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【連載版】「もう会うこともあるまい」と手紙で私を捨てた元婚約者様へ。あなたが食べたそのお菓子、毒よりおそろしい「真実」が入っていました  作者: 佐倉美羽
CASE1:或る兄妹の秘密〈灰色の狼の謎〉

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拝啓 5月18日 ライラ=ロ=ノクタリカ 殿へ 1/3

 新緑の候、すがすがしい好季節の折から、ますますご隆昌のこととお喜び申し上げます。

 僕はロジャー・パーカー。P4RKER宝飾店で店長代理をしています。


 まず、先般のお手紙について、訂正も反論も、返す言葉すらございません。招待状はルイに持たせましたので、手元にはありません。おっしゃる通り、ルイが会場に行き、自分が灰色の狼としてアンナと手紙のやり取りをしておりました。


 なぜこのようなことをしたのか。疑問に思われているようですので、そのことについてお話します。


 最初に白状するならば、アンナと灰色の狼の逢瀬は仮面舞踏会での一夜限りの関係で済ますつもりでいました。恋文のやり取りに関しては当初予定になかったのです。ですが、ルイが会場であまりにも()()()()()()()()。結果、のぼせ上ってしまったアンナは私的な関係を深めようとルイに迫り、彼はとっさに文通ならば、と答えてしまった。というのが真相です。


 それでは、なぜこのようなことをしたのか。ライラ様はアンナを守るためか、手放さないためかと問われました。今となっては何を言っても信頼されないかと思われますが、僕はアンナを守りたかった。だから、かようなことをしてしまったのです。


 アンナからどこまで聞いているのかわかりませんので、最初からお話します。僕の両親は僕がまだ小さい頃に強盗に入られて亡くなっています。僕はそのまま叔父ベンに引き取られました。叔父は宝石職人で、気難しく厳しい人でしたが、『今の世の中は読み書き計算ができないと話にならない』とあらゆる手立てを講じて僕に叩き込み、生きる術を教えくれた人でした。今でも尊敬しています。


 そんな叔父は宝石の売り手である義母ジェーンと一緒になりました。アンナが生まれて、幸せの真っ只中でした。なのに、叔父は病で亡くなった。残されたのは僕と、まだほとんど面識のない義母ジェーン。そして、赤子のアンナ。義母は責任感の強い人だったので、叔父の遺児である僕を育ててくれましたが、やはりどこか壁を感じていました。しかし、アンナは違いました。アンナは僕にとって世界で唯一、血のつながりがある家族です。血のつながりというのは特別で、まだ赤子だったアンナと出会ったとき、僕はこの子を命に代えても守らなければならないと心から思いました。


 これが、僕たちの関係です。


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