12-3 始まりの町へ スライムの選択
3話連続予約投稿。夜の部。
(風呂、広っ!)
娘っ子の薬局は普通の古民家だ。その結構な面積を風呂に改築されている。家族増えたんだし、普通は居室を増やさないか?
「お風呂ってとても好きなのよ。でも、スライムさんと入ってから一人で入れないの。だから、お爺様とお婆様、旦那様に、今は娘とも一緒に入るわ。特別な場所よ」
「ママ? お風呂?」
「フェリも入る?」
「うん♪ おふろ好きー♪」
ちっさい娘っ子!? 娘っ子の子供か? 見事に娘っ子に似たな。新人坊主の面影は髪色程度だろうか。
「あれれ? スライム? ママー、スライムさん?」
「そうよ♪ あ、今日はジェシカさんとマリアちゃんも一緒の女風呂よ。スライムさんとみんなで入るの」
「あっ! はじめまして! アンフェリアです!」
律儀な娘だ。スライムに頭を下げるとはな。
「アンフェリア、久しぶりね。また大きくなったわ」
「たいかいから育ってないよー」
「2回目ね、フェリちゃん」
「マリアおねーちゃん♪」
聞いた感じだと、娘っ子一家で年末武道大会は行ったようだな。そして仲は良好っと。
(はじめましてだな。スライムだ。名はない)
「ふぉう! ホントにしゃべたーーー♪」
(……娘っ子よ)
「何? スライムさん」
(娘っ子の娘のスキルが凄くないか? 一般の薬剤師、越えてるよな?)
「ママに勝つの!」
「最終確認はするのだけど、フェリにはもう調合させているわ。その分で技術料を抑えないと新人冒険者のお財布は痛いの。私って有名すぎて技術料が高いのよ。旦那様も稼ぐからお金は要らないのにね」
発言に貫禄がある。ホントに出会った頃の極貧娘っ子か? あと、娘っ子の娘よ。浮かれすぎ。奪って、抱いて、高い高いから投げないで。浮遊感が怖いよ! 読書っ子、ナイスキャッチ。
「パパを投げないの!」
「ごめんなさい。生のスライムさん、初めてなの」
(助かった。落ちたら今世が終わってたな)
「治します♪」
マジで!?
「お湯も溜まったわ。入りましょ」
○ ○ ○
女湯、すごい! ぽよぽよ、すごい! 平たい幼女も捨てがたい!
「スライムさん、えっちだー!」
(男なら憧れる環境だぞ。って、言わせるな)
「ねえ、ママ」
「どうしたの? フェリ」
「わたしはスライムさん、入るの?」
「もう少し大きくならないと、スライムさんが苦しいわね。フェリもお腹痛い痛いになるわよ」
「私も最初は苦しく感じたなー。パパは優しいけど、暴れん坊のスライムも居るって聞くよ」
「わたしのはじめて、スライムさんがいいなー」
幼女に言わせる台詞ではないな。ご馳走さま。しかし、本能がまだ育ってからと言っているので娘っ子の娘は未熟なのだ。残念。別の本能が「はじめて」を欲しているが無理矢理は駄目だ。
「なら、スライムさんにフェリの「はじめてのスライム」になって貰うまで居て貰おっか」
「うん♪ 楽しみだなー♪」
は?
「あらアンジェ、頼んでたの出来たの?」
「永遠……とは流石に無理よ。今時点で私の中のスライムは3年目、前回の2年を越えたけど、もう怪しいわ」
はぁ?
「それでも凄いわ! ダーリンと長い間、一緒に居れるわよ!」
「アンジェは拉致……見つけて、私は囚え……長生きして貰う。最終的には互いよりも長い寿命のスライムさんにするわ。そして子々孫々受け継ぐのよ」
「交代制よ!」
「分かってるわ!」
何故、手を取り合っている? いまいち理解が間に合っていないが、これだけは分かる。
娘っ子と魔法少女、重度に病んでるやん!
やべ! 寿命一年だと思って自殺からの輪廻なんて考えてなかった。囚われる。僕を見つける嗅覚は魔法少女にある。娘っ子の方は僕を生かす薬だろうか? ほっといたら増えるスライムの延命に何の意味がある? 僕を飼い殺す以外にないよな。
逃げ……魔法少女に読書っ子の目が動いた。考えただけで察した。飢え死……娘っ子とその娘が微笑んだ。どんな手段か想像したくないが、僕は飢えないようだ。
「おっ、今日は人数多い……あっ、癖で入ったけど……ヤバめ?」
そういえば娘っ子は家族風呂。家族であれば混浴だ。そして娘っ子は一人で入りたくない。自然と家族が付き添い、家庭内ルールとなる。新人坊主が自然とお風呂に混ざるのは習慣という癖だ。
で、今日は女性の客人がいる。妙齢の女性とその娘。
「ダーリン以外に見せる肌はないわ! 死ね!」
「ゴメ……ぐふっ!」
バタンッ。
見せたい肌じゃないなら隠せ。飛び出して綺麗なモーションで殴ったら、隠したい局部が隠れてないじゃん! 多分、バッチリ目に刻まれたぞ。その目は殴られて失明したかもな。
「拳を躱さなかったから、片目で許す! 次はない!」
本当に視力を奪ってら。あと、誰も擁護しない。実の娘ですら「パパのバカ」と罵る程度で流している。失明したんだろ? やばくね?
「大丈夫ですよ。反省したら治します」
(あれをちゃんと愛してる?)
「スライムさんの次である家族、その中の最下位ですね。スライムさんが殿堂入りなので隔絶の差があります」
ゆうしゃー、なさけないぞー。
○ ○ ○
囚われ……養われて早数ヶ月。
「うふふ♡」
「うふふ♡」
「「うふふ♡」」
2人のヤンデレとそれに育てられてる娘達で囲われている。新人坊主か? あれは定期的に短期出張でゴブリンを狩ってるよ。騎士団長? あれは救いのない超絶スキルで王都のトレンドと化してる……筈。
(この薬、人体へ悪くないか?)
スライム延命薬。食事と一緒に服用してスライムを構成する組織を活性化させる薬だ。
「この薬は人間は吸収できませんよ。スライムのみに作用するようにちゃんと作ってます」
直腸在中でスライムのご飯である人間の排泄物に混ざるので回避不可。絶食しようにも直腸には僕が居て、直腸は排泄物の通り道だ。要は、口に入れば飲み込むのと同じで、直腸では絶食不可。
脱出。捕まる。雛鳥のように与えられる。全身が口である粘液生物のスライムには閉口はない。拒めないらしい。聞いただけで、実行はしていない。したら別の手も考えそう……いや、もう何手かストックがありそうだ。
現在、ヤンデレのヒモしてます。
生涯、生かされそう。
薬も限界がまだある。でも、寿命が来ても輪廻転生先まで追い掛けてきて捕まる。
どうすっかな?
○ このまま囲われて、子々孫々と暮らす。
○ 輪廻転生を希望して解放される。
選択はどっちだ!
スライム歴 ~13年3月~13年9月~
一応、ネバーエンドという事で完結にしました。




