反撃③
『私が裁判長のちひろ。では、裁判官を紹介します。』
ガリガリガリガリ、、、スバババババーン!
空間にひびが入り、裂け目から二人の大男が出てきた。婆娑羅大将と阿修羅大王だ。
『この二人が裁判官です。』
俺の両隣に二人が腕を組んで立っている。赤ずきんちゃんは青ざめた顔。白雪姫は泣いている。浦島は失禁している。
『罪名は殺人。あっ、でも、私は死んでないから、殺人未遂、暴行、銃刀法違反かな。』
『裁判長、死刑にしましょう。』
婆娑羅大将が大声で叫んだ。阿修羅大王も同調する。
『そうだ、、そうだ。』
『判決が出ましたあ。死刑です。でも、どうやって死刑にする?』
『わしは腹減ったから、わしが食べるってのはどうだ。』
阿修羅大王の3つの顔が揺れている。
『おお、それは賛成だな。俺は、その娘がいい。柔らかくて美味そうだ。』
『ダメだ。その女は俺が食う。お前にはやらんぞ。』
『何だと。勝手に決めるな。』
婆娑羅大将と阿修羅大王の大喧嘩が始まった。強烈な殴り合いだ。俺でも、ビビるくらいの迫力だ。
『やだ、やだ、やだ。食べらたくない。死にたくないよ、、、。』
白雪姫が泣きじゃくっている。赤ずきんちゃんが叫んだ。
『この子は許してやってくれ。俺の命令に従っただけだ。俺はどうなってもいい。だから、白雪姫だけは、許してやってくれ。』
『何だ、こいつは。この男も焼いたら美味いかも。そっちの男は痩せてて、不味そうだ。犬の餌にでもするか。』
ちょっと度が過ぎたかな。遊びは終わりだ。
『では、判決を言い渡します。3人とも死刑!』
『やだ、やだ、やだ。』
白雪姫が懇願している。
『ただし、優しいちひろちゃんは、執行猶予を付けてあげます。浦島さんは海に行って、魚を釣って暮らしなさい。はい、行きなさい。』
浦島は、逃げるように部屋を出て行った。もちろん、記憶の操作は行った。
『赤ずきんちゃんは、彼のところで働きなさい。どうする?死刑がいい?それとも働く?』
『働きます。働きます。何でもします。』
赤ずきんちゃんが、即座に返答した。
『よし、わしの住処の掃除を任せる。こっちに来い。』
赤ずきんちゃんが、恐る恐る、婆娑羅大将のところにやってきた。婆娑羅大将が赤ずきんちゃんを抱えると、空に消えて行った。奈良の山奥の、あのドーム状の遺跡を清掃させるつもりのようだ。
『私は?私は?、、、。』
白雪姫の涙は止まらない。
『白雪姫さんは、私と来て。私の仲間にしてあげる。大丈夫よ。私がカショーキから守ってあげるから。』
『ちひろさん、カショーキ様を知っていらっしゃるの?あなたって何者なの?』
『ちひろ様は、神ですよ。慈悲深い神です。ゆえに、カショーキは手出しできずに、あなた方を操ったのじゃ。白雪姫と名のる貴方も、いずれ、ちひろ様の大きさがわかるじゃろう。そして、一つだけ言っておくが、我々は人を食うことはない。では、さらば。』
阿修羅大王も消えて行った。