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エロゲ転生、先生あざぁぁぁす!

戒めは戒め。過去の嫌なできごとはゴミ箱に捨てちゃえタイプです。

 サービスタイムという名前は顧客層からすると期間限定やセールという言葉に聞こえ、販売店側からすると残業とかピークやらデスマーチやらに聞こえるらしい。

 実際にお互いの立場に立ってみれば互いに見えている視点というのものが異なり、感覚的な部分も理解できるらしい。

 そしてお客様(ユーザー)目線、販売店視点それぞれの観点からバリューを増やすのがうんぬんかんぬん。という話を前世の大学時代で講義を受けたときに、なんやかんやで話が脱線したときに教授が言っていたのを最近見た夢で思い出した。

 まぁ、だから何だって話だけど、今の状況に合わせるのであれば、どういうことかっていうと。

「魔法の練習するかぁ~…」

 絶賛謹慎1か月と2週間目突入、学園謹慎も折り返したところ。俺のゴールデンウィークは毎日勉強で潰れ、クラスメイト達は各々が好きに生活していた。自業自得なので受け入れるが、悲しみに溢るる。

 そして1組(特進科)がダンジョン解禁して順調に15層直前まで到達しているのだ。着々と追いていかれている…ということが実はなかったりする。

 6層以降では魔法戦闘も要するらしく、下級魔法の弱魔法(ボール)と中撃魔法(ボルト)は前衛戦闘組では火力が全く足らないために戦闘が長引き、後衛の火力は高いがそれでも一確(いちかく)では倒せず、強撃魔法(ランス)や中位魔法(アロー)では発動までに時間が足りず押し込まれそうになるというループに嵌ってしまい、脱却まで時間を要しているところだ。

 かえでから話を聞いてる分だと、戦闘開始前に速射性の高い魔法を連発して魔法の弾幕を張った後に前衛部隊が一斉攻撃すれば安定して回るはずだけども? と思わなんだ。別名「弱魔法ファランクス」とも言う。ゲーム内でVRモードにした時のパーティ戦で指示が複雑で命令を聞いてくれないだとか、序盤で魔法の火力が弱すぎてダンジョン攻略が上手くいかない、とかいう問題に解決した作戦指揮の一つ。

 VRモードは完全一人称視点で、自分(瑛士)以外はAIで動き、その瑛士も探索と戦闘はフルマニュアルで学園やマップ移動とごく一部の強制イベントを除き、戦闘やダンジョンに関わらないこと以外はすべて自分で動くことができる。セーブもロードもログアウトもかなり自由なタイミングで実行可能、それに時間についてもゲーム内では2Dと変わらないため、十分考えながら理想の動きを行うことができちゃう、わりと夢があった仕様だ。

 そう、ごく一部を除いた「強制イベント」以外では、ちゃんと夢があった。

 幸せのない悪夢が主観で再生されるムービーも、消すことができない。つまりどういうことかというと、『最悪の結末を観なければならない』ということ。

 桜の寝取りおっせっせせに始まり、胡桃の串刺し犠牲にヤンキーの壁犠牲。ブラック貴族崩壊編に至っては貴族の一族郎党公開処刑…まぁ愛莉栖と晴臣の公開処刑などなど。数々の胸糞ENDをリアルタイムで見させられるのだ。よくもまぁクソみたいな映像を作れるもんだな? と過去に憤慨したこともあったが、開発視点だときっとストーリー上必要なもので、ユーザーの抱いた感情も巻き込んでゲームの推進力に変えさせようとした、のかもしれない。

 非常に有難迷惑だけど(開発者には感謝の極み)!!!

 とはいえ開発チームも本当は入れたくなくても入れなければならない理由は、ヒーローヒロインズのバックボーンにあり、という話を開発チームがしていた。それなら納得…納得…。納得できるかーっ! かー、ぺっ!



 まぁいろいろ言わせてもらうとですと、ゲームじゃないこの世界でもありえなくはない話ってこと。

 対岸の火事だって明日は我が身ということもありえなくないので、全員には早く力をつけてほしいというのは希望でありマスト。武力で負ける胸糞を避けられるなら全体的に底上げしておくに越したことはない。ないのだが、今はこれでいいのかとか、まだ足りてないのではないか? とか。そういうネガティブが離れない。

 でも焦っては功を損じる、堅実に二段飛ばしで進めなきゃいけない。が、なぜかブレーキが利かない時があるのが本気でわからなくて困る。カバーできる範囲だとしても、後々で盛大なミスに繋がるのだけは避けたい。

 ……というか俺、好戦的になってない? 短絡思考じゃね?

 …前世を思い出せ、前世。

 ………………………。

 ………………。

 ………。

 ふむ、だいたいのことは割とノリで全力疾走した気がするな。自重しなきゃな。魔王が復活、支配する世界なんて死と同じだ。なんとしても避けなきゃいけない、マスト案件。

 てことで手始めに、ダンジョン攻略をして力を伸ばさなきゃ話にならない。

 学園側…というか美鈴先生が逃げ道を用意してくれた。本来であれば自宅謹慎というところを、特進科という事情からクラスに在籍することに対して学園側に命の危険性を説き、理事長も含めて学園長へ説得できたことにより、学園内に限っては自由に行動を認められることになったのだ。言外にも、課題と同時並行で身体作りも課題として認めてくれた。

 クラスメイトとの交流は禁止だが、個人で武芸を磨くことは禁止されなかった。つまりはもう一つのダンジョンに潜って鍛えるのは問題ない、ということ。

 課題の量の少なさも含めると、先生がそう言っているのも間違いではないはず…。不安だから一応先生には話を通して確認したところ、講堂ダンジョン―――先生は講堂ダンジョンと言い張って、アインストダンジョンと言ったところ「何ですかそれは?」みたいな顔をしていた―――なら入っても大丈夫と許可をもらったので問題ない。

「せっかくの厚意なんだから、アインスト行くか」

 今行ったとしても絶対にどこかで鉢合わせしそうだから、被らない場所に行くのが安パイ。今のところは学園近くまでが限界として、遠征してまで急がせるハイリスクは背負わないでいく。

 ということで、アインストダンジョンの15層までチャチャっとすっ飛ばしていきますかね。道中も大した強敵はでないし、レベル上げ、経験値取得、魔法の実験場、どんな言い方でも良いけど、最後のボスも含めてランニングのような感覚で行けるはず。道に迷わなければ。

 戦闘準備を整えながら寮を出て、工学科校舎を経由しながら講堂まで行くと、流石に授業なのか、普通科の生徒が球技の授業に取り組んでいた。流石にここから講堂の罠を使って降りるのは衆目を浴びてしまう。

 ということで、一度引き返して例のブツを使うことにしましょうかね。

 引き出しの中から箱を取り出し、ガッチガチに仕掛けた何重ものトラップと隠蔽を解除して、箱の中から転移の腕輪を取り出す。転移結晶のほうは今使うタイミングじゃないから箱のままにしまっておいて、手にした腕輪を右手首に装着する。…装備するのほうが正しいのか?

 忍の先輩が残したこの腕輪は、回数無制限で一度行ったことのあるダンジョンないの入口へ飛ぶことができる固有アイテムで、いつでもダンジョンに挑戦することができる重要アイテムだ。重要アイテムに関しては装備者がロスト…つまり死亡してもアイテム自体は消えない。

 ……ゲームの時に味方キャラが死亡すると、2Dの時は死亡した味方キャラが横たわり、コマンドから目の前のキャラを調べることで持っていたアイテムを拾い、3D…VRモードでは実際に目の前に死体が残り、そのキャラに触れることでアイコン…「死亡した〇〇」というポップアップが出現して数秒間キャラに触れることで、アイテムをインベントリ…いわゆるアイテムボックスのようなモノにしまうことができる。

 仲間の死体を見続けさせるというのもなかなかに御大層な趣味をお持ちの開発チーム…いやこれ以上は止めよう。

 腕輪を触りながら発動のキーワードを唱えて目の前の視点と気持ちをリセットする。

「転移、アインストダンジョン」

 目の前の景色がブラックアウトし、1秒後には講堂のダンジョン入口、落とされた先に視点が切り替わった。

「さて、準備運動しながら3階層までおりるか」



「マジで先生には感謝しかない」

 軽くランニングをしながら長柄棒――物干し竿に似た2メートルの金属棒――を振り回しながら一息つく。長柄の鉄棒を目の前の芋虫の型をした魔物を叩きつけて魔素となって霧散させながら、地上にいるであろう先生に謝辞を述べた。

 いやあの人には最初から感謝しかしてないけど。今のところ仇でしか返せてないのが申し訳なさ過ぎてヤバイ。

 だからいつかは恩返ししたいとは思うんだけども、流石に今はクラスメイトのレベルアップが急務で、いつか返せるときに返そう。あと理事長も、今回の件ではお世話になったからな。忘れちゃいけない。

「ふぅ…それじゃ、第3層に行くか」

 2階層の最奥、あの時全員が集まった部屋で、上層へ上がる階段の少し外れた位置。一つだけ色が変わったブロックがある目の前でつぶやく。

 目の前のブロックを押せば、石がひとりでに動き、隠されていた扉が見える。そのまま奥にあった重い石扉を押して解放すると、今までとは違った重苦しくどこか澱んだ空気が流れ込んできた。明らかに上層のチュートリアルとは違い、実戦…命のやり取りが始まる。

 怖気ついている場合じゃない、1組の全員はすでに乗り越えてるんだから、俺だけが置いて行かれるわけには。というか啖呵切った手前、足を引っ張っている現状を打破する必要がある。

 ……というかクッソダサいよな、俺。気づいてよかった…。

 って、落ち込んでる場合じゃない、集中しろ。意識を変えろ。

「……行くぞ」

 一つ深呼吸を入れてパチッと目の前に意識を集中させると、不安定な空気の中を歩きだした。



 学園ダンジョンは周回ゲーとも呼ばれる、初心者のレベル上げにはもってこいの場所だが、アインストダンジョンの中層以降は効率だけ考えれば悪くなく、むしろ良いと言える。

 15層と30層でボス戦はあるものの、オードソックスに難易度が上昇していき、敵は段階を何段か飛ばしで強くなっていく。ただし物理的な硬さが上昇するだけで魔法防御に関してはあまり変わらないため、物理アタッカーにとっては辛く、魔法アタッカーにとっては狩り場だ。事実、ゲーム時代のレベル上げRTA配信者の多くも序盤は魔法を使って何度もレベル上げをしていて、かくいう俺もそういう経験がある。

 現実問題、戦いの基本戦法としては、戦う前にいくら準備を整えられるか、アドバンテージをとれるか、というところに重きが置かれる。それを考えると先行を取りやすいのは魔法で、ダメージも効率も魔法に軍配が上がり、状態異常に関しても魔法でそれがなければアイテムを使う。物理アタックの有利な点は経戦力だが、殲滅力やD(ダメー)P(ジパー)S(セック)でいえば、姫トラは魔法に軍配が上がるため、なんとも悲しい物理アタッカー。もちろん物理が悪いことではないが、相手が悪いとも言えてしまうのは悲しいことかな。

 魔法が一切効かない敵もいれば、耐性持ちの敵もいる。後半になれば一部は完全耐性持ちだったりするので、序盤は魔法一強でも後半になれば割と物理魔法混合編成のほうが効率は良く、特に魔王は特定魔法以外は強い耐性を持っているため、物理アタッカーは最低でも一人必要だ。

 とはいえ、序盤ソロで考えるなら魔法だけで十分。

「炎の中撃魔法(ファイアボルト)! 風の槌魔法(ウィンドハンマー)!」

 背中に棘を生やしたナメクジに向かって赤光が一閃に奔り、続けて発せられた風の膜を覆った巨大な透明の槌が一か所に集まっていた真っ赤な蝙蝠を押しつぶす。威力と制圧力に特化した中級魔法に耐えられるわけもなく7匹の魔物は消失、その場には俺だけが残る。

 敵の配置が換わる9階層の入口で出会った敵との闘いは、2発の魔法で敵を倒すことができた。と言っても今回の魔物が物理に耐性があったため、魔法を使うほうが手っ取り早く倒せただけだが。

「今回はドロップなしか」

 地上の敵は魔族を除くとそのまま獲物が形を残して息絶えるが、ダンジョンの魔物はダンジョンが生成している魔力を糧に産まれるため、模っている魔力が尽きれば霧散する、という仕組みらしく、魔物の意思が残れば思念として魔石かアイテムを残すことがある。

 と、ゲーム時のダンジョン攻略前に美鈴先生から説明があったのを思い出した。

 ちなみに中ボスや最奥のボスはイベントを除いて確定で金とアイテムを落とす。中身はまちまちだが、ドロップアイテムの性能はダンジョン適正レベルの少し上の性能なので、格上ダンジョンなら一線級に、同等ダンジョンならつなぎの装備として使える。格下でも周回すれば金銭対策(金策)にもなるため、ダンジョン攻略は「アイテムボックスがあるなら」という条件付きで推奨なのだ。

 アイテムボックスが無ければアイテムは装備含めて15個までしか持てない。そのうえそれが現実となれば持ち運びは面倒だ。しかしリュックをぶら下げて戦うのはバランスが崩れるため、ショルダーのバックパックを右肩からぶら下げて荷物を運んでいる。これもアイテムボックスと呼ばれる、無制限に荷物を出し入れできて袋内に入れている間は時間経過も起こらないという、超お得な秘宝具を手に入れるまでの辛抱だ。

 やっぱり異世界に来たら絶対コレよな! 俺だってそうする。いや、してる。

「今のところペースは良いけど、もう12時か…」

 カバンから回復薬という名前のMPチャージ薬とカロリーバーと呼ばれる栄養食を取り出し、口に入れながら小休憩。ちなみにカロリーバーはバニラ味、MPチャージ薬は果汁50%くらいのオレンジ味。それぞれ単体で使用するなら美味しいが、食べ合わせは良くなかったとだけ言っておく。

「まだこの階層でも魔法一発で確一いけるのな」

 現時点では中盤の主人公並みに魔法攻撃力を持っていると言えども、どこまで引き下がれるかが問題…と考えていたが、これなら下層までは魔法だけで行けるような気がする。

 持ってきたMPチャージ薬もゲーム時は700まで一気に回復するレベルⅡだから、一回の服薬で満タン近くまで回復できるため、下層までは残り1回までは余裕で行けるはずだ。

 ボール系の弱魔法は一発の消費が10~20前後で中撃魔法も25~30、レベルがあがって属性別の中級魔法―――風属性であれば〇〇の部分は槌魔法―――も、50前後なのでMP消費については今のところ順調。

 朝の9時くらいに1階をスタートして8層階段を下りるまでに約3時間。ほぼランニングと変わらず、むしろ走っている時間のほうが、戦っている時間よりも長い。使い続けたことで3時間程度までに効果時間が伸びた【身体強化(ブースト)】を使ってランニングをしてもこんなに時間がかかるのは、やはりここが現実だからだろうか。【身体強化(ブースト)】が無ければ今頃5階層で息切れしてたに違いない。過去の俺グッドジョブ。褒美に瑛士と千花を助ける権利をやろう。

「そろそろ【身体強化(ブースト)】の強化に手を付けてもいいかもな。移動時間がネック過ぎる」

 そんなことを考えながら、道中の魔物を蹴散らして先に進む。

 走り続けることさらに5時間強。ついに中層のボス前に到着した。9層以降も戦いに時間がかかることはなかったが、道に迷ったため予定時間をオーバーしてしまったのは痛恨の極み。自害自害。再走再走。RTAなら切腹&リトライ間違いなしだわ。

「さて、敵さんのおさらいするかね」

 胸元から一つの小さいノートを取り出してダンジョン情報を確認すると、目的の項はすぐに見つけられた。

「アインスト中層ボスは『ビッグコークスラグ』で、HPが200程度でスピードは遅いが物理は強耐性。特に打撃武器は完全耐性で物理編成では苦戦…」

 控えめに言って、物理型俺だったらここで殺しに来てるわ、こやつ。間違いなく引き返し一択だったろうね。GAHAHA.許さん。

「代わりに魔法耐性に滅法弱くそのうえ弱点を突けば確定クリティカルが発生する。魔法アタッカーなら正攻法で、いなくてもPTで誰か一人でも魔法攻撃できるキャラが居れば攻略可能。弱点が氷系で風と土が等倍で水と火が耐性有り、か」

 これに間違いがなければ魔法一発で倒せるな。アイスボールが100前後で耐性弱点時はダメージ倍率が増えるという氷属性の特性を使えば確定一発…で行けるはず。

「よしいくぞう。おじゃましまーす」

 こっそりと扉を開けて中を確認すると、ゲームの時もよく見た(お世話になった)3メートル大の巨大ナメクジ(ビッグコークスラグ)が鎮座していた。

「情報に間違いはない、なら…【氷の弱魔法(アイスボール)】!」

 扉の中に入って敵が動き始めたのを確認してから、氷の球をナメクジに飛ばす。魔法が当たって一部が凍結し始めるとナメクジが大きな悲鳴を上げ、そして間を置かずに動きが止まって霧散した。

 ちなみに当たり前だが扉の外からは攻撃ができない仕様となっている。これは魔法も同じで扉に入る前に詠唱を開始しても敵に攻撃が当たらず、飛び道具や魔法も含めて、扉を通過する前に「攻撃判定」と認められたものはすべてその攻撃が反射してくるため、扉の中に入って攻撃するしかない。

 いやぁ…【バニシングボール(無属性の超級魔法)】を唱えて、瑛士(俺)が放った白弾の爆発でパーティが扉の前で全滅し(溶け)たのは大変に嫌な思い出でしたね。戒め戒め。ごめんよ瑛士、無謀な選択させて…。綾と愛莉栖と桜もごめんな、あの時一緒に聞いた君たちの悲鳴は今でも忘れないよ……ほんとごめんて。あれ以降一度もしてないんだから、ゆるちて。

「おっしゃ確一成功! しかも魔石まで残ってやがる!」

 これは運が良いのでは!? しかも中ボスの魔石なら使い道がたくさんあるし、夢が広がりんぐ。

 って、これ無属性じゃねーか。ペッ。

 属性別の魔石があれば、武器や防具などを作るときに属性付与や耐性などが付けられるし、投擲武器に使えば属性ダメージが与えられるので割と有効なんだけども。無属性は無属性。無属性に特性も弱点も、そのうえ攻撃魔法に至っては超級未満ではダメージ等倍を超えることはないため、正直言って使うことは一切ない。そんな魔法だから、無属性の魔石が重宝されるのは最上級以上、つまり魔石(極大)でそれ以下は売却用でしかないのだ。

 今手に入れた魔石は中級、つまり魔石(中)になる。魔石(中)の一つ上は魔石(大)だが、これも属性が無ければ使い道はあまりない。せっかく手に入れた魔石なのに、なんともったいないこと…。おお魔石君よ、使い道がないとは情けない。

「いや、実験に使うか。魔石を爆発させたときの被害とかダメージとかが変わってないかも検証しないと」

 一応使い道があったから良かったものの…肩透かし感が否めないのはなぜだろうか。そりゃ無属性だからだよ! ちくちょーめっ!

「そろそろいい時間だし、いったん切り上げるか」

 時間は18時前。

 そろそろ夕食と点呼の時間になりそうだから、続きの攻略はまた明日にしよう。少しでも送れるものならかえでのお小言も増えかねない。

「明日で25層、明後日に30層いけば良いか? 魔法の開発は攻略が終わってからで、その次に武装の調整…いや先に錬金か? ツリー面倒だから序盤から手を出せば…いやでも時間かかるしなぁ…」

 圧倒的に時間が足りない…。

 レベル上げという名の経験はダンジョン攻略で熟せるにしても、ほかが手つかずで同時進行が難しすぎる。イライラ棒しながらオワタ式のゲームをさせられている気分だ。やってられんわこんなクソゲー。

 15階層の奥にある休憩部屋を開けて転移陣を起動する。

 休憩部屋は各ボス部屋の奥にあり、だいたい6畳くらいの部屋で中央に白紫のラインが入った転移魔法が記録された魔法陣――通称:転移陣――があり、その転移陣の上に乗って移動先を指定することでその階層まで一瞬で移動できるなんとも便利な魔法陣だが、今回は直接帰るので使わない。本当に便利な転移の腕輪。

 言うまでもないが、瑛士と恋人ヒロイン一人のふたりパーティでダンジョンアタックする場合、ヒロインの数人がこの休憩部屋でおせっせイベント(比喩表現)が発生する。おっせせイベントが発生しないキャラや恋人にならなかったヒロイン、そして男キャラでも必ずイベントスチルは発生するので、とても大変にグッド(語彙力低下)。

 ちなみにシナリオは、「せせり、愛莉栖、晴臣、和樹」がコイツカッケーの話で、「千花、胡桃、桜」がヒロインカワイイヤッターな話、残りの他キャラは瑛士との関係を深める展開。そしてサブヒロインにもならないイベント限定キャラやDLC追加キャラを連れていくと特別なストーリーを読むことができるので、全パターンを網羅するまでかなり時間がかかったのは良い思い出。

 無駄なことに考えが逸れながらも15階の転送先を記録してから腕輪を起動する。

「転移、俺の部屋」

 あ、そういえばアイツがそろそろ転入するじゃねーか。さっき名前出たのに、6月の転入イベントのことをすっかり忘れてた。

 ……もうどうにでもなーれッ!



わかるまーん。

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