出発①
『白雪姫さん、行くわよ。』
俺は分身仏を一体出した。
『この男と一緒に新宿まで来て。私は先に行ってるから。不安かもしれないけど、大丈夫。私を信じて。では、後ほど。』
俺は瞬間移動した。新宿の俺のアジトだ。今は使用していない建物。ここに、白雪姫を住まわせることにした。とりあえず、シャワーを浴びることにした。血だらけの体だからだ。そして、20歳のちひろに変身をし、ショッピングに手掛けた。白雪姫に着せる服や、化粧道具、生活用品など、当面必要だろうと思われる品々を買いあさった。
それから1時間ほどすると、分身仏に連れられて、白雪姫がやってきた。
『主様、お連れいたしました。』
『ご苦労様。戻りなさい。』
分身仏は、俺の体内に戻ってきた。白雪姫は、だいぶ落ち着きを取り戻していた。部屋に入ると、辺りをキョロキョロと見回している。
『あの、ちひろ様はいらっしゃらないのですか、』
俺は小さく笑った。
『私がちひろよ。』
『えっ、でも、、、。』
『私、体を変化させることができるの。白雪姫さん、貴方も見たでしょ。体が巨大化した魔人の姿。逆に小さくすることも出来るわけ。赤ちゃんにもなれるし、あなたが見た、ちひろの大きさにもなれるわよ。今は、20歳のちひろの姿になってるの。』
『神という意味が分かったような気がします。』
『白雪姫さん、スマホを出して。』
白雪姫は、素直にカバンからスマホを取り出した。
ガシャーン!
俺は金槌で、そのスマホを破壊した。
『悪く思わないでね。GPSで追跡されないようにするためよ。はい、これを使って、このスマホは安全よ。では、出かけます。ついてきて。』
白雪姫とは、新宿のホテルで待ち合わせしていたのだ。これから、俺のアジトに案内する。颯爽と歩く俺の後ろを、おどおどとついてくる白雪姫。
『白雪姫さん、もっと堂々と歩いて。あなたは、私の仲間なのですから。堂々と胸を張りなさい。あなたの新たな人生の始まりよ。』
『はい、ちひろ様。』
白雪姫は、やっと吹っ切れたようだ。美人二人の行進に、行き交う人の目は、釘付けとなった。
10分ほど歩き、俺のアジトに到着した。白雪姫は、その広さに驚いたようだ。
『そこのクローゼットの中の服は、全て、白雪姫さんのために買ったものよ。自由に使って。しばらく、ここで過ごしてもらうから、この部屋のものは自由に使っていいわ。長い1日だったでしょ。まずは、シャワーを浴びて、すっきりしてきなさい。』
『はい、ちひろ様。色々とありがとうございます。本当は殺されても仕方ないなに。優しくされて、、、ありがとうございます。』
『ほら、さっさとシャワー浴びてきなさい。涙も一緒に流してきて。』
白雪姫は、浴室に入った。
ソファーに座り寛ごうと思った時、スマホにメールが入った。Mr.Tからだ。
『ちひろ様、例のURLを調べました。知識の乏しい人らしく、すぐにIPアドレスが判明しました。で、そこから、発信元も分かりましたよ。住所と名前だけですが、役立ちますでしょうか。
山梨県大月市笹子町✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
柿沢二郎 』
もう少し、解読不能な偽名を考えればいいのに。柿沢二郎、、、桃太郎。安直にもほどがある。しかし、この男までは、大した敵ではなさそうだ。問題は、親玉であるカショーキと、腹心のかぐや姫だ。レイちゃんに危険がさしせまらない限り、慌てる必要はない。少しずつ、炙り出して退治してやる。
白雪姫が浴室から出てきた。バスタオルを体に巻きつけているが、なるほどと思った。名は体を表す。雪のように透き通る白い肌をしている。以前の俺なら、すぐにでも抱きしめて、ベッドに押し倒していただろう。しかし、この体の時は、心も女性化してしまう。女性の体に興味が湧いてこないのだ。
『ほんとに、お洋服を使っていいのかしら。』
「もちろんよ。下着も用意してあるから、使いなさい。ドレッサーの引き出しに、化粧道具も一式揃えておいたから、お化粧もして。美しくね。』
『ありがとうございます。では、遠慮しないで、使います。』
『それでよし。準備が出来たら、出かけるわよ。』
俺は白雪姫を、ある人物に合わせるつもりでいた。




