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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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39/50

第39話「文学少女、体育倉庫のマットの裏に詩を書いていた」

今回は、“転んだときに読む詩”という新ジャンル回!

体育倉庫×詩音先輩という組み合わせが、思った以上に相性良すぎてびっくりです。

心まで受け身できる詩、大事ですね。

秋の体育祭の準備でにぎわう放課後。

こよりたちは、体育委員の手伝いで体育倉庫の整理を任されていた。


「うわぁ、このマット、意外と重たいね」

「そりゃ体育祭で跳び箱の着地用だからね。何人も転がってきてるわけだし……」


ごろん、と大マットをひっくり返したその瞬間。

まなが声をあげた。


「……ちょっ!? マットの裏、見て!!」


そこには、チョークでもマジックでもなく、

布用ペンで直筆された詩がしっかりと記されていた。


『ふかふかの世界に落ちるとき

できれば誰かの言葉を抱いていたい

転んだ先に、詩があれば

きっとそれは、痛くない』


「……もうダメだ。体育倉庫にまで詩音先輩がいた……」

「しかも“転んだ人用”の詩!? やさしさが高密度すぎる……!」


さらに他のマットにも、似たような詩が見つかる。


『跳ぶ前に深呼吸

落ちる前に、少しだけ詩を思い出して』


『ふわっとした着地でも

胸の鼓動は本気だった

そのまま、そのまま、がんばれって言いたくて』


体育教師に確認したところ、去年の冬の清掃当番中、

「マットを陰干しする」と言って、詩音先輩がこっそり書いたらしい。


ゆい「もう“マット裏詩”ってジャンルが誕生してるじゃん……」

まな「“倒れたときに読まれる前提”の詩って、世界でも珍しいよ……」

こより「でもなんか……わたし、これ好きだな」


こよりはそっと、見つけた詩の隣にマジックで一行、書き足した。


『詩があったから、今日もちゃんと立てたよ』


文学はときに、柔道の受け身よりも優しい。


そして翌日、そのマットで転んだ1年生が、こうつぶやいた。


「……あれ? なんか……詩に励まされた気がする」


体育倉庫のマット裏で、今日も文学は転んだ人に寄り添っていた。

今日の一句:

「転んでも 詩があれば 大丈夫」


次回、第40話「文学少女、理科室の人体模型にこっそり詩を貼っていた」

実験準備中に発見された“詩の内臓”とは――!? ついに理系エリアにも文学の侵略が!

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