ヴェノワール森林へ#02
「さて、侵入したはいいがどっちへ向かえばいいのかはさっぱりだな」
辺りは同じ景色に囲まれており、方向感覚を失うのに時間はかからない。
「それに足元が少し緩いな」
雨の降ったあとの地面のような緩さがあり、歩けば足跡が残る。
「さてと、この木でいいか」
この世界に来るときに女神からもらった小さな剣。
首にかけたままでほとんど使う機会がなく、ライカと初めて手合わせをした時に取り出した以来だ。
「目印を付けるぐらいにしか使い道がないな」
刃を守るためのキャップのような鞘を外し、木を少し切りつける。
その際に少しばかりの違和感を覚える。
「なんだこれ?」
想像以上に刃の通りが良い。
「普通の木に見えるけど、そういった材質なのか?それともこの剣の切れ味なのか?」
少なくとも木材の感覚とは異なる。
「まぁいいか。とりあえずは右側の木に印を付けながら先へ進もう」
隼人は少しずつ深部へ進み始める。
しかししばらく進んでみたものの、一向に景色は変わらない。
「これは本格的に迷ったか?」
一応目印を付けながら進んではいるものの、景色が変わらないことに対しての焦りがある。
「まっすぐ進んでいるなら、何もなければ反対側に出るはすなんだけど、一向にその気配すらないってのは精神的にもキツイなぁ…」
足元が悪いことも合わさり疲労が重なる。
「一旦戻るかぁ…」
来た道を振り返るがそこも同じ景色で頭がおかしくなりそうになる。




