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すずのお絵描き日記  作者: 鈴川愛夏
2025年10月
114/294

版画(銅版)を制作しなさい。

起床。風邪が悪化している。激しく寒い。抗生剤を飲まなければ。

こ・・・これは身体が動かない。仕方ないベトナム式解熱剤をキメよう。

這ってでも学校へ行かなければならない。


このまま学校で死ねたらいいな。周りに人がいる中で死んだらみんなに迷惑かけるだろうけど、孤独死するより死体処理のこと考えるといいよな。私に失う物なんてないのだからいっそこのまま・・・

否、楽に死にたい。こんな辛いのが悪化するのは嫌だ。

どうせ死ぬなら樹海で首吊りこれに限るのだ。何で死ぬと一番楽かは勉強したのだ。


すだちジュースを作り飲む。いざ、学校へ。

荷物が重いよおおおお。

こういう日に限って電車が満員で座れない。ちっ。


おい、そこの年寄り、私より元気だろ。足腰訓練するためにあなたたちが立って、私を座らせるのだ。

やはりヘルプマークがほしい。


バスでは座れた。

ミュージックスタート。前川清である。ふふやっぱり日本人は演歌なのだ。


どこかでまとまった時間をとって、整形しよう。整形しないと私は醜いから恋愛なんて絶対に無理である。男性に顔を見られたくない。

身体は痩せたとしても顔だけはブスはどうしようもない。

いや、待てよ。もっと、人じゃないようなモンスターに整形すればちょうど私と合ってていいのでは?そうすれば潔く孤独死する覚悟が決まる。


答えは後者だな。

整形して人が目を合わせたくないような醜い怪物になろう。今でもじゅうぶん怪物だけれど。


学校休みでダウンタイムが一ヶ月かかるとして一ヶ月引きこもれる時間はいつだろうか。


急に発作が起きた。バスの中で音楽やりたくて仕方ない発作が起きた。これは困るううう。

ギターでもピアノでもこの際何でもいいから楽器を貸してください、誰か。

バスではそんな事を考えながら登校である。


学校到着。Wi-Fi接続。

昨日の夜洗った髪の毛がまだ乾いてなくて寒さが染みる。


ウエストミンスターチャイムが鳴った。

ざっくり銅版画の歴史の座学を受ける。

現代のトレーニングカードの元となったのは銅版画であるとほーう、そうだったのか。


にっ・・・ニードル忘れた・・・

ふ。作業着に着替えて世界堂へ。


二人一組になって並ぶ席で、人数が奇数だからそこで一人の席をひく私の運は強い。にひ。一人最高である。


銅版画工房へ移動した。


銅の裏側にシールを貼る(ウエスを使い、気泡が入らないように)、残り部分をカッターで切り取る。銅版にニードルで1ミリ幅で線をひき、下に新聞紙をひき、ガムテープで1ミリ幅を荒目のヤスリを使い、次に中目のヤスリ、細目のヤスリでやすっていく。細目のヤスリは、45度より気持ち5度寝かしててやする。


レッツ作業。

かっ・・・カッター忘れた・・・

レッツ世界堂・・・ふ。


びょっ描画部分間違えてカッターで傷付けてしまったああああ。


銅版の端を削る。

この作業は何の苦行だ?私はお絵描き学校に入り一体何のためにこんなことをしているのだ?辛い。


版画の下図を3つ見て、教授が無類のカピバラ好きで、カピバラ・マーモット・チンチラを描いた絵に興味津々である。


銅版の削りが上手に出来なさ過ぎて、最終的に教授が全部削ってくれた。


教授は私の銅版を削りながらチンチラってどれくらいの大きさ?とか聞いてくる。答えると、次は、マーモットは?とか。齧歯目好きなの?と尋問される。

ふふ。これは

教授と「どうはん」だ。平仮名にすると嫌らしい意味合いになるな。

誰かに言いたい。「今日、教授とどうはんなんだ〜」って。

きっと美大以外だと、ホステスと間違われるだろう。


その後、薬剤擦り付け、銅版を火で光るまで炙る工程を挟んだ。


てか、銅版の教授、見たことある、このタイプ・・・

一言で言うと宇宙人タイプ。


前の大学にちらほらみかけたような人種だ。ふ。

この教授好きだ。


プロテインをキメて、抗生剤と解熱鎮痛薬をキメた。

レッツ描画。

下図のチンチラをドレッシングペーパーに転写していく。


お昼休み、図書館に本とDVDを返却して

円山応挙のDVDを借りた。


しほと会う。この世の中の人間の95%が嫌いという話で大盛りあがり。


お昼休みが終わった。さっきのトレースの続きである。

お絵描きタイム。


途中で紙の裁断をしに工房へ移動。

一通り落ち着いたので描画途中だけれども、他の科目の課題提出へ。でかい筒を持って移動する。


課題提出完了。よし、教室戻ろう。

レッツ描画。


トレッシングペーパーを取り、カーボン紙をとる。おお。銅版に絵がうつっている。


いでよ、ニードル。支持体は銅だ。ぐへへ。

レッツ描画。

ぬひ。ぐひひ。

銅版に付着した薬剤を針みたいな細い線で削る途方もない作業をするお絵描きタイム到来である。


お絵描き、エッチング技法!!

めっちゃ地味で細い作業である。


きょっ・・・教授に、ちゅっ・・・注意されてた事忘れて手で画面触ってしまったああああ


気が遠くなりそうなエッチング作業をしながら、ふと、普通の人生について考える。

普通に就職して普通に結婚して、普通に子供産んで普通に・・・・

てか、生まれてきた時からの親ガチャに負けてるのだからそもそも普通になんて無理なのだ。

てか、普通って何だろうか。私が今やってることはみんなやってるから普通なのだろうか。

もし、世の中の大勢の人間の輪の中に入るくらいなら、そんなつまらない普通なんていらない。

普通なんてクソ喰らえだ。

孤独死上等だ。そんな事を思いながらちまちまちまちま

ニードルで銅版に付着させた物質を削ってお絵描きしていく。


銅版の薬剤が剥がれた部分を黒ニスとリグロインを薄めたものを日本画用の面相筆でマスキングしていく。


そこで、教授が一方的に助手に対して釣りの話をしていたので、思わず割り入ってしまった。

教授とマスキングしながら海釣り談話が繰り広げられる。教授は愛媛出身らしい。

やばい、銅版楽しい。描いたのチンチラだけれど。


薬剤に銅版を浸すタイム。9分×4セット

薬剤に9分→水→水→水→流水を繰り返す。

暇になったので教授に絡む。

「先生、チョウチョウオの塩焼き食べたことあります?」

教授「ない。え?美味しいの?」

私「はい。個体差もあるとは思いますが、アカムツに匹敵するくらいのレベルです」

教授の好きな魚はオニオコゼのお刺身らしい。

次はオニオコゼ狙いで釣りに行くと決めた。


そんな会話が繰り広げられながら版画の作業をする。


悪寒がしてきたので解熱鎮痛薬をキメる。


腐食工程が終わったので、水→水→水→醤油


移動してプリントクリーナーとウエス×2回、リグロインで銅を磨く。


乗る予定のバスが目の前を通り過ぎていく・・・ふ。


さ、帰ったらキックボクシングへ行こう。

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