24話 大曲神
久しぶりすぎる更新。申し訳ないっす。
なかなか筆の進みが悪うございまする。
書きたい所まで書けないよう。ううう。
「なぁ国見さん……オオマガツカミって…なんなんだ。」
疑問と戸惑いが溢れ目覚めたばかりであろう国見に問う。
国見は『オオマガツカミ』の言葉に目を見開く。
「まさか、オオマガツカミが現れたんですか!?」
「あぁ、俺が見舞いに来たら国見さんの隣にいたのが、そうらしい。」
「っ!」
国見さんは慌て、自分の周囲を見回す。
「俺が来た時、普通の人見たいに国見さんの頭を撫でていたけれど……あれは一体――」
俺の言葉を聞いた途端、取り乱しながら自分の頭をガシガシと掻き毟らんばかりに触り、異常がないかを確かめる国見さん。
その姿は、あからさまな嫌悪感を持つ相手に何かされていないかを必死に確かめているように見えた。
話す余裕すらなさそうな国見。
問い掛けるのも躊躇われる狼狽えぶりに戸惑っていると、廊下から沢山の人の気配を感じ目を向ける。程なくグレーの揃いの服に身を包んだ沢山の人がドカドカと病室に押し寄せてきた。
先頭に立って入ってきた白髪混じりの角刈りの男が立ち止まり、割れた窓や破損した壁や床などを見回し声を上げる。
「状況は?」
「オオマガツカミは姿を消し、御魂が全員で索敵を行っています。」
「侵入経路と被害状況、目的は?」
「全て不明です。一切記録が残っていません。」
「分かった。
チームA1は武装待機、S1からS4までは全班各御魂に追従、支援。E2は解析にあたれ。以上。」
グレーの服に身を包んだ一団は、指示を受けて次々と離れていく。
角刈りの男は部下らしき数人を後ろに引き連れたまま俺に目線を向けて近づいてきた。
この男が誰かは知らないが、雰囲気から『現場で上に立つ人間』だろう。
その証拠にさっきまで慌てていた国見さんがベッドの上で男に気が付いた瞬間に背筋を伸ばして律しているような姿勢になっている。
俺から数歩分の距離をとり足を止める男。俺を見据える眼光は鋭く、その目には上に立つ者の胆力を宿しているように見えた。
とはいえ、何も分からない状態でじっと睨まれても俺には見返すくらいしかする事は無い。
「……」
「……」
「神喰君……その武装はまだ必要な状況だろうか?」
「あっ。」
そういえば髪のマガツキを纏ったままだった。
慌てて解くと、ビュルルルと身体や顔を覆っていた髪が一瞬で消えていく。
「すみません。忘れてました。」
「いや、こちらこそすまない。私も言葉が足りていなかった。
まだこの場所が君から見て警戒が必要な状況にあるかどうかを知りたかったんだが……その様子だと問題ないようだな。」
小さく息を吐く角刈りの男。
だがその顔は依然として厳しい表情が続いている。
「偶然とはいえ、まさか御魂も私もいるような所に苦も無く現れるとはな……大胆不敵というか…我らはヤツにとって敵としての土俵にすら立てていないと見られているのか、まったく。
……君たちは害は無かったか? 映像も何も、まったく記録が残ってないようで現状の理解ができていない。そんな状況故、些細な情報でも欲しい。」
国見が一度伏し目がちに視線を下げ、そしてすぐに目線を戻して口を開く。
「報告します。
……私はハジメさん――神喰さんの証言から、オオマガツカミの接触を受けていた恐れがあります。」
国見の言葉に男が一瞬止まり、少しの間の後に口を開いた。
「よく言ってくれた……君は今後、隔離し検査、経過観察の対象となる。
すまないが協力願おう。もちろん悪いようにはしない。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 隔離ってどういうことだ!? ただ触れられていただけだぞ!?」
つい声が出る。
俺の疑問に答えを返してくれたのは国見さんだった。
角刈りの男は周りにいる人間に向けて一つ頷く。
「ハジメさん。これは……仕方がない事なんです。
なにせ相手はオオマガツカミ。いわばマガツキの上位に位置する存在。
私達が最終的な討伐目標としている程の大きな存在なんです。
下位のマガツキですら人知を超えている以上、オオマガツキに接触されただけでも、どうなるか…分からないので……」
自分自身に言い聞かせるように言葉を綴る国見。
その表情は既にこれからの隔離生活を、仕方がない事と受け入れているように見えた。
俺もオオマガツカミに触れられているが、特段おかしなことをされたようには思えなかった。
そもそもオオマガツカミと呼ばれている子も、その時は少しおかしな子に見えた程度で敵意も感じられず、国見の言うように討伐しなくてはいけないような存在にも見えなかった。
だから隔離などの対応は大袈裟すぎるように思えてしまう。
そんなことを考えている間にも病室にストレッチャーが運ばれてきて、国見は誰に言われるでもなく運ばれてきたストレッチャーへと移動し横になる。
「念のため、移動の間は拘束させて頂きます。」
「はい。」
ストレッチャーの周りに居た男が国見に声をかけ、国見が了承して拘束を始めた。
何を言おうとも国見の隔離は止められそうにない状況に口を噤む。
俺が国見さんに何も言わなければ、こうはならなかったのかという後悔と、俺も隔離されるかもしれない現状。
なぜならオオマガツキが俺に触れていた事はシンイチが見ていた。
今シンイチは血眼になって探しているようだけれど、落ち着けば必ず俺の事も誰かに報告するだろう。
そうなると今の流れを見ていれば俺も隔離される流れになるはずだ。
俺は拘束されることに、とても納得などできそうにない。
そんなことを考えていると国見の拘束を終えたストレッチャーが動き出す。
「国見さんはどれくらい隔離されるんだっ!?」
焦りから出た声は思いの外に大きく、その場にいた全員の目が俺に向く。
国見さんは少しだけ悲しそうな目をし、その目を角刈りの男に移した。
視線を受けた角刈りの男は一つ頷き、それを見た国見さんは俺に視線を戻し、何も言わずに小さく微笑んだ。
そのまま何も語らず、小さな笑顔を残して国見さんは運ばれていった。
病室を出て角刈りの男が口を開く。
「オオマガツカミが消滅するその時までだ。」




