宇宙の姫君達と結婚することになりそうです!
緊張な面持ちで教室に豊は入った。
それは当たり前の事で、誰だって新しい環境になればきっと味わう事だ。
「炎屋 豊です」
周囲の視線を一気に受ける。
歓迎という感情も読み取れるが、値踏み。
そういう言葉が似合うだろう。
「ちょっと、見て! あれが地球の男の子よ!」
「シルヴィさんの恋人らしいわよ」
女子特有のひそひそ話だろうか。
豊はなかなかそれに慣れなかった。
「しーずーかーに! では、豊くんもう少し詳しく自己紹介してくれる?」
「地球人です。あ、えーと。好きな食べ物はプリンです」
「プリンですって! 可愛らしい!」
「きゃあああ!!炎屋様ああああ!」
昼休み、豊は疲労した面持ちでシルヴィの所へ向かう。
大量の質問に、べたべたと触られる皮膚。
人の姿から、馬の顔をした少女だったりと、とにかく忙しすぎた。
「おーシルヴィ!」
「どうだった? たくさん質問されたでしょう?」
シルヴィは豊の顔からさっきまで何があったかを察する。
「いやー。もう一生分の質問をされた気がする」
「まぁみんなも気になるのよ。何せ地球人なんてそうそうお話しする機会はないしね」
薔薇庭園で二人は食事にする。
豊はこの時間を心待ちにしていた。
「あの、変な形になったりもしたから。期待しないでよ」
「分かってるって。ありがとな」
小さな弁当箱に詰められた色とりどりのおかずに豊は驚いた。
きっと朝早くに用意したのだろう。
手間のかかる唐揚げや、ハンバーグなどが手作りされていた。
「ん! うまいぞ!」
「本当に? 良かったー……。少し心配だったから」
薔薇庭園は心なしか良い雰囲気になる。
豊とシルヴィはじっと目を見つめあってはにかんだ。
「ん、何かこれからも大変そうだけど。これ作ってくれるなら頑張れそうだ」
「そう? なら毎日頑張っちゃうから!」
二人はそんな話をしながら、昼休みを過ごした。
『緊急ニュースです。地球側の発表により、炎屋豊さんが多重婚を認められました』
校内から庭園に目掛けて人が溢れかえってくる。
豊はそのニュースをまだ知らなかった。
「ゆ、豊! これ見て!」
そう言ってシルヴィが携帯を豊に見せた。
「げっ! なんじゃこれ!」
あっという間に、取り囲まれる炎屋豊。
そこには彼が望んでいた、今までとは違う生活が待っている。
「豊、とりあえず逃げるわよ!」
「お、おう!」
手をとって、逃亡を図る二人。
その手は今までよりずっと強く握られていた。
……どうやら炎屋豊は宇宙の姫君とではなく、姫君達と結婚することになりそうです!
完結です。
短いですが、いつかまたもっと練って恋愛物も書いてみたいなと思います。
連載中の他作品もあるので、宜しくお願い致します。




