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ようこそ!もののき3丁目  作者: にゃー
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私の好きなじかん


「はい、どうぞ!」


「……うむ。」


私は毎日のようにリリーに料理を教わっていた。

別にリリーが超絶料理が上手いわけじゃないけど、超絶料理が下手な私にはちょうどいい先生だった。


「…まぁましになってきたんじゃん?

最初の頃なんて食えたもんじゃなかったし。」


最初の頃…


「はい!こっこちゃんが愛をこめて作ったんだよ。食べて食べて!」


「うぉ!なんだよこれ。

もんじゃ焼きか?」


「……ハンバーグ」


「あ…?」


こんな感じ!



「まぁ二週間も教われば多少はね。」


私はなにもできないようなやつだと思ってたけど、

実際はなにもしてこなかったやつだったのかな。

少なくともやれば少しはできたんだ…。



「あざます、師匠!」


「……うむ。」


意外とノリがいいぞリリーさん。


「まぁうまいかまずいかで言ったらまだまずいけどね。」


「まぁ腹に入れば一緒でしょ?」


「…腐った女だなぁ、あんた人間の世界でももてなかったでしょ?」


「でも、ってなにさ!では、だよ!

確かに人間の世界ではもてなかったですけどなにか!?」


「いやぁ、私が人間でもこっことは付き合いたくねぇわ。」


「えー、リリー私の好みなのに。」


お決まりのように張り手が飛んでくる。


「相変わらず気持ち悪いやつだなぁ。」


「えへへ。」


出会った頃に比べるとリリーの表情は大分緩むようになっていた。

私はそれが嬉しかった。

そんなこと言ったらまた強がっちゃうから言わないけど。


「ごちそうさま。」


「お粗末様でした。」


「今日は泳ぎの練習する?」


泳ぎの練習をはじめて二週間たったけどリリーはまだ泳げない。


「んー…今日は雨だしいいや。」


「うん、そっか…そうだね。

今日は一緒にゆっくりしよう。」


最近は何日か分の食料を1日でとってゆっくりすることが多くなった。

リリーはその日の食料はその日にとっていたみたいだけど、1人だとそうでもしないと時間のたち方が遅いんじゃないかな。

でも今は私がいるからそうしている。



二週間しか一緒にいないけど私はリリーが好きだ。

リリーと過ごすこのゆっくりな時間が好き。



「…こっこがきてもう二週間か…。」


「はやいねー。全然帰れる気がしないよ。」


「全然見張りいなくならないだろ。

ここに来た時のこっこはほんとに運がよかったんだって。」


「ほんとそうみたいだね。

そういえばあれ以来、人間の人は紛れ込んで来ないね。」


「そう簡単には来ないよ。

あの日、一気に2人迷い込んできたのも偶然だし。

それに2丁目のやつらは1丁目のやつらみたいに事を大きくはしないから迷い込んでても気づかないし。」


「いろいろあるんだねー。」


「まぁ要はこっこが今生きてるのってすげー奇跡ってことかな。」


「うん、その奇跡のおかげでリリーに会えたわけだし、ありがたい奇跡だよ。」


「…私がいなきゃあんたなんて一瞬だったよ、一瞬!」


「あはは、もうそれ何度も聞いたよ。」


「こっこは三歩歩いたら大半のこと忘れるからさ、何度だって言うよ。」


「えっ?私鶏頭??

確かに今日のパンツは鳥さんパンツだけど…いやまぁ、リリーのお古だけどね!」


「Mなのか?あんたは私にいじめられたいのか?」


「あはは、いじめられるのは嫌だけどリリーとのこういう時間を楽しみたいんだよ。」


「なんだよ、それ。

変な奴だよなあんた。」


「よく言われる。」





「……ねぇ、こっこ…」


「ん?」


「いっそのことさ……」


「……うん…」


「………やっぱりなんでもない。

気にしないでくれ!」


「……うん…」





リリーは笑って話しをごまかす。


でも私はリリーがなにを言おうとしてたかなんとなくわかる。

リリーが言ってくれたらきっと私は今の幸せに流されちゃうと思う。

でも自分からは言えないんだ。


ここで私が出来ることなんてないんだもん。

食料の調達も必要なものを揃えるのも全部リリーがやってくれている。

魔法なんか使えない私にここでできることなんて一つもないんだ。


だから私からは言えない。

リリーに言われたって流されちゃいけないと思う。


なにもできない私を受け入れてしまうのが嫌で嫌で怖かった。



「ねぇ、リリー。」


「ん?」


「私リリーに会えてよかった。」


「…うん。」


「死なないですんだからとかじゃなくて、友達になれてよかった。

もし私が戻れたか死んじゃったとしても忘れないでね。」


「……そうなってから考えるよ。」



「あはは、手厳しいですなー。」




雨の音が静かに響く部屋の真ん中で私たちは仰向けになりながら話し続けた。



どうでもいいような話しを延々と。




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