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エロゲ転生、優月の根源

おや? 凛堂優月(ユーフェウス)のようすが?

 改めて整理すると、こっちが殺されるかあっちが倒れるかのシンプルな戦い。

 だが残念、ダメージはゼロ!

「流石騎士さんだこと。防御がかてぇなぁ…」

 服装に汚れがついたくらいで本人へのダメージはゼロ。綺麗な肌に傷は一つもついてない。

 ヤーバルハはほぼ全属性弱耐性持ちの雷が強耐性、ただし炎と毒が完全耐性。斬撃耐性持ちの一部特殊呪文は無効だからほぼ素の力で戦うのを強制される。

 無属性と爆発系が耐性なしだから一応ダメージは出てたはずなんだけどな…ダメージ出ないのはわかりづらい。

「ガグ…ギギァ…」

 属性相性を考えていると、その思考を叩き切るように両手剣を斬り下ろしてきた。

 考えてる暇もねぇ…。

「なっ! っと」

 躱しつつバックステップで距離を取る。なるべく短期決戦で仕留め……ではなく無力化したいんだけど。

 ん? よく見たら今持っているヤーバルハの武器がいつもと違って鈍色に褪せている両手剣だな?

 分類上はバスタードソードと呼ばれる1.2メートル程度の剣だが、本来は魔王からもらったと言われている黒基調の赤いラインが入った魔剣。触れるだけで相手を火傷、火傷の耐性がなければ延焼状態という固定ダメージ(スリップダメージ)を与えてくる特殊武器を装備するはずだったが、魔王の配下じゃないからか武器は当時のもの…と思われるものを装備しているようだ。

 これならまだ楽に…。

「って、そうは問屋が卸さないってか」

「シィッ!」

 振りかざした剣を切り返して突きを放ってくるのを横っ飛びで躱す。瑛士よりも早い切り返しだからかちょっと焦る。幸いにして多めに距離が取れたのは良かったけども…。

「【マルチクリエイトブロック:棒】」

「ゴッ!」

 個人的には比較的扱いやすい武器で攻撃を逸らしていく。棒の利点はリーチがある点で、槍も似たようなものだがあっちは突きがメインなのに対し、こっちは万能性を誇る。つまり対応力で言うなら棒のほうが利点は多い。

 しかしあくまで対応はできる、というだけで効果があるかと言えば…。

「ねぇんだよ、なっ!」

「ギィッ!」

 こんな付け焼刃の攻撃なんて通るわけもなく、剣であっさりと受け流されてしまう。そしてそのまま懐に潜り込まれて剣で斬り上げようと刃を振るう。まるで死神の鎌のようにも見えるけど。

「【無の防御魔法(プラチナムウォール)】! カハッ!」

 透明の壁を張って一度だけ攻撃を相殺する。流石に序中盤で覚える防御魔法だがMPの消費が激しいのがネックで、一気に持ってかれたMPに気を取られて叩き込まれる回し蹴りはもろに入った。

 だけど蹴りが入った勢いでそのまま距離を取ることができた隙に。

「【火の上級魔法(エクスプロージョン)】ッ!」

 武器を振る速度は圧倒的に早いけど、距離があるなら無詠唱には勝てないので勢いのまま範囲爆発を起こしてさらに距離を取る。

「【光の中回復魔法(ヒーリング)】」

 そしてまた距離を取って詰められては

 あぁもう! 考えるのが面倒になってきた!

「かえで! しっかり防御しとけよ!」

「かしこまりました。どうぞ存分に」

「っしゃぁ! 自爆魔法みたいな何か! 行くぜェ!」

 技名を適当に叫びながら俺自身の根源をばらまく。目くらまし程度とはいえヤーバルハが止まってくれたら、もしくは煙幕くらいの効果が数秒でもあれば十分時間が稼げるはずだ。ただ爆発とはいえ自爆は自爆、ダメージは自分にも返ってくるがそれはそれでこれはこれ。

「【無の上級魔法(リリースバースト)】!!」

 魔法を唱えて周囲を暗い闇が覆うと同時に音が置き去りになった。自爆魔法最大の誤算は、爆発範囲が異常に狭かったのとヤーバルハとの距離が手の届く範囲まで近づかれていたこと、そして根源までが攻撃魔法扱いになっていて連鎖爆発の影響に及んでいたことだな…。

 根源という名前の闇魔法を全方位にばらまいた挙句、自爆魔法による衝撃を与えたことでお互いがバカにならないダメージを、さらに爆心地で受けたという結果に。

 つまり、何が言いたいって?

「ほぐぇっ!?」

「グァッッ!!」

「優月様ー!!」

 めちゃくちゃいてぇんだよォ!? いや前にこの魔法で爆発させたときはそんなダメージなかっただろがい! 威力が強すぎんだよ!

 身体が! 身体がもぎれるっ!? ぶっとぶぐぉぉ!?

 ホァー! アァーッ! 

 あっ、目の前っ、かべっ!?

「あべしっ!!」

 あっ。

「っぁっ!」

「優月様!?」

 おれは目の前が真っ暗になった。






 ふむ…久しぶりに目が覚めたような気分だが、今回は意識が浮上しただけのようだな。

 どうやら私の身体の持ち主は気絶して根源すらも枯渇して生命の危機に瀕しているらしい。それだけでも度し難いが身体を乗っ取る以外に手段がない今となっては、生命をともにする私が困る。外部から闇魔法マリオネットマインドで深層意識を強制表面化させる以外では奴の意志次第。どうせ私が意識をすべて取り戻したとて、ヤツが意識をこちらに渡さない限りは私が表面化することはできない。私が自由の身体を手に入れるには(優月)の生命体が必須。

 非常に度し難いが魔族の力は一級品。私のベースにふさわしいため壊すには惜しい。仕方ないが力を分け与えるしかない。

(……む? この根源は…)

『小娘、私の身体に何をしている?』

『あら。どなたかと思えば、魔王のご子息様ではありませんか。お久しぶりでございますね』

『メルリアか。言いたい放題だな』

『それよりいかがですか? 仮初の身体は』

『ハッ、つまらん冗談は相も変わらず上手いものだ。退屈だ』

『それはそれは。大変でございますね』

『はやくこやつに身体を渡すように伝えよ』

『はて。どうしてでしょうか?』

『なぜ? 少し考えればわかるだろう。私は魔王の子息にして世を統べる王ぞ』

『確かにそうでしたね』

『それがわかったら早く渡すのだ。あとこの鬱陶しい根源を止めるのだ』

『はて。どうしてでしょうか?』

『くどいぞメルリア。いい加減に止めよ』

『はて。どうしてでしょうか?』

『貴様、私を愚弄するか?』

『はて。どうしてでしょうか? これは三度目です。次はありません』

『くどいッ! 王の前に不敬ぞ貴様!』

『私の我慢も限界を超えましたので、そろそろ処分させて頂きましょう』

『笑止! 貴様如きが私に敵うものか!』

『…どうやら優月様の根源ベースも整ったようですね。機としては今がまさに…』

『何をぶつくさと…我が根源の前に伏せよ! オオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』

 粋がる小娘を教育するのも王族の務め。こんなところで力を使うのはもったいないが役目なのだ。それに力を自由に扱う慣らしとしてはちょうどよいだろう。王族の血の力の前に慄くが良い!

『…これは…こうですね。こちらはあちらに流して、これは余計なので摘み取ってしまいましょう』

『…なぜ、なぜ涼しそうにできるのだ!』

『まったく。お門違いも甚だしいですね。こんなのが魔王の血筋とは、魔族も落ちぶれたものです』

『くっ、わ、私が…私としたことが…ッ! こんなことがあってたまるか!!』

『あら、流石は魔王のおこちゃまでございますね。こんなにたくさんの根源が』

『…ク、ソォォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』

『あらあら、まだ出てくるのですねどこまでだせるのか、見物ですね』

 この女……ッ!

『オオオオオオオオ!!!!』

『………ッ!』

『……やめだ、貴様に向けても無意味』

『そうですか、残念でございます』

『覚えておけよ小娘。ここから出たら真っ先に貴様を殺してやる』

『あら。光栄でございますね。それが叶うならばさぞ名誉なことでしょう』

『……何が言いたい?』

『ありがとうございます。私の得意な闇魔法、それも『思考誘導』に引っ掛かってくださいまして』

『……ッ! これは…!』

『あなたもご存じ。私の得意な闇魔法でございます。本当なら優月様の寵愛を授かるための魔法でしたが、塵芥のために使われることを光栄に思ってくださいな』

『とめ、止めろォォォ!』

『嫌でございます。優月様のために必要な犠牲となってください。さぞ名誉なことでしょうね』

『き、貴様ァ!』

『さすがに風前の塵でございますね。根源のお力が他の塵どもとは異なり幾許か多い』

『と、くっ、くぅぅぅ……ッ!!』

『あともう少しで命はつきそうですね。では一気に吸い取りましょう』

『ぬわーーーーーーーーーーっ!!』

『……生命反応ロスト。命とは儚いものでございますね』

『あとはこの吸い取った根源を優月様専用に作り替え……』

『む。まだゴミが残ってますね。壊してしまいましょう』

『あとは余分な根源は魔核にして……いえ、私やあの女と同じようにしましょう』

『優月様を思えばこれしきのことは難しくございませんね』

『さて…すべてを圧倒する力を得る代わりに魔力の制御が難しくなりましたが、優月様ならきっと超えてくれるはずです』

『私の優月様なら簡単でしょうね』

『さらに体内で魔力を生成できるようになったので、これで優月様が魔力枯渇することはなくなるでしょう』

『流石は優月様。誇らしき至高の御方でございますね』

『さて、問題は…こちらですか』

『聞こえるかは不安ですが、やるしかありません。伝わることを祈りましょう』

『あー、あー。聞こえておりますか? 三ヶ月、三ヶ月も経ちましたよ。早く起きてくださいませ』

『目が覚めたら闇の力に戸惑うかと思いますが、それはあなた様のお力です』

『新たな力を使って世界をどうするかは、あなた様が決めてください』

『できるならば…私と共に生きてくださると嬉しいのですが、あなた様には使命があったかと存じます』

『そのために私と新しいあなたの従僕がおります』

『来る日に備えて、私ともども支えさせて頂きますので』

『さぁ、お目覚めください。我が主』

 ………………………。

 ………………。

 ………。


なんと! 凛堂優月(ユーフェウス)真・凛堂優月(魔皇帝ユーフェウス)(第3形態)にしんかした!


こちらが何か(シナリオ)を書いているときもまた、あちらも何かを書いている(根源を書き換えている)のです。-2022/12/13 ニーチャァ-




あと3か月も更新しなかった自分をメルリアさんに攻められている気持ちですが気のせいではないと思います。ぎもぢぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!"

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