再戦 隼人vsライカ#01
「ようやく出てこれたよ」
「なんじゃこのちんちくりんは?」
目をぱちくりさせながら、初めて見る生き物に興味を持つ。
「自己紹介とかいろんなことをしたいけど、そんな雰囲気じゃないよね。まずは止めないと」
「そ、そうじゃな。それにしてもあの剣が黒剣じゃったとは… 確かにこれなら勝算は十分じゃ。だが、なんじゃ… さっきからライカの様子がおかしい」
再び戦闘態勢をとる中、ライカは一切動きを見せない。
「閻狐、ライカの魔力に変化が起こっているって話だったよな」
「潜在していた魔力が馴染み始めたみたいだね。今まで制御されていた分が、一気に溢れ出そうとしているよ」
「つまりは今からが本番ってことか」
深く注意をしながらライカの様子を伺うが、すぐにライカに異変が起こる。
背中から魔力で形成された純白の翼が現れる。
明らかに先ほどまでとは違い、その場の空気を重く圧倒する魔力を放つ。
「隼人、走って!」
閻狐の声に反応してライカに向かい走り出す。
するとすぐに後ろで破裂音と共にクィルの驚く声が響く。
走りながら振り返ると、さっきまで隼人が立っていた場所の地面に穴が空いていた。
「ボクの声に合わせて動いて! 右!」
急な方向転換をした後に、再び破裂音が聞こえる。
幾度か繰り返しながら先に進んでいくが、そのたびに破裂音が響く。
「なんなんだこの音…」
「魔力を高圧縮した雷魔法だね。ボクの尻尾が変な感じだもん」
閻狐のふくよかな尻尾の毛は、静電気によりさらに大きく膨らんでいる。




