Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #10
※2025/12/11誤字脱字を修正しました
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #10
生きたまま喰われる、という感覚は生きているうちに味わえるものではない だがこう何度もだと死に飽きる もうそろそろ違う死に方を経験したい これは贅沢だろうか?
このゲームは、死に戻りゲーだ どこかで死んで、戻ることで新たな道が開かれる 死ぬ場面を見せられ続ける 最期まで生き残ってハッピーエンド、なんていう甘い夢はどこにもない 永く生き続けることが絶対的な正解の道ではない どこまで行っても喰われて、殺されて、それで次に行く
なんて悪趣味な
律儀に隣人は隣に戻り、また自分の内臓を食っている その咀嚼音 うめき声 溜息にも似ている
ゆっくりとベッドを降りる
ドアが開いてる 入口のベッドも動かされたままだ
だが…ここからすぐに出ても大丈夫か? という疑念が残る
トライ アンド デッド 挑戦し、死ぬ 死んでまた挑む
失敗し続けることでやっと一筋の光が見える それもこれも…生き返るから行える
生き返る?
死ぬほど痛い こうして戻ってこれるために感覚が麻痺する
死ぬことに抵抗がなくなる
このゲームの最も怖いところはそこかも知れない
隣人が隣にいるためにもう一度、同じ手順を踏む ただし、入り口まで行き、ベッドを入り口をふさぐように戻す、という手段を取る
下に隠れて…キャッキャウフフを鑑賞
杖を取り、うめき声が聞こえなくなるまで待つ タイミングがずれると隣人が起き上がる方が早い
一直線に、ほかのことを一切せずに、奥まで行く
部屋から隣人が出て来るシーンが差し込まれる 廊下のオレがいる位置から、奥の隣人に向かって、迫っていくカメラワーク 隣人が叫ぶ 画面が揺れる そして始まる…渚でカップルがやるようなものに似てもいない、追いかけっこ
エレベーターホールへと続く角を曲がる 曲がった先になにかがいて、驚かされる 襲われる、ということはない
それは驚愕であって、恐怖ではない 真っ暗な中になにかがいて、突如、襲われる
それは恐怖ではない ただの驚かし
本当の恐怖とは人の想像の外にあって、想像できる範疇のものは真実の恐怖ではない
それはただの思い込み 何か酷いことをされるかもしれないという、生きていくことを奪われて、自由を奪われて、尊厳を奪われて、存在を失われるかもしれないという、喪失への逃避
真っ暗中で探索して、突然驚かされて、最も怖い、とかいうのは間違っている
面白かったけど びっくりさせられただけだ
それは恐怖ではない




