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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ  作者: 桜葱詩生


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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #169

※2026/06/17いくつかの表現を修正しました


セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #169



室内をうろつき回る 東棟奥へと向かう廊下 待合室に備え付けてあったものが溶接と圧力とで無理に押し潰され巨大なブロックになり 物理的にそこを塞ぐ その表層には、そちらが重力の底であるとするように 椅子やダストボックスが乱立する…近づくと実際に引っ張られる感覚 待合室からそちらへとは抜け出れず…断絶と拒絶 ブロックには穴のような少しばかりの隙間もなく 組み込まれた材質の中には 助けを求めてこちらへと、天に向かって手を伸ばし神にすがる人々が無造作に挟まれていた…話しが違う、とでもいいたげな風貌で 彼らは(すべか)らく、椅子やゴミ箱、無機物と融合し、半機械生物と進化し…代わりにあらゆる自由を失い、オブジェクト化し…イモータルへと近づき、為れずに、苛まれるように呻く


四方に立つ柱に括り付けられた屍体 妄信者たちは皆、異常なほどの痩躯を超えてミイラのように干乾び、なのに自らの体液だけは豊富に この祭儀へと提供し続ける…そこに棲まう異教の神へ、自身が行える唯一の貢ぎ物はこれだけ、とでもいう献身的な…無駄なことを粛々と その終着点がどこへなのか…分かりたくもない


痛みと苦難 それを乗り越えた先に真なる安息がある 今この苦痛を我慢して乗り越え、この先にある約束された栄光、成功を勝ち取る それを目指して一致団結し励まし合い、日々を励む…その成れの果てが…これか あらゆるカルトが喧伝する自己犠牲の向こう側 欺瞞と疑心に満ちたやり方の…まあいい


待合室の床の上に オレが歩き回り 刻んだ跡がそっくりそのまま、残っていた その痕が溝になって、血液の素行を邪魔し 魔法陣(シジル)を形成する形を崩していく…オレごときの足跡による防波堤で 点々と臨んだ素足の痕 無規則に続く放浪の記憶 それはギブスに包まれた左足の分もご丁寧に残されていた こちらの足は膝から下、足先まですべて石膏 そこに足の指などというものはない…のに、床にははっきりと両足の跡がスタンプされ 魔法陣(シジル)のところどころを()すように断ち切り 溝のように残った足跡の壁に遮られ うねるように余った血液が フライパンの上で蒸発する水分の最期の足掻きのようにのたうち回って消えていった


独り会話の停まらない少年…見えない友人がすぐそばで話しを褒めてくれているというように 口数が多い 喋ってないと死ぬ 目立ってないと死ぬ 誰かに認めてもらってないと生きていけない 肥大した自尊心がそこには見え隠れする あまりにもその言動が……?


!? しまった…即座に起こった悪寒に 放出した警戒心に 少年が反応した


長く居すぎた どうしてかはわからない だが…探索は手短に 追及は深く しかし深追いは禁物…肝に銘じておくべきだった



少女がいない



不自然に空中に浮かび、重力の存在を確信させる絵本 片割れがいなくなったことに気つかずにうんざりするように首を振る少年 本来、少女のみをそこへと押さえつけていただけの本が、地震によって基礎をずらされた城の石垣のような崩れ方で 椅子の足元 鋭い衝撃と重い音を発して突き刺さり、絡めとられることを示唆しているような、蜘蛛の巣みたいなヒビを張った


瓦解音 事態に気がついた少年が顔を上げ 視線を彷徨わせ 挙動不審に慌てたように隣を確かめる 不覚にも…その最中 少年と目線を合わせてしまった 少年は斜めに刺さった本を、自分を冒す可能性のある毒性植物でもあるかのように息を潜めて眺め…少しの間 呆けた オレと同じように……


悪寒が邪魔をする 殺気も何もなく 害される身体(しんたい) 明らかに長居しすぎた愚か者の末路がそこにあった……


※2026/06/17#168にて まだ出していないフラグ?ネタ?を誤って書き込んでしまい 急遽 エピソードをカットしました 先に書き進んでから 前の部分を書き直す とかやるとよくあるポカです カットした後なので分かりませんが…すいませ

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