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13.トラブルによる再会



一通り話した後ロイド市長が帰って、私はベッドの上で大の字に寝そべりながら、ぼおーとしていた。

市長は、帰り際に「大魔女さまにこんなにも心労をおかけしていたとは、本当に申し訳なかった。どうやってもその月日分の償いはしきれません。なので、何かありましたらミザーム家、いやヴェーナムの街が総力を上げて、ミズ様がいらっしゃる限り未来永劫尽くさせて頂きます!」と最後まで謝ってくれた。

未来永劫って、私の場合相当の期間になりそうだけどいいのかしらと不安になった。


「ミズ。よかったね!これでもう憂いはなくなったじゃん。」


「うん。そうだね。・・・ロイド市長の祖先って、あのおばあさん達なんだね。似てるっていうか、雰囲気が。」


「あぁ、そういえばあの人、私の事もうっすら見えてたんじゃないかなぁ。なんかチラチラこっち見てたもん。」


「そうなんだ、気づかなかったわ。やっぱりおばあさんの血筋なんだろうねぇ。」


「あの市長さんはさ、ミズのこと黙ってくれると思うんだけど、ユノ達にはこの事言うの?」


「うーん、たぶん言っても受け入れてくれると思うんだ、きっと。でも私がやっぱり力のことを言うのがまだ怖いのと、なにかあった時巻き添えにしちゃうと思うと、このまま知らせずにいた方がいいかなと思って。」


メリサさん達は、話し合いの後も心配そうな顔をしつつも、私に何かを聞くこともなかった。その心遣いがすごく助かったけど、また迷惑かけちゃったなぁと落ち込んだ。


「そうだね。ミズはどこでもトラブル拾っちゃうからねぇ。」


違うわ、向こうからくるんです!!って思ったけど、そのおかげでこうやってユノたちとも知り合えたわけだから、あながち悪い事だけではないかとも思った。




あれからロイド市長は、時々ご家族のためと言ってパンケーキを買いに来てくれる常連になった。

パンケーキ目的と言いつつも、「何か困った事があれば、すぐ言って下さい!」と小声で毎回最後に念押しされるのは困った。そこまでしなくてもいいのに。昔の事は、半分は私の心の問題だったのだから。



今日もパンケーキは順調に売れて、お昼前にはなくなりそうだ。


「レル、明日さ、休みだから仕入れのついでに今評判の果物のデザートを出す店に行ってみようか?」


「うん、行く行く!うちの常連さん達やユノも気になるって話してたんもんね。」


そう言うと、レルはもう食べる果物のことをあれこれ想像しているのか、ニマニマしている。

私も他の店にはあまり行かず、ずっと店と宿の往復の毎日だったから、明日のことを考えて少し楽しみになった。



「おい、パンケーキ屋の店主はお前か?」


もうそろそろ完売かと思われるところへ、突然割り込むように身なりのいいまだ若い青年が、偉そうな態度で声をかけてきた。


私はちょっとイラッとしたがここは客商売と思い直し,

「はい、そうですが。あのー、申し訳ないのですがパンケーキは今並んでる方で最後になりますので、また明後日以降に来ていただけますか?」


「はっ?何で俺が並ばないといけないんだ!いいからパンケーキを寄越せ!ないなら、今から作って俺が泊まっている宿へ持ってこい。3セット分を全種類だ。」


なんだ、この男。横暴極まりないな。売り切れって言ってるじゃん。今から作れって?

今日はもう材料ないから作れないっつうの。

普段いろいろ庇ってくれる周囲の屋台のおじさん達も口出ししようにも、この男が引き連れた体格のいい護衛と思わしき男達が店を取り囲んでいてそれも出来ないでいた。



「お客さん、どこの誰だか存じませんが、その要望にはお応えできかねます。とっととお引き取り下さい!」


「なんだと!こんな店、今すぐに潰したっていいんだぞ!俺がわざわざここまで来てやって買うって言ってるんだ。さっさと持ってこい!」


男の護衛達が、腰の剣に手をかけた。

あぁ、もうめんどくさい。

痺れ?麻痺?いや、もういっそ気絶させて放置した方がいいかな。いや、他の人の迷惑になるか。

ここで私が魔法で撃退したら、周りの屋台のおじさんやお客さんに力のことばれちゃうな・・・。私の平穏な毎日が・・・。

私がそう覚悟を決め、周囲に被害が及ばないよう男達の周辺にだけ結界魔法を張り、この不届きな奴らに制裁を加えようとした瞬間、


バチバチっ


強烈な光が一瞬したと思ったら、結界に閉じ込められていた男達が何かに感電したように体を小刻みに震わせ、気絶し倒れた。


「えっ!」


「ミズー。いくら気に入らないやつでも、高出力での雷魔法はやり過ぎだよぉ。もう全身から煙出てるし、これ生きてるのかな?」


「えっ、違う!私じゃないよ!レルの魔法じゃないの?!」


「私がこんな魔法使えるわけないじゃん。使えたとしてもこんなことでいちいち高度な魔法使ってたら、精霊王からなんて言われることやら。」


「じゃぁ、誰が・・・?」



「いやぁ、探しましたよ。ミズ。お久しぶりです。

相変わらず素晴らしいまでの魔法の精度と威力。私は貴方に再会したのっけから心を鷲掴みされましたよ!」


「やだ・・・。何でここにいるの。」


そこには昔懐かしい、いや、全然会いたくなかった男が怪しげな雰囲気をこれでもかと匂わせて立っていた。背中まで伸びた黒髪を緩く一つで結び、瞳の色は黒に金色の瞳孔が待望の獲物を見つけた獰猛な魔獣のように光らせていた。


「何でって言われましても、貴方がここにいるからじゃないですか。」


「ナンドーチ王はどうしたの?こんなこと、許さないでしょ?」


「いや、許すとか許されないとか私には関係ないんですよ。貴方の側が私の居場所なのですから。まぁ、ナンドーチもいろいろ言ってた気がしますけど。そんなことは些末なことです。」


こわっ!やっぱりコイツこわっ!


「私はね、あんたがそんなんだからナンドーチ王に手伝ってもらって、そっとデュベラスを出たの!ほんと、あんたのやってることはストーカーっていう犯罪だからね!」


「ううーん、ストーカーって事のことはよく知りませんが、貴方にはこの私の情熱がまだ届いていないようですね。これはますますその大きな誤解を解く必要がありますね。」


「はぁっ?ちょっといい加減に・・・。」



「あのー、ミズちゃん。そちらの男性は知り合いかい?それよりこの状態をどうにかした方がいいと思うんだけど。」


はっと気づくと、周りが不安そうに私達を見ていた。

「ごっ、ごめんなさい!!」


やっちゃったー!お客さんも待たせてるし、もうやだ。だからコイツが関わってくると碌なことにならないのよ!



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