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極めてグロテスクなトリニティ  作者: やなぎ怜


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side 海&陸(2)

「オレ、空のこと好きだわ」


 先日、暴力事件を起こした海と陸は幸いにも退学は免れ、停学で済まされた。被害者の烏丸たちの素行が普段からよろしくなかったこと。反対に海と陸はさしたる問題を起こしたことがなかったことで、喧嘩両成敗と相成った。……とは言え、向こうは鼻を折られたり、前歯を折られたりで、手の甲を切っただけの海と陸とは違い散々な目に遭っていたが。


 だが海と陸がそのていどで反省するはずもない。今も、烏丸たちを一方的に蹂躙したことについて、毛の先ほども反省はしていない。ただもう烏丸たちへの興味は失せていた。この点は、烏丸たちにとっては幸いだったかもしれない。


 あの日の昼休み。スマートフォンで動画を見ながらゲラゲラと笑っている烏丸たちのグループを見て、海と陸は即座に阿鳥が「イジられ役」だということは見抜いたが、仮とはいえ、空と恋人という関係になっていたことが許せずに執拗に殴りつけた。阿鳥に嘘告をするように囃し立てた烏丸たちも同罪だったので、これも殴った。鼻血を垂れ流し、涙を流して許しを乞われても、殴った。


 それでも停学に収まったのは、海と陸が狡猾にも「家族――姉――を馬鹿にされてカッとなった」という、他人にも共感しやすい理由を押し出したからだろう。もちろんこの理由は丸きり嘘というわけではない。それでも真実すべてを話したというわけでもなかった。


「陸は?」

「……当たり前じゃん」

「やっぱりー? オレら気が合うもんなー?」


 それと言うのも、ふたりはあのとき、初めて自覚したのだ。


 空に恋している、ということを。


 阿鳥が一番許せなかったのは、仮と言えども空と恋人と言う関係になったこと。烏丸たちを許せなかったのは、阿鳥と空が恋人の関係になることを後押ししたこと。


 空に恋していたふたりにとって、その所業は許しがたいものだった。しかし、空への恋心を自覚させてくれたという点においては、小指の先ほどくらいは感謝してやってもいい。海と陸の気持ちは同じだった。


 空が、血の繋がった姉であることは、海と陸にとっては問題ではない。かつて空を売ろうとした両親をあっさりと殺した彼らに、通常の倫理観や道徳心を期待するのは無茶な話だった。


「空も好きって言ってくれるかな?」

「言わせればいいだろ」

「だな~。じゃあ、本気出すかー」


 ……これは、いずれ人工島・極楽島で三つ子の殺し屋として名を馳せる三人の、始点の話。

余談:

実は阿鳥(ウソコクやらされた男子生徒)は空が死ぬ原因。たまたま仕事のときに彼に遭遇して、気を取られたところを敵に殺されてしまう……という話。しかし異世界転生者のかもめが介入したことで海と陸、ふたりの恋心の自覚が早くなり、運命が変わった。……かもしれない。

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