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神川私塾の恋愛システム:不動の覚悟と美少女の告白  作者: ling


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システム覚醒、予定外の人生ゲーム

岩手の田舎から東京の名門・神川私塾に転入した渡辺徹は、公務員試験に合格して穏やかに余生を過ごすことをただ一つの目標としていた。だが彼の平穏な日々は、突如として現れた謎の『恋愛システム』によって一変する。


システムが課す核心ルールは極めて独特だ。自ら積極的に恋心を打ち明けることなく、周囲の美少女たちに自発的に「あなたは私のもの」と宣言させること。恋愛に関するタスクをクリアしてポイントを獲得し、容姿や教養、コミュニケーションスキルを高め、自らが理想とする「イケメンで口上手な東京の男」になるため、渡辺は学園生活を駆け抜け始める。


気まぐれで傲慢ながらも内面に孤独を抱く上流階級のお嬢様・九条美姫、冷ややかで物静かながらも芯の強い清野凛。二人の美少女をはじめ、学園の少女たちとの邂逅は予期せぬ修羅場を生み出し、神川私塾に渦巻く階級の差、東京の上流社会に潜む権力の闘争にも渡辺は巻き込まれていく。


一切自分から動かず、相手の心の奥底を揺さぶる。反則的な恋愛システムを駆使し、不動の覚悟を貫きながら、渡辺徹は学園の頂点に立ち、少女たちの真実の想いを掴み取ることができるのか。東京の学園を舞台に繰り広げられる、逆転の恋愛システムストーリー、ここに開幕。

ピピッ。


システム起動、ゲーム開始。


プレイヤーが対象者と友好関係を築けば、ポイント報酬を獲得できる。


対象者はシステムの認定基準を満たす必要あり。詳細は附則をタップせよ。


臨時イベントを完遂すれば特別アイテムの追加購入が可能となる。積極的な参加を推奨する。


パネル:起動済み。


モール:起動済み。


ロード完了。ゲームをお楽しみください。


時間を適切に使い、自己を守り抜け。


詐欺に警戒し、真心を込めて交友を結べ。


鉈や塗りつぶしから遠ざかれ。


渡辺徹は黒板に釘付けになっていた。数学教師の走り書きの文字の上に、突如として水色の半透明パネルが浮かび上がった。


彼は瞬きをし、ノートに鉛筆で記し始めた。「集合の表し方には……列挙法、記述」


カチャリ。


芯が折れ、真っ白なノートに鉛粉が黒い染みを残した。


渡辺徹は鉛筆の尾端を押したが、芯は出てこない。筆箱から予備の0.5ミリ芯を取り出し、針に糸を通すように笔尖に挿し込み、ノートの「記述法」の「法」の字を補った。


その間ずっと、水色の半透明パネルは彼の視界から離れることはなかった。


今更システムが覚醒する?遅すぎはしないか。


渡辺徹はバスが二時間に一本しか通わない辺鄙な村に転生し、幼稚園に通う年齢になってやっと、システム、矢に射られて覚醒するスタンド、宇宙人、未来人、超能力者といった非現実的な幻想を捨てた。


真面目に勉強すると決めたのだ。


教師を含めてわずか五人しかいなかった村の学校で、渡辺徹は独学で励み、現在この東京にある塾の進学試験に挑み、全校三位の成績で合格を勝ち取った。


次の人生目標は東京の名門高等学府だ。


卒業後は公務員採用試験を受け、納税者に生涯養ってもらう。


だが今、長らく努力を重ね、未来を綿密に計画し、苦労を覚悟した矢先に、システムが現れたのか?


来るなら早く来れ、来ないなら来るな。中途半端なのは何だ。


渡辺徹は数学の授業を最後まで真面目に受けた。幸いこのパネルは視界を妨げない。さもなくば彼は本気で怒るところだった。


前に怒りを覚えたのは昨日、担任から本校の生徒は必ず部活に入り、早退は一切認められないと通告された時だ。


隣の光明塾に行けばよかった。


女子生徒は可愛らしいセーラー服を着ている上に、生徒は帰宅部に入れる。考えれば考えるほど渡辺徹は憂鬱になった。


ここから言えるのは、人生は何度やり直しても、後悔は残るものだということ。


やり直せば後悔のない人生になれると喧伝する輩に対し、渡辺徹は遠慮なく言える。全部が嘘つきか、記憶力の乏しい馬鹿だ。


数学の授業は午前の最後の時間帯。教師が授業終了を告げ、教室がまだ授業中の静けさを保っている時、国井修が大きな声で叫んだ。


「渡辺!斎藤!行こう、飯だ!」


教室を出ようとしていた数学教師は老眼鏡越しに国井修を不満そうに睨んだ。


「お前、声を小さくできないのか!」斎藤恵介は笑いながら叱り、続けて言った。「今日は何を食べる?定食?ラーメン?それともパン?」


「ラーメンだ!」


「よし、パンに決定。」


「斎藤め、殴るぞ、オラオラオラオラオラ!」


「ムダムダムダムダ!」


「くそ、全部受け止めやがって!悪鬼纏身だ!」


「まだまだだよ、修!地獄葬送手刀を喰らえ!」


「え、後頭部?恵介、なんで直接殴るんだ、物理攻撃禁止って言ったろ!」


渡辺徹は教科書を閉じて立ち上がり、クラスメイトたちから異質の視線を浴びながら、二人と教室を出た。


この二人は渡辺徹が塾でできた友達で、普段は一緒に食事をし、アニメ、漫画、ライトノベル、美女などについて語り合う。


渡辺徹がバイトに行かない土日には、遊びにも誘い合う。


食堂に着き、三人は最終的に四百円の焼肉定食を注文した。焼肉、焼きシイタケ、サラダ、ご飯に味噌汁。


国井修はご飯を大口にかき込み、舌がもつれた声で言った。「今日の放課後、ゲーセンに行くか?」


「俺は大丈夫。」斎藤恵介はうなずき、「そうだ渡辺、水曜日の放課後はバイトだったよな?」


「本来はそうだ。」渡辺徹は焼肉を一口食べたが、味は平凡だった。


「本来?何かあったのか?」斎藤恵介が問いかけた。


「デート?ついに来たか、この日!」国井修は悲鳴を上げた。「渡辺が三人の中で最初の一人前になるのか!」


斎藤恵介は興味津々で振り返り、渡辺徹を見つめた。「そうなのか?相手は誰?何組?容貌は?」


「そんなわけない。小泉から命令された、今日中に部活に入れと。」


「その話か。ち、つまらない。」国井修は再びご飯をかき込み、ご飯を食べ終わってから焼肉とサラダに手をつけた。


こいつ、変わってるな。


斎藤恵介は言った。「コンピューター研究部に来ないか?可愛い女の子はいないが、ゲームを無料でたくさんプレイできるぞ。」


「野球部に来いよ渡辺、俺がお前を連れて甲子園へ、明日のスターにならせてやる!」国井修は気迫溢れる声で言った。


渡辺徹は淡々と言った。「お前自身が先輩たちに水やタオルを差し入れてるだけじゃないか。」


「これは一時的なものだ!部長がこっそり言ってた、来週から練習に参加させてくれるって!」


「そうか。」渡辺徹はサラダはまあまあだと感じた。野菜は新鮮だ。


「おい、本気だぞ!部長が本当にそう言ったんだ!」


「わかったわかった、うるさい。」斎藤恵介は言いながら椀を持ち上げ、味噌汁を一口飲んだ。


昼食後は一時間の昼休み。今までは三人で雑談をしていたが、今日渡辺徹は先に部活を見に行くことにした。


「一緒に行こうか?」斎藤恵介が言った。


「いや。」渡辺徹は手を振った。「お前ら先に教室に戻れ。」


「わかった。」


二人と別れ、部活棟に向かう途中、渡辺徹は隙を見てシステムを調べ始めた。


「パネル」と「モール」の文字が光輝いている。


彼は念力でパネルを開こうと試みたところ、難なく表示された。


人物:渡辺徹


知力:7


魅力:8


体力:3


アイテム:なし


スキル:なし


ポイント:100


所持金:十五万四千六百五十円


平均値は五ポイント。


これを見れば、頭が切れるのは当然、容貌が整っているのも確か、長距離走で女子に一周抜かされても何の違和感もない。


スキルに関しては、渡辺徹は今まで自身に特筆すべき長所がないと痛感していた。


続いてモールを開いた。


アイテム:探知機 定価:1000/特価:100


所持金:100円/1ポイント


知力:1ポイント/10万ポイント


魅力:1ポイント/1万ポイント


体力:1ポイント/5千ポイント


スキル:入門—文章作成100、習得—レタッチ1000、熟達—料理1万、達人—釣り10万


所持ポイントはたったの100。どう見ても用途不明の探知機を買うためだけの数値だ。


渡辺は更に一分間隅々まで探し回り、ようやく透明でほとんど視認できない「附則」のメニューボタンを見つけた。


この手の手口は、明らかにプレイヤーを陥れるルールが潜んでいる証拠だ。


附則


1.プレイヤーの死亡は本ゲームと一切関係なく、復活の義務を負わない。負傷は修復可能、手段は自ら探究せよ。


……渡辺徹はこの条項を見つめ、思いに耽った。


2.攻略対象者に接触する前に、探知機を使用し、攻略可能対象か否かを確認することを推奨。探知機はモールにて購入可。


3.毎月、新たなアイテム購入オプションが追加される。


4.所持金の交換上限はなく、現実で安心して使用可。


5.知力、魅力、体力は十ポイント以降、交換に必要なポイントが倍増する。


6.スキルは毎月末日にランダムでリフレッシュされる。


7.スキルリフレッシュ時は入門級一つ、習得級一つ、熟達級一つ、達人級一つが出現、価格は変わらず。


8.スキルの入門級は一般高等学府卒業者相当、習得級は業界従事者相当、熟達級は業界エリート相当、達人級は人類の限界相当。


9.知力交換時、プレイヤーは得意とする知識またはスキルを具体的に選択せよ。絵画を選択した場合、プレイヤーは絵画において絶世の天才となり、上限は達人級を超える可能性あり。


997.プレイヤーは本ゲームの機密を守る義務を負う。


998.基本的人権の精神に基づき、プレイヤーは攻略の可否を自由に選択可。


999.攻略成功後の一切の結果はプレイヤーが自ら負う。


1000.一切の解釈権は本ゲームに帰属する。


びっしりと十ページにわたる条項。渡辺はこれを読み終えるため、校舎と部活棟の間の渡り廊下に十数分間佇んでいた。


隅々まで読み終え、渡辺徹はこのゲームの概要を把握した。


攻略対象者を真心を込めて友達にさせれば、ゲームポイントを獲得できる。


そしてゲームポイントさえあれば殆どの願いが叶う。もちろん運も必要だ。リフレッシュされるスキルが強力か、自身の望むものかによる。


これはプレイヤーにチャラ男になれと強いているようなものだ。


渡辺徹はこのゲームに対して言葉もなかったが、罰則がないのなら試してみても損はないとの考えから、探知機を交換した。


探知機:情報閲覧可能回数 3/3


ちょうど一人の女子生徒が渡辺徹の前を通りかかった。彼は使用をタップした。

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