第9話 佐藤陽菜と安平響子
陽菜は強烈な視線を響子に浴びせかけた。
「じゃあ、やっぱり峯岸のクイズ大会案を支持してればいいじゃない。支持する気もないどころか反対している案に対してとやかく言うとかうざいわ」
またもや響子は首を横に振った。
「峯岸さんのクイズ大会案もそんなに面白い出題で揃えられるのか疑問。チェックすると言っても数が多いから面白くない問題を通してしまう事も少なからず起きるはず。でもつまらなかったらお客さんが来ない。無駄な努力はしたくない。ちゃんと品質を保証する仕組みを提案してくれないと賛成できない。だから現時点での多数決投票には反対する。それは正しくないから」
この響子の発言に瑞希も怒りを覚えた。要するに響子はどっちも嫌だと言ってる訳。こちらの案の賛成に回って助けてくれる気があるのか疑わしい。着地点のない乱入なら陽菜より許せない。
悠太は気になった事があったので響子に質問した。
「安平さん自身には何か案はないんですか?」
響子は初めて笑顔で応じた。
「ないです。どちらかで決まればいいと思ってますが、現状これでは十分じゃありません。そもそも投票以前の問題です」
教室からは悠太を筆頭に少なからずため息が聞こえたが響子は動じなかった。別に私は間違った事を言っている訳ではない。亘理委員長の進め方が場当たり的すぎるだけ。
悠太は頭を抱えた。詳細はまだ後日でもいいけど、何をやるかぐらいは今日決めておきたい。詳細案を詰めてから決めるというのはスケジュールを気にしないならいいけど、そういう訳にはいかない。文化系クラブなんか展示で忙しくなるのに先送りは避けたい。響子のの乱入は極めてまずいぞ。