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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
ニ章   adventure children
68/70

第三三話 儀式開始 ケッセン

再臨の儀。

それがハイトスの考えるセカンエンデで行われている楽神祭の正体。


その儀が今始まろうとしていた。


雨の中、町の住人は祈りを捧げる。


巫女へそして見えもしない神へ。






【水幸源の町セカンエンデ】



空を覆う黒い雲。


降り続ける強い雨に打たれながら人々は地面へ膝を地面へ付き祈りを捧げ今か今かと楽神祭開始の時を待つ。



ルシュカ

「・・・・・・」


トゥトゥー

「ルシュカ様、カルー様及びジャパニアの著名人の避難誘導を開始致します」



トゥトゥーが避難誘導を開始する。

同時に私も目を瞑り意識を集中した。



そしてついに、戦いの狼煙は上げられた。




オノス

「これより!楽神祭・・・再臨の儀を開始致します!!」




オノスが大々的に宣言をした。

町の住人は声を上げ拍手を送り、他の者達も同じような行動を行いだす。


そして巫女が櫓の上に登る。

同時にその場に隠されていた櫓の更に上には大きな祭壇が姿を現す。



ルシュカ

「なんだ・・・あれは」



姿を現した祭壇はあまりにも不気味な見た目をしていた。

デコボコの石でなどで積み上げられたかのような造形。


まるで遺跡をそのまま持ってきたかのような物だった。


祭壇は造形だけではない。


必ずしも目に映る物が二つあった。



それは、少女二人が入った機械。



私には見たことがある。

間違い無く以前にカズキと戦っていた少女二人だ。



クレエス

「対象を確認しました、全騎最終確認を」



クレエスの声がフォンから流れ出した。

各部隊員の点呼が流れだす。



私の方、ジャパニアの人間達には基本的な情報は伝えていない。

だが、少なからず戦いにはなることだけは伝えている。


いつでも動ける。




ムーゼ

「・・・・・・」

メレニア

「・・・・・・」




二人の巫女が祭壇へと足を動かした。




そして・・・。




クレエス

「作戦開始!! 繰り返す作戦開始!!」



号令が今下された。


サンリーの部隊員が次々と家の上を飛び町の人々を掻き分け祭壇へと走りだす。



「っ!!? なんだ!?」


「こちらC組! 敵襲! モンスターです!」



待ち構えていたかのようにモンスターが召喚されていく。


その瞬間祭りは大パニックに陥った。


逃げ纏う人々。

助けを求める声、多くの悲鳴が辺りを支配していたが。


だが中にはそれでも祈りを続けている者達もいた、まるで回りが見えていないかのように、その場でずっと・・・。



アニレナ

「やっぱそうなるよな!!」


ニーネ

「私達は民間人の救助が最優先です! 忘れないでよ!!」


バラエ

「了解っすー!!!」




ナイクネス第5近衛騎士団。

一斉にモンスターが現れた瞬間にモンスターを撃退していった。


民間人に扮して紛れていた。

すぐに対処するべく、前持って準備をしていた。



クレエス

「D組、騎士団の援護を・・・。っ!?あれは!?」


ルシュカ

「まさか・・・!」



モンスターを騎士団に任せ救出部隊の人間達は急いで祭壇へと掛けようとしていた時だった。



「何を!!?」


「離せ!!」



巫女救出部隊がその場で転倒してしまっていた。

その異様な光景に目を見開いた。



「儀の邪魔は・・・いけない」


「巫女の為に・・・」


「世界の為に・・・」



おかしいと思ったがこれが原因か。


セカンエンデの人々が救出部隊の者達を捕まえ動きを止めていた。


人数はあまりも多い。

しかも彼等は恐らくハイトスの人間ではない。



「巫女の邪魔を・・・世界の・・・為に・・・」



人々は正気を失っているかのように同じ言葉を吐いていた。

こちらが用意した部隊員の大半を大勢で囲い拘束していたのだった。


完全に操られていた。

町の者全てが・・・。



ルシュカ

「・・・っ!」



私はすぐに飛び出し救出部隊を囲う者達のもとへ駆け寄る。

太刀を振るい風圧で町民を飛ばす。



ルシュカ

「おい、大丈夫か」


「は、はい・・・でも」



足が負傷していた。

ハサミが刺され血を流す。



ルシュカ

「こちらルシュカ、救出部隊負傷だ救助を」


アニレナ

「こっちもだ、すぐに救援を頼む!」



すぐに中央指令のクレエスへと報告を入れる。

すでに救出部隊の救援を派遣していた。


私はすぐに体勢を整えた。



「巫女の為に・・・」


「世界の為に・・・」



町民の姿を見た。

ユラユラと動く姿、そしてそれぞれには首から赤黒く光る物を下げていることに気が付いた。



ルシュカ

「パラサイトジェム・・・!」



町民はみなパラサイトジェムをぶら下げていた。

それを見に付けている者は正気を失う。


そしてあらゆる者へ襲いかかる狂気を植え付ける。



だが、私の知っている物とは完全に違っていた。

あれがパラサイトジェムであれば見境なく動く者を襲うはず。


目の前の町民はまるで私達を狙っているかのように動く。



クレエス

「調整・・・いえ、これが完成品と考えるのが妥当でしょう」


ルシュカ

「そうゆうことだなっ!」



太刀を抜き一閃。

襲いかかる町民に一撃を加えた。



パリィィンッ!!



私は町民のパラサイトジェムを破壊した。

するとその町民は力が抜けたかのようにその場で倒れた。


やはりこれを壊せば正気に戻る。


それでも数があまりにも多すぎる。



ルシュカ

「くっ・・・!」



町民のパラサイトジェムを破壊した途端、モンスターが町民を向き出した。


間に入るように動きモンスターを撃退する。


だがこんな事を続けていては、祭壇へと近づけない。



クレエス

「さらに救援部隊をお送りします、ルシュカさんはそのまま町民の正気化を頼みます、祭壇への救出は・・・」



サナミ

「私が行く!!」







ユミィの避難を済ませて一気に戦場へ飛び出す。


さっきまでのお祭りムードが完全に無くなってしまっていた。

私達の作戦なんてお世辞にも完璧とは言えた物じゃない。


それに対して敵はここまで用意周到に待ち構えていた。



サナミ

「っ!!」



ルシュカが教えてくれたように襲い来る町民のパラサイトジェムを破壊する。

同時にモンスターも倒して一気に祭壇へと走る。




パァァアアーンッ!!!



サナミ

「・・・っ!!?」



私はすぐに攻撃を避けた。

顔面を掠めた。


何かの術技に狙われたのか?


しかもこの攻撃は・・・銃?

弾丸のような物が私を攻撃した・・・。



373

「対象を確認、作戦行動を開始します」



目の前に黒いローブを着た者が現れた。


フードで顔を隠しているが、ハイトスの人間だ。


銃の正体はこの子。


すぐさま撃退する為にソードモードに武器を切り替えた飛び出した瞬間。



サナミ

「えっ・・・」



黒ローブが同じように銃から剣へと切り替えた。

二つ銃から光の剣が伸び出し私の攻撃を防いだ。



373

「迎撃開始、アサナイトイリュージン」



分身術技。

黒ローブが一斉に姿を増やした。


私の背後まで分身を作り出していた。



サナミ

「もう・・・! 邪魔をして!」



時間が掛かるかも知れないが、今はとにかく急いで対応しなくては。

片方をガンモードに切り替え応戦する。


それを真似るかのように敵も銃と剣の形態に切り替え私をあざ笑うかのようにして戦う。



サナミ

「ナイトレイバレット!!」


373

「アサナイトバレット・・」



お互いの連射術技が相殺され爆発した。


似た術技・・・だけど、こちらの方が威力は上。


申し訳ないけど、構っている暇はない。

一刻も早く、あの祭壇に・・・。



サナミ

「・・・っ!?」



黒ローブの女・・・?


女の人だった。


性別がわかった。


何故ならフードが・・・取れて・・・素顔が・・・。



サナミ

「そんな・・・どうして・・・」


373

「・・・・・・」



私と・・・同じ顔・・・。


まさか・・・この人。



373

「有効打ならず、戦闘継続、手法変更、アサナイトイリュージン」


サナミ

「っ・・・!」



また同じように分身術技。


だがさっきとは違うこと。

フードが捲られ・・・私と同じ顔が何人も姿を現した、ということだ。



サナミ

「なんで・・・!」


373

「一斉射撃、アサナイトバレット」



分身達から一斉に攻撃を受けてしまう。


自分と同じ顔からの攻撃。

頭が可笑しくなりそうだ。


何がどうなってるの・・・。


まさか・・・本当に・・・。



サナミ

「うあぁああああああ!!!!」



一斉攻撃で出来た煙から一気に飛び出す。


殆どの攻撃を受けてしまった。

それでも力を振り絞り分身を倒していく。


一体、二体と地自分と同じ顔の敵を倒していく。



373

「アサナイト・・・バスター」


サナミ

「ナイトレイ!!バスター!」



二人の銃口がお互いに向き合う。


再びお互いの術技がぶつかり合う。


余波が襲い吹き飛ばされる。

こんなにも意識を持ってかれてしまう戦いは初めてだ。


冷静にいようとすればするほど敵の素顔が目に止まってしまう。



まさか、これもハイトスの罠・・・。


幻術技で顔を変えて・・・。

だがそれはない。


もう自分の感覚が可笑しくなってしまっている。

たったこんな事だけで。

ここまで乱されては。



373

「・・・っ」


サナミ

「なっ・・・しまっ!」



グオオォオオォオォォオオオオオオオオオンッ!!!!



モンスターが頭上から武器を振り被って降りてきた。


咄嗟に防御姿勢を取る・・・。




サナミ

「きゃぁああああっ!!!」




私は、壁へと激突してしまっていた・・・。








ルシュカ

「くぅ! これで!!」



広場に集まる町民のパラサイトジェムを永遠と壊していく作業。


小さい的だけにルシュカはかなりの神経を使った。

更にモンスターの相手もしなくてはならなかった。


あまりにも時間をかけ過ぎていた。



ルシュカ

「次は・・・もう」



だがその時間もようやく終わりを告げた。



そしてその瞬間に中組のクレエスから伝令が飛んだ。




クレエス

「町民等の救援完了しました。 作戦実行お願いします」


アニレナ

「待ってたよぉー!!」


ニーネ

「皆さんやりましょう!」


ルシュカ

「あぁ!!」




全員、クレエスの伝令を今か今かと待ち望んでいた。

すぐに懐からエレメタルキーを取り出し、起動した。




【アンチサモン オン】




ほぼ全ての者達がエレメタルキーを起動させ上空へと掲げた。




オノス

「何を・・・、っ!? モンスター達が・・・消えていく!?」



オノスは祭壇の上からその光景を見ていた。

自らが用意したモンスターが消えていく様を。


町中に張り巡らした召喚石が次々と機能を停止していったのだ。




ルシュカ

「よし! 全軍続け!!」




これも作戦であった。


ハイトスの主な戦力はほぼこの召喚式の戦いにある。

召喚石や召喚術技でモンスターを呼び出す戦法、質よりも物量で戦う奴らの対抗策。

それをシュリーは作り上げたのだった。


対召喚用属性鍵を。


これを町全土に散りばめた部隊員が起動させることで召喚を封じたのだった。


町に到着した時にカズキが町の全構造を把握したのこの為でもあった。

サンリーから出発する段階でこのキーを開発できたのは不幸中の幸い。


ある意味で対ハイトスの切り札とも言える物だった。



オノス

「くぅっ!」


ルシュカ

「あとは雑魚の群れだ! 押しきれ!!」



祭壇の前には複数のハイトスの人間達が壁になっていた。

だがルシュカ達の敵ではなかった、ここにいる者達は常に前線で鎬を削ってきた物達。


実戦経験の浅い者達では止めることは出来ない。



オノス

「仕方ありません、こちらも策を使うとしますか」



オノスは前線で戦う物達に支持を飛ばした。


そしてハイトスの団員達は次々と何かを取り出した。



「我等は神の為に」


「神は・・・我等の為に!!」



次々と取り出した鉱石を胸に突き刺し出した。


血を吐き、苦しみ、悲鳴を上げる者達も居た。

だがそれがオノスの用意した策。



アニレナ

「こいつら!」


ルシュカ

「パラサイトジェムを胸に・・・いや違う、あれはなんだ!?」



パラサイトジェムを胸に刺した者達が次々と変異していく。

元の肉体は弾け、煙を出しながら新たな形を形成し始めた。


モンスター。


だが見たことのないタイプのモンスターだ。

見た目は人間に近いが、全身から毛が生え出し身体はどんどん膨らみを増しやがて巨大な姿へと変貌していった。




うおぉおおおおおおおおおぉぉおぉ!!!!




巨大化したその生き物達は叫んだ。

自らの力が増長した事を感じ、モンスターのような咆哮を響かせた。



アニレナ

「巨人ってか、上等じゃねぇか」


ルシュカ

「さっさと潰すぞ、恐らく、あまり時間がない!」



全部隊がルシュカと共に飛び出す。

叫び声と共に巨人は拳を振り下ろす。


地面を震わせるほどの破壊力が部隊員達を襲う。

あまりにも重い一撃。


部隊員達は衝撃波のみで次々と吹き飛んでしまっていたが。



ルシュカ

「うぉおぉおお!!!!」



巨人の攻撃をかわし腕をつたって駆けた。


一瞬で巨人の顔面までたどり着いたルシュカは、一閃を食らわす。




攻撃は命中し・・・顔面を一撃で破壊した。



大量の血が吹き荒れる。

一体の巨人の動きが止まり体勢を崩し、そのまま倒れるかと誰もが思った。



ズンッ・・・!!!



巨人が踏み止まった。


倒れる寸前で足を動かした。



ルシュカ

「何、こいつ等・・・まさか」



一撃で粉々に破壊した顔面が、別の顔で再生されたのだ。


この光景をルシュカは思い出した。


あのゾーゼスで戦ったかつてのジャパニアの四守護家の一人、メージャの姿を。



驚異的な再生能力と姿を変える力。



ルシュカは確信した、やはりあれはパラサイトジェムだと。



そして倒す方法も同じだと。




ルシュカ

「ジェムだ! 恐らく何処かにジェムがあるはずだ! それを探せ!」


クレエス

「こちらでも解析をします、ニーネさんもお願いできますか」


ニーネ

「わかりました、騎士団は私が解析、共有します!」




改めて体勢を立て直す。


ここにきて更に厄介な物を取り出してきた。


時間は無い。

その前にあの祭壇にたどり着かなくては、本当に手遅れになってしまう。



全員の焦りが見えだしてきた・・・。







373

「増援消失・・・属性鍵を使用しての遠隔妨害・・・、っ!?」



サナミ

「はぁあああぁぁ!!!」




上空からサナミが奇襲を仕掛けた。


373はすぐさま迎撃に出る、だがサナミの連撃についてくことが出来ないでいた。


洗練された動き隙を一切与えない連撃に373防御で対応することで精一杯だった。



サナミ

「あなたが誰なのかなんて・・・今は!!!」



373を崩した。

すかさず二本の剣で重い一撃をぶつけた。


サナミの攻撃を防ぐことは出来た373、防ぐことしかできず体勢までも崩され今度は373が吹き飛び壁へと激突してしまっていた。



サナミ

「これで・はぁ・・・はぁはぁ、終わりよ!」



ガンモードで373を狙う。


この一打で勝負は決まる。

373が何かの動きを見せた瞬間に引き金を引く。

ただそれだけだった。



373

「・・・・・・」


サナミ

「最後に聞くだけ聞くね・・・あなたは、私なの?」



サナミは373の目を見る。


自分に瓜二つ、信じられない事だが、一切表情を変えないこの人はあまりにも似過ぎていた。

髪と目の色は違うが、それ以外は鏡に移されているようだった。


本当はこんな事をしている暇なんて無い。

けれど・・・。



373

「歪曲、改変、変換、湾曲・・・」


サナミ

「何を・・・言ってるの」



373がポツリポツリと言葉を発する。

その言葉にサナミは頭を働かせるも理解が出来なかった。


それでもそれが命乞いのような言葉には考えられなかった。


何かを伝えようとしているのかと。



373

「・・・っ!?」



その時突然373が目線を変えた。


路地裏で戦っていたこの場所の路地の出入り口へと目をやった。

何かを感じたのだ。


サナミもその挙動に不審を抱き同じように見てしまった。



すると遠くには人が通った。

小さい体の四人の人影が通り過ぎていったのが見えた。


走り去った方向は祭壇がある場所。



373

「行動停止を・・・要求!!!」


サナミ

「えっ・・あっ!」



突然銃を突き付けられていたはずの373が動き出した、路地の出入り口へ。

その挙動に驚き引き金から指を離すサナミ。


サナミを襲うわけでも無く抵抗するわけでも無くただがむしゃらに動き出し走り出した373。


ただ走った。


殺意を消し走り出した。



サナミ

「・・・・・・っ!」



そしてサナミも後を追うようにして走った。


今なら373を狙い撃つことが出来る。

だがそれをしなかった。


サナミもまた同じように先ほど通りかかった人影に見覚えがあったからだ。


もしかしてと。



サナミ

(嘘だよね・・・!)



一気に373の事が頭から吹き飛んだ。


今目の前を通り過ぎたのは、紛れもなく大人の姿ではなかった。



つまりは・・・子供。



四人の子供が通り過ぎたのを確認したのだった。


急いで後を追う事に集中した、その瞬間だった。




サナミ

「・・・っ!!? 地震!!?」




地面が揺れ出した。

思わずその場で止まってしまう。


当然それはサナミが居る場所のみのことではなかった・・・。





アニレナ

「なんだこの揺れ!!?」


ルシュカ

「まさか・・・!!」



この場にいる全員が動きを止めていた。

敵である巨人もまた揺れの激しさに体勢を保つのに必死だった。


そして・・・全員が祭壇に目を向けた・・・。





オノス

「さぁ!!! 再臨の時は!!! 今!!!」




祭壇のオノスがまるで勝利宣言をするかのように叫んだ・・・。


























まだ・・・まだ間に合う!!!!







小さいな身体の子供達は走った。


祭壇へ。


助ける者がそこにいるから。








 地震。

 だがこれはただの地震ではなかった。自然に起きたことでは無いセカンエンデいる者はみなその原因が何かすぐにわかった。



 水。


 全ての水、雨、そして海すらも。全ての水が急速に集まり出した。

 そして祭壇の頭上に巨大な球体が姿を現した。水を固めたような形をした物体。

 全員がその物体に目を奪われていた。これが再臨の儀の結果であると。

 超常現象。そう呟く者もいた。

 ハイトスの人間達もその場で平伏しその物体に感謝の言葉を飛ばす者も少なくなかった。



ルシュカ

「あれが・・・」



 ルシュカのみならずその場で戦っていた者達全てが言葉で表す事が出来なかった。見た目はただの水の塊、徐々に大きさを増していく球体。

 見ているだけで寒気を催した。一体あれは何だと。


 目の前に浮かぶ物体は本当にただの水なのか。



 違う。



 わかる者、それこそ騎士団やルシュカ達はすぐにそれがただの水の塊だとは思わなかった。


 あれは・・・本当に止めなくてはならない物だと。



アニレナ

「ルシュカ!! 先に行け!!」


ルシュカ

「わかった!!」



 呆けていても何もならない。

 アニレナに変異した人間達を任せ単身で祭壇へ一直線に飛び込む。だがルシュカの心の中は動揺が隠せないでいた。

 こんな物が、自分の力でどうにか出来るのか?これを止めるにはどうしたらいいのか。自分は何をすればいいのか、何が出来るのか。



ルシュカ

「・・・しまった!?」



 動揺が鈍らせた。

 ルシュカは見えない何かに阻まれ激突し吹き飛ばされた。


 見えない障壁。 


 単純な物、敵がこの祭壇を見えない防壁で覆っていた。そんな事に気付かずに一人ルシュカは飛び込んでいった。自分からただその障壁に体当たりして吹き飛んでしまった形になっていた。


 そんな初歩的なミスに落胆してしまう。


 目の前には儀で現れた巨大な球体がまるでルシュカを嘲笑うかのよう遠ざかっていく・・・。


 

 だがその瞬間。




ヘスティア

「クァァァアアー!!!!!」




 落ちるルシュカを通り過ぎ小さな翼を生やした狼が見えない障壁に対して攻撃をしていた。

 それを合図に次々と人影がまたルシュカを通り越し攻撃していた。




ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「たぁあああああああ!!!!」」」」




 子供達の一斉攻撃。障壁を壊し為に全力を振り絞っていた。

 ヘスティアを中心に四方形に位置へ武器を擦り付ける。


 だが障壁は壊れない。歪みは発生している。だがそれでも足りない。

 子供達の攻撃だけではあと少しが足りない。



ルシュカ

「波爆術技!!」



 落ちながらも太刀を正確に振るう。子供達に当たらないように精密に。

 ルシュカの術技が子供達全員の攻撃点にピンポイントに直撃した。



バリィィイイィインッッ!!!!



 ガラスが割れるような音が響き割った。

 障壁が・・・割れたのだ。



ルシュカ

「いけぇえ!!!」


ケイト

「っ! はい!!!」



 障壁を破壊した5人はそのまま祭壇へと飛んだ。援護をしたルシュカを背にし飛んでいった。




サナミ

「あぶっな!!!」


ルシュカ

「っ!? すまん助かった」




 完全に体勢を崩し地面へ叩きつけられるつもりでいたルシュカだったが間一髪でサナミ受け止めた。

 サナミは子供達を追ってここまで来ていた。見間違いではなかった、さっき通ったのは紛れもなく自分の知っている子供達だったのだ。



サナミ

「ごめん、阻止できなかった」


ルシュカ

「いや、それはお互い様だ申し訳ない・・・、今のがまさか」


サナミ

「うん・・・言っていた子達、カズキさんと一緒に旅をしていた子供達だよ」



 二人は割れた障壁が修復される様を見ながら子供達を見送った。

 そして二人は改めて武器を手にした。



サナミ

「ねぇルシュカ、ここに黒いローブを着たハイトスの女を見なかった?」


ルシュカ

「いや、ここにいるハイトスの連中はほとんどあれだ」



 ルシュカは顎で示した。今騎士団達が戦っている場所を。


 それを見て険しい表情をするも目を瞑りサナミは落ち着きを取り戻した。

 ここに、373は来なかったと。


 彼女は途中で術技で姿を消した、瞬間移動でも使ったのかサナミから子供達を追うようにして動きサナミはそれを追う形になってここへ来た。

 目的が分からないでいたが、もしかしたらと思い改めて目を見開く。



サナミ

「やろう、ルシュカ」


ルシュカ

「あぁ・・・いくぞ」



 煌煌ノ騎士と妖爆姫君が並び立つ。

 全てはこの障壁を破壊してから。用意した作戦はまだ終わっていない。




 まだ・・・抗える・・・。

 

 まだ終わってないんだ。






ネーネ

「よしっ・・・!」



 全員何とか櫓の上にたどり着けた。あの女の人が援護してくれたおかげで辿りつけることが出来た。助けてからでもよかったけど、そこまで頭が動かなかった。

 ごめんない、そしてありがとうございます。



ダツ

「いてててて…」


ケイト

「あれが・・・!」



 みんなで同じ方向を見る。

 祭壇だ。

 手前にはシスターとムーゼさんの二人がまだ祈りを続けている。


 そして・・・その奥には。



ケイト ダツ

「シスター!!」


ダツ

「ムーゼさん!!」


ミニア

「ヒルメ!!!」


ネーネ

「チヨー!!!」



 みんなが名を叫ぶ。私達の声は届いていないのか、一切の反応が返ってこない。

 だけどその変わりと言わんばかりに男の声が…私達に呼び掛けたのだった。



シェイン

「おぉおおおおぉぉぉおおお!!!!! あなた方が来るとはまさに!! まさに!!! おぉおぉ!!勇敢なる蒼き使徒の弟子達よぉおぉおぉお!!!」



 黒いローブの男の人が大声を上げまるで私達を歓迎しているように両手を広げていた。

 手元には武器も何も無い、だけど男からは気を離せない何かをみんな感じていた。

 そして勇敢なる蒼き使徒の弟子?

 私達の事を言っているのはわかったが、蒼き使徒というのは…。




ダツ

「何言ってんだよあんた!!」


シェイン

「ふふふふふふふ~~~ん!!! 素晴らしい威勢!!! 純粋なる心!!! 他の力に屈しないというその目!!! 素敵ですねぇーあぁあぁあ!!! 素敵だぁああ!!流石蒼き使徒の弟子!!!」


ミニア

「何よ! その、蒼き使徒って!?」


シェイン

「おやあぁあ!!?!? 何もご存じでない!!? そうですかぁああああ!!! ならばご教示して差し上げましょう」




 異様なのは雰囲気だけでは無かった。言葉遣い立ち振る舞い。表情。全てが異様な男の人。

 自然と私達は手に力が入り握り拳を作る。油断はしてはいけない絶対にと。




シェイン

「ではぁあああ!!! 『北陸の英雄』とでも言えばわかりますかね??? そぉぉぉおぉぉう!!! 彼こそ北陸の英雄!! 何人足りとも追従を許さぬ最強の御方!! そして神に選ばれし使徒なのでございます!!!」




 あの人が・・・北陸の英雄。

 当然誰もそんな事は教えてくれなかったそして本人の口からも語られることはなかった。


 だけど、ここにいる全員が驚くことはなかったのだった。




シェイン

「んえ????? あれ~~??? 彼こそが!!!真の北陸の英y」



ケイト ダツ ネーネ ミニア

「「「「そんな物に興味はない!!!!」」」」




 一斉に怒鳴った。男の人は大袈裟にビックリしたリアクションをしていた。

 



ケイト

「僕達にとって、あの人がどんな人なのかなんて関係ない!!」


ダツ

「どんな事をしてきたかなんて知らねーよ!!」


ミニア

「今更聞かされた所で、私達の気持ちは変わらない!!」


ネーネ

「あの人は・・・、あの人だから!! 私達は好きになったんです!!」




 思い思いの気持ちを吐き出す。

 誰がなんと言おうと変わらない、変えることは出来ない。それが私達の想い。

 決して曲がることのない物、それは今後も変わらない。


 もし変わったとしても、きっとまた戻る。


 いや、もっと強くなる。どんなに強い力が立塞がったとしても決して変えることはない大切な物だから。




ケイト

「そこを退いて貰います!」


ダツ

「力づくでもなー!!!」



 私達は一斉に構えた。

 この人がどんな力を持っているかなんてわからないが。だからと言ってここは退けない。地面を這いずり回ってでも必ずたどり着いてみせるんだ。


 それが私達の……変えてはいけない物だから!!




シェイン

「笑止千万!!! この私に・・・、と言いたい所ですが。残 念 無 念 !!!あなた達と戦う者は別にいまぁあぁーす。 そうですね、もし戦う機会がありましたらその時は、お手柔らかにお願いしまぁああぁあぁあああーす!!!!」




 戦わない? 別の人間?

 私達は一瞬だけ気を抜いてしまった。


 その瞬間、頭上から一本の剣が私達目掛けて飛んできた。



ケイト

「くっ!!! なんだ!?」



 咄嗟にケイトが盾を振るって剣を弾き飛ばした。

 私は襲ってきた剣の軌道に驚いていた。

 投げ飛ばしてきた物じゃない。まるで操っていたかのような物だった。

 糸や見せない何かが付いていたわけじゃない、意図的に動かしていた。




シェイン

「あなた達の相手は!!! ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコデデンッ!!!!! 彼女です!!!! そう因縁の この方あぁああああ!!!!」



 私達は、男が手を差す方を見た。

 そして驚愕し言葉を失ってしまった。

 

 どうして……あなたがここにいるのか、どうしてこん連中と一緒にいるのか。


 なんでこんな事に手を貸してるのか。


 まるで走馬灯のように思い出が湧き出てくる。




ヘスティア

「クァァ・・・」



 ヘスティアにとっては初めて会う人。だけどヘスティアの反応から知っているのだろう。


 だって……ヘスティアを、卵から孵す事が出来たのはこの人の、おかげだから…!!











ネーネ

「リュゼル先生!!!!」


リュゼル

「・・・・・・」




 先生は表情も変えず、ただ私達を見ていた。

 まるでいつもの表情のように。



 ただ……私達を見ていたのだった…。


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