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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第4章 神設定な魔物編
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第77話 縛りプレイの訂正

 凡太は考えていた。

 神様に言われたことで引っかかる点があったからだ。


 神様が察してほしかったことはなんだったのだろうか?

 その言葉の後に若返らせて寿命をわざわざ延ばしてくれたのはなぜだろうか?


 凡太の設定した縛りプレイは自身が生き続けることで神の負担が増していくことを考慮していたものである。しかし、今回の寿命を延ばすという神の厚意は明らかにそれとは矛盾していた。


 負担になっている者の寿命をわざわざ延ばすといことは、大して負担になっていなかったという事。神様の言っていた大きな勘違いとはまさにこれの事であり、この条件がなければ別に無理して早く死ぬ必要もなくなるので縛りを大分緩くできる。

寿命を延ばしたという事と俺をまだ殺さないで生かしている事から俺が生き続けることで神様側に何らかのメリットがあると考えられる。最初はそれが神々の遊びのような余興だと思っていたが、今回の魔物の件でポロっともらした“製作ミス”という言葉から神側でゲームの難易度設定のようなことをしてこの世界の強弱バランスを保とうとしている様子がうかがえた。よって、今後はこの設定づくりの邪魔にならないように配慮すべきだろう。そう考えると、誰が見ても分かりやすい展開を起こしやすくする為に、レオのような主人公級の素材を発掘・育成し、イコロイやウルザに匹敵するようにしていくのが妥当だろう。今回の戦でレオも未だにうまく発動させられない“勇者覚醒”がなぜか俺にも使えた事から、レオ以外にもこのスキルを発現・発動できる者がいてもおかしくないと思っていた。それを踏まえた上での人材発掘である。

また、味方側が強くなるほど今回のようなイレギュラーな魔物が出現した時も、神様が参戦することなく処理できるので、育成しておいて損はない。


 気をつけなくてはいけないのは、主人公級人材の突発的な行動だ。今回のレオのように本来なら自分が倒すはずだった相手を他人に託そうとするようなことはあってはならない。そのせいで今回の重要イベントであったレオの超覚醒が流されてしまった。

その要因として、初めはレオの気遣い精神からだと思っていたが、いくら気遣い好きだとしても自分の大切な能力をすべて人に託せるだろうか。そう考えた時に新たな要因候補としてあがったのが俺に対する高すぎる評価である。俺にレオから評価されるような要素がない以上、なんで評価が上がっているのか未だに謎だ。


 今のところ評価が上がったと思われる点は2つ。

 1つ目は信頼だ。人は共同作業を何度も長い時間一緒にやっていると同調効果から信頼関係が高まりやすいって元FBIや元スパイの人の本で書いてあった記憶がある。また、共同作業をしなくても地味に信頼関係が上がるときもある。例えば、毎日の通勤電車で毎回自分の席の近くで座っている人やジムで毎日会う人が居たら特に言葉は交わしていない他人なのだが、他の周りの他人よりは信用できる感じになっていないだろうか。無害であること前提だが、何度も会うだけでも効果は多少あるということだ。レオとは何カ月も一緒に修行をしてきた。よって、信頼関係が高くなり、それと共に評価も高くなったことが考えられる。

 2つ目は強さ。俺みたいな弱い人間でも“勇者覚醒”ができることをレオは何らかの強者特有の要素で判断して見抜いていたのだろう。正直これに関しては訳が分からない。とにかく何か試合や戦があったとして、善戦したり、勝ったりすると評価が上がってしまう可能性が高い為、そうなることは避けておくべきだろう。



~~~



凡太がガンバール村から消失した瞬間、今度はラコン王国の城前に現れた。

どうやら、神様への願いはラコン王国への転移だったようだ。


なぜラコン王国に来たのか?

夕方のメアリーとの会話を聞いてみよう。



人気のないところで凡太、メアリー、レミの3人が集まっていた。


「単刀直入に聞くけど、私の王国の学園に入学してみない?」


 この誘いは人材発掘や他者能力向上の技術を学びたいと思っていた凡太にとってありがたかった。


「是非、よろしくお願いします!」

「即答してもらえて嬉しいよ。君の戦い方は特殊だったから生徒達にも良い刺激になると思ってね」

「特殊というか、ただ時間稼ぎしていただけですけどね。闘志を剥き出しにして戦ったり、冷静に戦況分析して有利性を高めていく方が見栄えは良いと思いますが…」

「戦いに見栄えは関係ないよ。いかに勝率を高めるかじゃない?」

「ごもっともでございます…」


目の怖さに圧倒され、いつものように弱者アピールができずに悔しがる凡太。その様子をみてメアリーは嬉しそうにしていた。


「入学の手続きと住む場所の手配はこちらで進めておくね。あとお世話係も用意しておくよ。生活でのお金の面は気にしなくていいからね」

「気にしますよ。せめて何か働く場所を提供していただけませんか?」

「うーん…。両腕がないと難しい職業ばかりになっちゃうからそっちの方が厄介かも。一応考えておくよ」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

「ところで、いつ頃からこっちに来れそう?」

「明日でもいいですか?」

「急だね。何か急ぐ理由があるってことかな?…分かった何とかしよう。その代わり働く場所に関してはもうちょっと待ってね」

「ありがとうございます。それと、もう一つお願いがありまして…。この事は他言しないで頂けませんか?」

「何か意図があるんだね?分かったよ。私の口からは他言しないようにする」

「ご配慮ありがとうございます」



~~~



 アイ達に伝えた騎士団勧誘の話は嘘だった。本当の事を言えば必ずついてくると思ったから。信頼関係が高まり、評価が上がった状態だと自身が近くにいることで成長の妨げになる可能性が高い為、主人公側から離れたのだ。

 

 普通なら親友や友人がいる住み慣れた場所を離れる時は躊躇するものだ。

しかし、この男躊躇しない。

 躊躇は自分の歩いてきた道を振り返る時に生まれる。

 男には振り返る時が存在しない。

 本当は過去に耽りたい願望はあるだろうがその暇がない。

 自分のすぐ前の時(現在)のことで忙しく、それしか見えていないからだ。 


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