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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ  作者: 桜葱詩生


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146/153

Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #141


セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #141



やせ細り 無精ひげ 伸ばし放題の髪で、薄汚い男 大抵の人はこんな奴と会ったら、引く 関わり合いにはなりたくないタイプだ



後ろで 扉に引っかかったら元も子もいかないが 上手くすり抜ける 階段の足場、端奥まで階段から転げ落ちないように気を配りながら、下がる 扉の位置で患者がこちらを見失う…というようなことはなかった ここに黒い縁はない そんなことになったら…またここから抜け出れなくなるところだ


壁を背に 律儀にこちらに向き合って、遅い歩みを進める男性入院患者 そうか…こいつは歩みが遅かったな…壁に手を添え、階段を下がる ゲームでは階段の方に向かなければ、ここを降れなかった こっちではゆっくりとだが確実に下へと後退(あとずさ)れる



不意に男性入院患者がこちらを見失ったかのようにヘッドバンキングを止めた 辺りを窺うような、見失ったとでも言うような素振り 少しだけ呆けて…踵を返す おいおい…少し戻り、壁に石をぶつけて音を立てる びっくりしたように身体がビクつき、振り返る男 オレに気づいたように、頭部を小刻みに揺らして…こちらへと来る めんどくせー男だ


元々 認知機能に異常があるゾンビだ 空間把握を正常に行って上下を認識して、階段などをきちんと降ることができる、ということ自体が異常なのだが…作っている方からしたらそんなこともできるのが当然とする ロボットに階段を降ろさせる機能を搭載させようとすればよくわかる 上がるのはそれほど難しくはない…それでもバランスを崩して落ちるが、降る方は…大抵、転げ落ちる そう…いまのこいつのように……


「はあ?」


思わず声が出た 階段の縁で止まるものだとばかり思っていたら…そこから足を踏み外し、そのまま、まるでそこに段差なんてないと思って、走り込んできた子供が事故を起こすように、横を、下の踊り場まで転げ落ちて行った 身体のあちこちから…何かが折れたか、千切れたか、砕けたような音 鈍い衝撃音 うめき声を上げる


元々やせ細った体だ 首や手、足があらぬ方向へと曲がり、踊り場で蹲る それでもまだ生きている…小刻みに体が揺れる 思わず呆気に取られて…これは起死回生、と思い至る この状態なら一方的に攻撃できる


ジャンプして何段か飛ばして下る…なんていう小学生のような行動はできなかった こっちも降るのが…ギブスが邪魔 下で伸びたそいつが立ち上がろうとして、折れた脚が上手く地面を捉えることができずに、腕でもできずに、ただ蠢く そこへと近づきすぎないように近づいて、石を振り下ろした


鈍い 骨に当たり、瓦礫の方が脆い予感 鈍く固くなった肉を、むりやり叩く 片手では力が籠められず、角を上手く当てないと瓦礫の方が先にダメになる しゃがんで、両ひざを床につき、両手で石を振り上げて、無慈悲に振り降ろす 傍から見たら、頭のおかしい病院患者が、哀れな病院患者を殴り殺しているような光景


そう見える方が普通だ 何を持って、フツウ、とするか…3回ほど叩くと そいつは静かになった うめき声、蠢かずに…そこでぐったりと横たわった


「ふう」


息を吐く 知らず知らずのうちに呼吸を忘れていた 汗は…かかないが、心理的圧迫感が酷い 頭に血が上っていなければ、心神喪失にならなければ、通常の心理状態ではこんなことはできない


立ち上がろうとして…体が上手く動かない 心理的抑圧(アドレナリン)が、一時的に体の行動を抑制している 「はあ はあ はあ はあ はあ……」


なんとか脳内麻薬(それ)を振り払おうとした…その時


「ぐぁあああああっ」


目の前のそいつが身体を起こした まだ死んでねえのかよ…それに驚く…とともに 消滅エフェクトがなかったことを思い出す これはオレのミスだ


折れて 先がぷらぷらする腕を伸ばす 叩かれるが…ダメージはない ただ、驚かされただけ…今度こそ 動けないように石を振り下ろす


頭蓋骨が陥没する感触 残っていない肉が瓦礫を押し返して、それでも骨が瓦礫をはじき返す バキ


6回ほど叩きつけると 瓦礫が割れて粉々になり…光のエフェクトと共に跡形もなく消えた それとほぼ同時に…男性入院患者もぐったりとして、透明になり、跡形もなく消え失せた


一時的 消滅エフェクト 復活までの時間はどれくらいか 武器がねえな…資料室になにかあったか? ナースセンターには…そう思って 息をついて 先を見て それに気づく


また 呆気にとられる


踊り場が直っていた 崩れて瓦礫になっていたはずが…平らな踊り場へと元へと戻っていた


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