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第七話

イノベーションフェスタ当日。


「デカすぎだろ」


宮坂が感動の眼差しを目の前の建物に向ける。

確か高さが約700mありスカイツリーよりも大きい建造物として出来た当初は話題になった。

この建物こそがイノベーションフェスタの会場である国際科学技術センターだ。

今日の参加者は300人以上でそのほとんどが世界で名を馳せている科学者である。

周囲を見渡すと外国人が多数を占めている。他にもテレビで見たことあるような政治家なんかのお偉いさんもいた。

彼らがこのフェスタの発表内容を聞いても何も分からないだろうが、そこに居るだけで意味があるのだろう。

そんなお偉いさんが居ることもあり警備かかなり厳重でネズミ一匹は入れないような状態だ。

ここでならアメリカ軍も接触しないだろうと思うかもしれないが俺の考えではその逆だ。

外国人が多数を占めているこの会場だからこそ招待状さえ偽造すれば俺達に自然に接触できる。


「とりあえず俺は受付してくるからお前らは自由に行動してていいぞ」


研究室の代表として矢野教授は受付に行った。

こういう雑用は普段俺に投げられるのだが矢野教授は珍しく自ら受付へと足を向けた。

その理由はいたって単純だ。受付嬢の容姿が優れていたからだろう。遠目で見てもその美貌を感じることが出来た。


「何見とれてるんだ!」


俺の背中に衝撃が加わる。首だけ振り向くと俺の背中に冬川の小さな拳が突き刺さっている。


「勘違いするなよ。男なら当然の反応。自分の意志では制御が難しい所謂反射と言うやつだ」


俺の言い訳に冬川は「ハァ」と大袈裟にため息を付いた。


「皆、あそこ見て」


宮坂の声に促されて視線を向けると、そこには現アメリカ大統領のトム・ジェイクがいた。スーツ姿の屈強な男たちが、彼を囲むようにぴったりと護衛を固めている。


「招待リストには載っていなかったはずです」


朝霧がスマホを確認しながら呟く。招待されていないが、権力を利用して無理やりこの会場に入場した。あまりにも不自然な訪問。

(・・・ついに来たか)

俺は胸の内で呟いた。懐にしまったUSBの感触がやけに重く感じる。



教授が受付を終えたことで一旦用意された部屋に集合することになった。


「じゃあ、このフェスタの最終確認をするぞ。以前から言っていたようにこのフェスタは2日間行われる。今日は特に予定は無いが明日は俺の発表。お前たちにはその手伝いをしてもらう。そして明後日は他の科学者たちとの交流会。ここに居るのは殆どが世界で名を馳せている科学者だから面白い話が聞けるはずだ。」


珍しく真面目な教授に俺たちは驚きを隠せない。


「あと、部屋割りだが如月、真田、宮坂はこの部屋で冬川と朝霧、そして俺はこの隣の部屋を使う」


次の瞬間、教授の腹部に小さな拳が突き刺さった。


「冗談は顔だけにしろ。教授みたいな不潔な男と一緒に寝るくらいなら野宿する」


「わ、私もちょっと・・・」


朝霧が少し顔をしかめながらも同意の意を示す。

教授は腹を抑えながら反論する。


「考えてみろ。この研究室のメンバーは全員で6名。丁度3・3で別れることが出来る。男と女で分ければ2・4になり不公平だ。そこで俺が女子部屋に移動することで3・3になりすべてが解決する」

「教授、俺が女子部屋に移動します」


教授の意見に真田が乗っかった。その表情はいたって真剣だ。


「分かった。じゃあ、こうしよう俺と真田が女子部屋に移動するという事で決まりだ」


教授と真田だけの拍手が部屋中に響き渡る。

教授の理論はすでに破綻しているが満足げな表情をしている。

俺としては部屋が広くなるのだからそれでも良いのだが。


「待て、教授と真田が同じ部屋だと?さすがに身の危険を感じる」


冬川と朝霧の顔色が段々と青ざめていく。朝霧に至っては今にも泣きだしそうだ。

白熱した議論の末最終的には男4人、女2人で別れることになった。


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