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リライト・デッドエンド  作者: 未確定ログ
第1部 欠けた世界編 -観測-
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第十八話 観測者

空の割れ目の奥。


そこには“世界”がなかった。


神崎悠真はようやく理解し始めていた。


あれは別世界ではない。


“こちらを見るためだけの場所”だ。


通学路。


三人の結衣は動かない。


完全に静止しているわけではない。


微かに揺れている。


まるで“どの状態で確定するか”を待っているように。


悠真は一歩前へ出る。


篠宮が止めようとする。


「やめろ」


「今近づけば、“焦点”が固定される」


悠真は問い返す。


「焦点って何だ」


篠宮は空を見上げる。


「観測者が“どの結果を現実として採用するか”だ」


その瞬間。


空の割れ目がわずかに震える。


そして。


初めて。


明確な“声”が降ってくる。


「誤差を確認」


世界の音が消える。


人の動きが止まる。


風が遅れる。


悠真は理解する。


今、自分たちは“観測の中心”に置かれている。


空の奥。


形はない。


だが“存在の向き”だけがある。


それは悠真たちを見ている。


人間を見る目ではない。


“結果を見る目”だ。


篠宮の声が低くなる。


「……直接認識された」


悠真は振り返る。


「そんなにまずいのか」


篠宮は即答する。


「観測者に“個人”は見えない」


「見えるのは“結果だけ”だ」


三人の結衣が同時にこちらを見る。


そして、一人だけが微かに遅れる。


そのズレ。


そのわずかな誤差に。


空の視線が集中する。


悠真は息を止める。


空の声が降る。


「異常値を確認」


その瞬間。


遅れた結衣だけが輪郭を失い始める。


「結衣!」


悠真が叫ぶ。


しかし篠宮が腕を掴む。


「触るな!」


篠宮は歯を食いしばる。


「観測者は“違い”を消す」


「整合しないものは残せない」


悠真は怒鳴る。


「じゃあどうすればいい!」


篠宮は答えない。


答えられない。


その時だった。


輪郭を失い始めた結衣が、小さく笑う。


「やだ」


その一言。


世界が止まる。


空の割れ目が揺れる。


街全体がノイズのように震える。


スマホが激しく鳴る。


【拒絶反応を確認】

【観測結果:不一致】

【再演算不能】


篠宮の顔が変わる。


「……あり得ない」


空から降りていた圧が、一瞬だけ押し返される。


観測が揺らぐ。


悠真は見た。


空の奥にある“視線”が、初めて乱れた瞬間を。


三人の結衣が同時に口を開く。


「兄貴」


だが今度は重ならない。


三人が別々の声で言う。


「私は消えたくない」


「私はここにいる」


「私は——」


最後の一人だけ、言葉が途切れる。


空の割れ目がさらに広がる。


そこから“別の視線”が増えていく。


スマホに最後の通知。


【観測競合:発生】

【対象保留】

【第二観測群 接近中】

読んでいただきありがとうございます。

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