番外編4 テリブル・デッドα「異世界で美女に人探しを頼まれたけど何故か誰も相手してくれない件」
腰を痛めましたけど私は元気です。
元気に執筆続けてます。
話の導入ってのは結構どころか凄い重要だ。
主人公がどんな場所で、どの様にして事件に巻き込まれるかを読者に解る様説明する所なのだから。
かく言う俺、テリブル・デッド(29歳独身)は今、
ドジャーズのお隣、ツェッペランカって国に来てる。
ツェッペランカは…まぁ酒は美味いんだがそれ以外は特に話す事もない小国だ。
こぉんな国領土にしても旨味は無いはずだがデストラは余程完璧主義なのかこんなちっこい国まで自分たちの支配下に置いている。
とは言っても入出国を制限したりしてないから町の酒場はこうして旅人を拒むでもなくすんなりと客として酒を飲ませている訳だ。
そんな訳で俺は街にある酒場のカウンターバーで街の名物「青い風」を一口煽り、もう一口飲もうとしていると、
「おいテメェ、そこどけよ」
俺が振り返るとそこには無数の傷と髭で顔を覆った大男がいた。
如何にも荒々しい事するぞって風格。
アクション物の映画だったら他のモブと一緒に片づけられるのがお約束だろうな。
傷髭の大男は俺の顔を睨みながら、
「そこは俺が呑む為の特等席なんだよ。テメェみたいなルチャブル野郎がケツ乗っけて良い所じゃあねぇぜ」
やれやれ如何にも荒くれ者が言いそうなセリフ言ってきたよこの傷髭。
読者のみんなは前にルスナで似たようなセリフ聞いたってのに、
作者のボキャブラリー疑うわ。
「この席がアンタの物だって言うならそれを証明する書類がある筈だけど」
「ナマ言ってんじゃねぇ!ブッ殺されてぇか!!?」
「やれるモンなら勝手にどうぞ。」
「!?こンの野郎!」
「全く、いきり立ってる奴はすぐ殺すだの強い言葉を使いたがる。
そういう奴に限って行動力がないんだから」
言いかけた所で鼻っ柱に重い衝撃。
殴られたんだ。
「……ッッッ~~~ッッ!!」
「ごちゃごちゃ言ってねぇで立て!永久にその減らず口叩けなくしてやる!!!」
「…や~れやれだぜぇ。喧嘩だったら極力迷惑がかかりにくい所でやりたかったが、そっちがその気なら仕方ない。
あとで謝ったって聞かねぇぞ」
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勢い良く酒場のドアを破壊しながら傷髭が外へとまろび出る。
酒場の内部は椅子とテーブルが壊れたり散乱したり、
割れた酒瓶が至る所に転がっている。
全部俺と傷髭が原因となって起きた喧嘩で壊されたものだ。
傷髭はすぐに立ち上がると、「ちくしょう覚えてろ!」ともう聞き飽きたと言いたくなるセリフを吐き捨てて走り去っていった。
「お前さんには悪いが10秒かからずに忘れるわ。地の文での呼び名凄い適当だし」
とりあえずいきり立った傷と髭の親父は片付いたが、いささか派手に暴れたのは失敗と言えた。
騒ぎを聞きつけた野次馬共が集まってきたからだ。
面倒事に巻き込まれる前に立ち去った方が良いと思い、俺は酒場の裏口から外に出ようとした。
ところがだ。
傷髭とドンパチやってた辺りから俺をつけていた奴がいたらしい。
俺はそんな事する野郎の面でも拝んでやろうと思い振り返った。
女、それもブロンドの髪がよく似合う飛び切りの美人だった。
だがその表情はどこか暗く、訳ありといった感じだ。
「お願い、助けて…!」
藪から棒な話だが、見ず知らずの俺に頼むからには相当追い詰められているのだろう。
とりあえず俺は話を聞く為彼女と共に路地裏へ向かう事にした。
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話によると彼女の名はユリーシア。
俺がドンパチやらかしたのとは別の酒場で歌い手をやっている。
彼女にはアントニオ(元レスラーでも俳優でもないぞ)と言う婚約者がいたが、
つい二週間ほど前から行方不明になっている。
町の人に捜索を懇願してもまるで相手にしてもらえず、途方に暮れていた所酒場で俺を見かけ、藁にも縋る思いで追いかけ現在に至るわけ。
「して、なんで奴は俺なんだ?」
「先にも話した通り町の人はもうアテにはならないし、多少実力があった方が万が一の備えにもなると思って…」
「その万が一が起こりうる様な真似してんのかアンタは?」
「町の人が避けたがってる以上、可能性を考慮する必要性はあるかと」
やれやれだ。俺危険はただ慣れてるってだけで好きな訳じゃないんだがな。
俺が訝しむとユリーシアが、
「ダメ…なんですか?」
目を伏せ悲しげな声音で呟いた。
…あぁもう!そんな顔すんじゃない!どうにかしたくなるだろうが!!
「…乗り掛かった舟だ。そのアントニオを見つけ出すまで付き合ってやる!
ただしだ。アンタの彼氏がどんな事になっていても錯乱するな。冷静に現実を受け止めろ。
そういう可能性だって0%(ゼロパー)じゃないからな」
「わ…解り……ました…。」
「んじゃ、まずは捜査の基本、聞き込みだな。進展するかは微妙かもしんないが何もしないよかマシだろう」
こうして俺は、町の人に聞き込みを開始した。
要件はユリーシアの婚約者アントニオの行方。
だが顔見知りであろうユリーシアですら相手にしようとしなかった町の連中が余所者の俺を相手にするはずもなく、
捜索は一向に進展する気配を見せなかった。
二人とも流石に腹が減ってきたので近場の軽食屋で食事を摂る事にした。
注文は俺がチキンブリトー、ユリーシアがサンドイッチだ。
「…もしかしてアンタの彼氏ヤベー仕事やってんじゃないの?
法律に触れるような薬の密売とか」
「そんな筈ありません!彼は普通の靴屋でして……」
「普通の靴屋だったら行方が解らなくなったら普通に騒ぎになるだろ。
やましい事やってないとしたら、それこそヤベー組織に連れてかれたとか……」
「連れていかれたって…何の為に…ッ!?」
「そりゃ重労働させるためか、改造手術の実験台だろうな。
再会したときにゃアントニオもバッタの改造人間に……」
「冗談言わないでください!!」
「言ったはずだぜ、そういう可能性だって0%じゃ…」
言いかけた所で俺は後頭部に冷たく硬いものが押し当てられる感覚を覚えた。
振り返るまでもなく、俺の頭に拳銃が向けられている事は解った。
「お前か。アントニオを探してる奴ってのは」
おぉっと。
後ろに立ってる野郎はどうやらアントニオについて何か知っているらしい。
この依頼、ある程度覚悟はしてたがやはり一筋縄ではいかない様だぜ。




