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渦の世界2
渦はまるで呼吸しているかのように、深く深く水を吸い込んでいる。
大きくなったり、小さくなったり、ゆっくりと。ただ確かに。一つ一つ確実に世の中の彼是を吸い込んでいる。それは生き物のように見えた。自然の一部としての生命としてではなく、意思を持った一個体。えぬの知っている渦潮とは全く異なったものがそこにはあった。
「何をそんなにもの珍しそうにしているんだい」
急に声をかけられたのでえぬは体を強張らせた。視線を声の方に向けると、少年が1人立っていた。潰れた鼻とにきびが特徴的な、醜い少年だった。
「そろそろ、『空吸い』の時間だから、早く内陸にもどらなきゃ」
そう言って、少年は渦と反対にある陸地の奥へと進んでいった。
少しの迷いはあったが、とりあえずえぬは後を追った。知らない世界においては慎重になることも必要だが、まずは自分の直感を信じることが大切だ。世界を渡り歩いているうちに身についた。生きるため、進むための本能。理解はできないが、感じることはできるそのチカラを信じ、えぬは少年の後ろ姿を追いかけた。




