拝啓 5月27日 ライラ=ロ=ノクタリカ 先生へ
お手紙ありがとうございます。ご心配をおかけしました。わたくしはもう大丈夫です。
先生は本当にお優しい人ですね。グータラ令嬢なんてとんでもない。やっぱりクールで、丁寧で、それなのにどこか肩の力が抜けている。そして、何よりあたたかい。憧れます。
わたくしのために、こんなにもたくさん時間を使っていただいて、アンナ・パーカーは果報者です。
先生が初めてわたくしに手紙をくれたとき、手紙とは『自分はどう思うかではなく、相手を想う気持ちを言葉にすることが大切』と教えてくれたことを覚えていらっしゃいますか。短い時間ではありましたが、わたくしは灰色の狼さんと手紙のやり取りをしました。その中で、わたくしは灰狼さんの“初めの手紙”から、わたくしを想う気持ちというものを、確かに感じておりました。タイプライターで書かれた機械的な文字から、です。熱に浮かされた小娘の戯言だとお笑いになるかもしれません。ですが、この胸に、はっきりと感じたんです。なので、やはり先生のお話は違うのではないかな、そう思います。わたくしのためにあえてそう話してくれたんですよね。
でも、せっかくですので、わたくしは騙されたふりをしてみます。先生の話のとおりなら、きっとあの人は今も自分を責めている。そして、もう一度、わたくしの前に立ちたいと言ってくれている。
なので、わたくしは待とうと思います。いつの日か、あの人が自分を赦し、仮面を脱ぎ捨てて、わたくしを迎えに来てくれる日を。不器用な愛の真実を、語ってくれる日を。待ってみようと思います。気が済むまで。ずっと。それが、わたくしが心の底から惚れ込んだ、あの人の色。
“秘めた想い”なのですから。
今回は短いですがこのあたりで失礼します。しかし、こうやって先生からのお手紙を拝読していると、やはりわたくしの文通力は先生の足元にも及んでいないと痛感させられます。また、どんどんお手紙をお書きします。その時は無理のなさらない程度に、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします!
敬具
あなたの弟子 アンナより
※アンナは、灰狼の手紙を見つめたあと、そっと胸に抱きしめた。
(完)
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佐倉美羽




