていた。


 それゆえ、こういう戦いの時に、てきとの交渉こうしょうやくつとめることが多い。最前線さいぜんせんに出てきても、警戒けいかいされにくい人物じんぶつだ。


 ちなみに、黒田くろだ長政ながまさちち黒田くろだ如水じょすい黒田くろだ官兵衛かんべえ)も、古田ふるた織部おりべからちゃ伝授でんじゅされた弟子でしの一人である。


 その古田ふるた織部おりべひきいる部隊ぶたい、予定では黒田くろだ長政ながまさがいる陣地じんち後方こうほう布陣ふじんすることになっていた。


「ですが、予定を変更へんこうして、前に出てきてもらいましょう。大きなたてってよこ一列いちれつならんでもらいますか」


 黒田くろだ長政ながまさじんやまの方へずれたために手薄てうすになった場所、その最前線さいぜんせんに立ってもらう。西軍てきの目をあざむくのに協力きょうりょくしてもらうのだ。


 しかし、本物ほんものの「古田ふるた織部おりべへい」がいるのは最前線さいぜんせん一列いちれつ二列にれつだけで、そのすぐうしろにいるのは「井伊いい直政なおまさ騎馬きばたい」だ。東軍最強の部隊ぶたいである。


 最前線さいぜんせんに大きなたてをずらりとならべておけば、ある程度ていど情報じょうほうかくすことができるはず。西軍てきからは鉄砲てっぽう対策たいさくに見えるだろうが、本当の目的はそれではない。本気で鉄砲てっぽう対策たいさくをするなら、大きいだけのたてではなく、たけたばを使う。


 で、井伊いい直政なおまさ騎馬きばたいよるあいだに、元いた場所から最前線さいぜんせんのすぐうしろへとしずかに移動いどうするのだ。大きなたてと夜のやみとで、その移動いどう西軍てきからかくす。


 そして明後日あさって、九月十六日、小雨こさめきり時間帯じかんたいに、しま左近さこんじん突撃とつげきするのだ。


「この作戦が成功せいこうすれば」


 井伊いい直政なおまさ言葉ことばつづきを、黒田くろだ長政ながまさぐ。


比較的ひかくてき短時間で石田いしだ三成みつなりくびねらえます」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ