エロゲ転生、カロリーゼロ未満は逃避にピッタリだと思う。でもそろそろ現実を見よう。
「これが終わったら魔法開発、これが終わったら魔法開発、これが終わったら魔法開発」
ダンジョンアタック後で案の定、かえでのお説教が待っていた。俺がいない間に点呼があったようで、その時間になっても返事がなかったからスルーされてしまい、点呼に1分間に合わなかったとかなんとか。そしてご飯がないのでわざわざ作る羽目になったので無駄な手間を作らないでほしいということとクラスの進捗とかの報告、その他もろもろをお説教交えて頂いた。
ちなみにダンジョンに入ったことについてはかえでにも伝わっていて、先生の許可があるなら自分からいうことではないとお咎めなしだったが、それ以外は許してもらえなかった。
ということを二日連続で言われてしまい、流石にかえでのお怒りも強くなっていたので、ちょっとアレでアレなアレになっている。
当たり前だが、謹慎中なので外泊許可は下りないため、ダンジョンで寝泊まりすることができない。当たり前の話だが。
そんな現実逃避をしながら3日後の15時、30階層のボス部屋前。一応ボスを確認しておこう。
「うん、お嬢と戦った石像がちょっと強くなって3匹に増えただけか。なら雑魚雑魚」
石像ことガーゴイル君がやや強くなってガーゴイルⅡ、それが3体。今のレベルでは攻撃力が足りない上に物理強耐性持ちだが、弱点は魔法の火属性と氷属性で次に水属性による攻撃なので条件は突破しているので難しくない。クリティカルは顔、とHPが1000程度ならお嬢が出した炎の強撃魔法三発分だから、お嬢よりも火力はある今の俺にとっては負けるほうが難しい。
そしてあの時は出せなかったけど、楽に倒すなら氷魔法のほうが良い。氷属性のランスならこっちは弱点ダメ4倍、クリティカル含めれば8倍にもなるからおそらく一発と弱魔法くらいの火力で倒せる計算の予定。ただ問題は初期位置だが…VRと変わらないのであれば全員がまとまりながらこっちを見下している構図だったはず。それなら炎の範囲魔法一発行けばワンチャン氷槍を顔に当てるだけで一発ツモが引けるはず。
もし情報以外の敵が出てきたら属性魔法や物理攻撃を仕掛けて敵の弱点を探り、臨機応変に殲滅する形。もしモンスターハウスなら範囲魔法か貫通系の魔法で殲滅優先。残った敵はMP次第で強力な範囲攻撃か各個撃破で対応。
……なんだこのガバ理論。カロリーゼロ理論未満やんか!
「悩んでいても仕方がない。場当たり的になるけどやるしかない」
【ヒール】と【身体強化】を唱えてからMPチャージ薬Ⅰで回復し、HPもMPも万全の体制を整えてから扉に触れて軽く押す。
重厚そうな扉が開く音と共に、広い部屋の中央にいた魔物がこちらを見下してきた。
「情報変わらず、石像ことガーゴイルⅡで確定。それなら…【炎の中級魔法!】」
扉に入って敵が動き出す前に炎の範囲魔法を起動して発射。手から赤い針を打ち出して、横一列に並んでいたガーゴイルⅡに降り注ぐ。それを防ぐ術はないので頭上からの針千本を受け止めながら、それぞれが攻撃のモーションに入る。
「弱点とはいえ、やっぱり中級では薄かったか?」
発動時間の短縮や無詠唱などの問題がクリアできればもっと強い魔法を使えたんだけども、中級以上となると敵が動くかこっちの詠唱完了と発動との、どっちが早いかという運試しにもなるので安牌策を取っただけ。なるべく謙虚に、そして省エネ楽して確実倒そうをモットーに生きていきます。謙虚確実確殺の3Kを心に掲げて!
石像のときもみた腕攻撃。それが三体分で波状攻撃のようにそれぞれ、腕を振り下ろす、腕を突き出す、腕で薙ぎ払うの攻撃を繰り出すが、見てからでもギリギリ躱せるくらいのスピードだ。千花や瑛士の攻撃をかわすほうが難しい今となっては、どこに逃げ込むかにもなる。
それぞれの攻撃は右にいたガーゴイルAの振り下ろした手からは破片の影響まで及ばない位置までバックステップで避けて、正面のガーゴイルBが突き出した左手は長柄で叩いて逸らし、ガーゴイルCの側面から振り払いはおとなしく後ろに飛んで逃げる。
大型に囲まれるだけで面倒だし、その大型ですら通常攻撃がほぼ全面攻撃で質量増し増し大ダメとかどうなんですか。クソですわ。二回攻撃してくれる二刀流おかあさんでもないならお帰りください。
飛んでいる隙を埋めながら発動までに2秒の溜めを要し、左手でガーゴイルCの顔に狙いをつけて発射!
「氷の強撃魔法!」
「GUGYAAAAAA!!!」
狙いは正確にガーゴイルCの顔にヒット。この世界であれば15メートル程度であれば0.1秒から0.5秒くらいの速さで到達して的を破壊できるランス系の魔法はとにかく威力と速射性に優れる。反面、消費する魔力と詠唱までの発動時間がネックとなっている。どれだけ最短を極めようとも無詠唱は無理があり、詠唱短縮をしても魔力の効率が良くないのか、縮めることが叶わないのがランスの悲しい点。
そんな強撃魔法でも当たれば一撃は可能であるのは最高に優秀で、ガーゴイルも耐えることはできなかったのか、顔から石の破片がボロボロと崩れて、零れ落ちた破片を伝うように全身が霧散していった。これで残り2体。これを後2回か…つら。
「力が……力が…足りない!」
これが力VS力ならガチ殴り合いの戦いもいけるが、たぶん殴り合い蹴り合いの物理対決はもっとレベルを上げてからじゃないと無理。せいぜいが横殴りで攻撃の威力を逸らすか弱めるくらい。正面衝突なんてしたらこっちのからだがばっきぼきすること間違いない。冗談じゃない。
もっとも、物理は担当じゃないので言葉は違うが。
「魔力が…魔力が足りない!」
俺の場合はこっちか。魔法戦ですら詠唱時間が足りないし即時発動できるものなら範囲ブッパでさっさと終わっている。
嘆きながら一体ずつガーゴイル君たちと対峙するっきゃない、悲しい悲しい。
「GA…AAA……」
「やっと終わった…【ヒール】」
1体目のガーゴイルを倒してから2分くらいで残りのガーゴイルも倒すことに成功する。
すぐ終わるかと思ったが、ガーゴイルたちの動きが良くなったことでお互いが連携して攻撃するので魔法を発動することができず、2体目を倒すまでに時間がかかったのが遅くなった原因。
俺は激憤した。やはり魔法を開発しなければならないと決意した。物理信奉者にはわからぬこの想い。
「絶対に弄る…こんなクソみたいな魔法なんて許さない…絶対に遊び倒してやる!」
俺は単純な男だった…。
メロスごっこはここまでにして、ガーゴイルが残していった置き土産の魔石(中)二つを拾ってから、最奥にあるお宝を取りに行く。やっとお待ちかねのご褒美タイムが向こうからやってきた。ご褒美は歩いてこない、ダッシュで迎えに行くんだよォ!
「アイテムボックスが手に入った…よかったぁぁぁ………」
30階層の転移陣を起動して奥にある宝箱を開くと、中に入っていたのは白い布袋。ほしかったアイテムボックスだった。今のところゲーム時代と乖離がでていないからよかったものの、いつかは生まれるかもしれない、そんな恐怖が俺の中に…。というかアイテムボックスがなきゃ本気で詰んでたからな…
レベル上げというか経験値を溜める以外でこのダンジョンを選ぶ理由。それはソロ討伐でアイテムボックスがもらえるという点。二回目以降は装備アイテムもしくは無属性含めた魔石(中)~魔石(大)からランダムで一つ出るので、本当に序盤の中では金策として優秀なダンジョンだ。ほんとアインスト最高。もっとも、経験値はこっちが上だとしてもアイテムの質は学園ダンジョンのほうが上。そう考えると今の状況としては繋ぎダンジョンとして最高。
やっぱりアインストはナンバーワン! なお、一か月後にはナンバーワンの地位は奪われている模様。
でも今は、アインストダンジョンに感謝感謝ですわ。ニキビすらも吹っ飛ぶ感謝だ。もはや感謝のバーゲンセール状態と言っても過言。さすがに感謝のワゴン売りまでは過言だったが、さりとて、そんなことを思わずにはいられないくらいにはテンションが上がっていた。
「これでやっと戦える…魔王をぶっ飛ばす準備が進められるぞ」
ワイ将、高笑い。GAHAHAですわ。
『魔王へ挑みし者よ、さらに奥へと進みなさい』
「!?」
そんな笑い方をしていた、のが原因かは不明だけど、なんか声が部屋の中に聞こえる。笑いを止めて周りを見回し、そして正面を見ると入ってきたときにはなかった「次の階層への扉」が出現していた。
「え、いやいや…。え? 何これ?」
【悲報】ワイ氏、困惑の極み。
「こんなの、ゲームの時にはなかったよな…? というか姫トラにこんなシナリオ、あったか…?」
胸ポケットのノートを取り出して開くけど、突発イベントやクエスト欄を見ても類似する項目は見つからない。一応キャラシナリオとか関連したページを開いても見つからない。
これはさすがに想定外。
「罠…か?」
考える、考える。
ゲーム以外の現状、奥に進んで待ち構えているのは何か。それは声を飛ばすことができる存在。…いやいや情報少なすぎでしょ仮説どころじゃないわ。
「聞こえていますか? ひとつ質問があるんですが」
とりあえず返ってきたら儲けもの、くらいだけど。声の主に届いて反応を待つが返答はない。
「もしもーし…?」
返答はない。
「ヘロゥ?」
バスはいない。
「…はぁ↓いぃ↑?」
杉下〇京で聞いても神〇君は返してくれない。
「パドゥン?」
Not Please Me.
「困った…マジで困った…情報がなさすぎる……」
勘としては進まないほうが良いと伝えてくるけど、力を手に入れたい現状としては何としてでも情報は手に入れたいと思っている。
進まないと急激な何かは手に入れられず、進まなければ何かは手に入らない。
天秤天秤。天神ではなく天秤。にっぽんだからできたこと。
そうじゃない、天秤だ。何と何を秤にかけるか。現状維持か千変万化のどちらかを。
長い時間をかけて考えていたが、思いついた目標と答えはすぐ近くにあった。
「……進むだろ、ここは」
自分で言っていたじゃんか。一年で学園ダンジョンを攻略するって。こんなところで詰まってちゃ一年で攻略だなんて夢の話。ダイタロスダンジョンでも1層を突破できずに死んじまうね。
だったら前進一択だ。
魔王をぶっ飛ばさずして、平和なんて訪れるなんてことはない。
今は弱い瑛士でも、一足飛びどころか三足四足で駆け抜けていく強さに上がっていく。その弱さに置いて行かれるつもりもなければ、アイツの兄貴分としての意地もある。弱い兄貴というお荷物は、魔王攻略にとって邪魔でしかない。
それならどうするか。進むしかないのだ。
「俺は魔王をぶっ飛ばす男だ、こんなところで躓いてるわけにはいかない」
万全の体制を整えてから扉に手を触れる。
そして俺は意識を失った……。
最近アレがアレしてきたので、急遽〇〇シリーズをパロったネタを一つぶっこんでおきました。




