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氷結の夜明けの果て (R16)  作者: Wolfy-UG6
第1巻:新たな人生
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第2章:審判の眼差し

完全な闇が空間を満たしていた。

ヴェイルは辺りを見回したが、出口らしきものはどこにも見当たらなかった。

この暗闇の中で、奇妙な感覚が彼を包む。

まるで足元に地面など存在しないかのように、何の抵抗も感じない。

いや――何一つ、感じなかった。


彼は大きく息を吸おうとした。

だが、何も起こらない。

今度は右手を動かそうとしたが、完全な虚無が彼を包み込み、まるで何一つ彼の意思に応えてくれなかった。


(何なんだよ、これ……。

俺はいったい、どこにいるんだ?)


この漆黒の中では、自分の身体さえ見えない。

彼は脚でも腕でも、とにかく思いつく限り何かを動かそうと試みた。

だが結果は同じだった。

何の感覚も湧いてこない。


「誰かいるのかッ!!」


そう叫んだ。


自分にははっきり聞こえたはずなのに、反響はおろか、何一つ返ってこない。

まるで、この場所では音そのものが存在できないかのようだった。


(夢でも見てるのか……?

落ちた衝撃で、おかしくなっただけだ。

それ以外、説明がつかない。)


そう考えながら目を覚ます方法を探していると、不意に圧迫されるような感覚が全身を襲い、ぞくりと背筋が震えた。

彼は慌てて辺りを見回す。

だが、誰の姿も見えない。


「だ、誰だ……?

何が目的なんだ?」


わずかに取り乱しながら問いかける。


しかし返事はなかった。

そもそも、この場所で相手の声が聞こえるのかさえ分からない。

何も見えず、何も感じられないまま、それでも彼は腕を動かそうとし、前へ進もうとして出口を探し続けた。


そのときだった。


一点の光が現れた。


遠いのか近いのか、それすら判断できない。

だが、ようやく目指すべきものが現れたことに、ヴェイルは安堵した。


近づこうとした、その瞬間だった。


光は異様な速さで膨れ上がり、闇を完全に飲み込み、ヴェイルを眩い輝きで包み込んだ。

彼は目を閉じようとして――ようやく気づく。


自分には、もう何もない。


「何だ……これ?

お、俺は……何なんだ?

どうしてこんなことに……。

それに……俺の身体は、どこへ行った?」


不安を滲ませながら問いかける。


「シィィ……哀れな生き物どもだ。」


その鋭く擦れるような声が、ヴェイルの思考をかき乱した。


その言葉は全身を凍りつかせるほど冷たく、まるで耳元で直接囁かれたかのようだった。

彼は戸惑いながらも意識を集中させる。


答えが欲しかった。


「あなたは誰なんだ?

どうして俺はここにいる?」


問いかける。


だが、またしても返事はなかった。

この空間には、長い沈黙だけが広がっていた。


(で、俺はどうすればいいんだよ。

どうやったら目が覚める?

俺は……家に帰りたいだけなんだ。)


すると、眩しかった光が完全に消え去り、再び闇がすべてを覆った。


「解析完了。

対象との適合率は九十五パーセント。

処理のため、新たな器の生成が必要です。」


機械的な声が淡々と告げる。


「え……?

ちょ、ちょっと待ってくれ。

お願いだ、俺は家に帰りたいだけなんだ。

どうすればいい?

答えてくれ!」


ヴェイルは取り乱しながら叫ぶ。


「家に帰るだと?

お前に、もう帰る場所などない。

これより先、お前は我らが呼び寄せた目的を果たすのだ……人の子よ。」


擦れるような声がそう告げた。


その言葉は、重くヴェイルの胸へとのしかかった。

確かに彼の人生は決して順風満帆ではなかった。

それでも、終わることなど望んではいない。

まだやり残したことが、いくらでもあった。


そのとき、彼の前に赤い光が現れた。


それはゆっくりと左右に開き、まるで二つの瞳のような形になる。

そして、その視線が真っ直ぐヴェイルへ突き刺さった。


心の奥底まで見透かされるような、不快な感覚だった。


「組み立て工程を待機中。

注入のため、各対象を準備してください。」


機械の声が再び響く。


(組み立て……?

対象って……。

他にも誰かいるのか?

俺は……別の身体で生き返るってことなのか?)


混乱しながら考える。


「組み立てプロトコルを開始せよ。」


擦れるような声が命じた。


「ようやく人間どもにも、役に立ってもらう時が来た。」


「嫌だ!

そんなの認めない!

頼む、帰らせてくれ!

俺は家に帰りたいんだ!」


ヴェイルは必死に懇願する。


「承認。

処理を開始します。

転送を初期化。

分割済み魂の注入を開始。

五……四……三……二……一……」


機械の声が間髪入れずに続いた。


闇しかないはずの空間で、目の前にあった赤い瞳がぼやけ始める。

やがて完全に消え去ると同時に、ヴェイルの思考そのものも失われ始めた。


「や……め……て。

俺……は……望んで……」


最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。


「各対象の分離、成功。

転送および各対象の組み立て用の器を待機中。」


機械の声だけが、最後に響く。


その瞬間、ヴェイルという存在は完全に消え去った。


まるで最初から、この短い時間の中でさえ、一度も存在していなかったかのように。

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