招かれざる来訪者#02
「あんた…っ!」
「あれ? 簡単だね」
対峙している相手も拍子抜けしたような表情をしている。
「ハヤトを返して!」
ライカは両手を竜化した状態で襲い掛かるが、それをかわす謎の人物。
攻撃の速度は決して遅くなく、むしろ以前よりも早くなっているが一切当たらない。
「まぁ落ち着きなよ。これは以前からの取り決めだし、僕が責められる理由は何一つないじゃないか」
「うるさいっ! 気付いていた上でやったんでしょ!」
「流石、ライカちゃんだ。その通りだよ」
ライカの両手を捕まえ拘束する。
振り払おうとするがその手は外れない。
「くっ…! あんたキースでしょ。そうじゃないと、私の攻撃を防げる説明がつかない」
「そうだね。もしこれがリンだったら、そこの魔王様はもう死んでたいたよ。だから感謝してほしいぐらいだね」
「ハヤトを元に戻して!」
抵抗をしながら訴えるライカに対し、どこまでも落ち着いた様子を見せるキースと呼ばれる人物。
少し呆れながらキースは話する。
「暴れるのをやめてくれるかい? 僕は肉体と魂を切り離しただけで、殺していない。もし戻ってくることが出来るとしたら、魔王様次第だよ」
ライカが暴れるのをやめたのを確認してから両手を話す。
おなしく背を向け隼人の下へ戻っていく。
「隙を見せて攻撃を仕掛けるのは無駄だよ。僕は魂を見ることが出来るから」
小さく舌打ちをしながら、ライカは秘密裏に作り上げていた雷の矢を消す。
「さて、こんな状態で申し訳ないけど、この人のことを教えてもらえるかな? この人が本当の魔王じゃないことはわかっているし、魔王として存在を固めようとしているのは魂を見て理解している。僕はもしこの状態から戻ってこられるのであれば、魔王様として認めて就くことすら決めている」
「勝手に魂を覗けばいいんじゃない?」
不機嫌そうに答えるライカ。
隼人の前に座り込みただ戻ってくるのを待っている。
「ライカちゃんも知っている通り、僕は魂に関与することが出来るのであって、記憶を読み取るわけじゃない」
「なんで今のタイミングでここに来たの。あんただってベルザから手紙をもらっているはずでしょ。あいつは四天王全員に送っていると言ってたから」
「手紙? 何のことだい? 僕の手元にもリンにも手紙はわたっていないよ」
「…どういうこと?」
「ベルザさんのことだから、きっとまた何か企んでいるんじゃないかな?」
キースと呼ばれる人物は魔王に使える四天王の一人のようだ。
ただベルザからの手紙は受け取っていないらしい。
ライカは少しの疑問を抱きながらも答えは見つからないと諦める。
「あと、ちゃん付けは止めて」
「それは無理だねライカちゃん」
食い気味で答えるキース。
「あんたもあのロリコン騎士も気安いのよ」
聞こえるようにため息をつく。
「これは私の独り言だから」
そう切り出して隼人の話を始めた。




