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次の居場所

 ギルドを出た俺たちは言葉を交わすことなく、あてどなくぶらついていた。息苦しさがまだ残っているような気がして、声を出したいと思えなかった。カイルが沈黙を破るまで、全員同じ感覚に沈んでいたのだろう。

 「で、どーする?」

 「…どーしましょ。」

 勢い良く啖呵を切ったまでは良いが、よく考えたら出来ることが無い。ガイリ自身は直接何かしたわけでは無いし、証拠も無い。対して俺たちは食い扶持を失ってしまったのだ。敵対したことに後悔は無いが、結果、困っているのは俺たちだけだ。今の所持金で何日持つか、頭の中で数え始める。護衛の仕事でも探すべきだろうか。さっきまで壮大な話し合いに参加していたのが嘘みたいだ。

 「先に確認しておきたいことがある。」

 「何だ?」

 「君達はガイリを殺すべきだと思うか?」

 「それは…」

 シェルドの問いに、俺は二つ返事で同意は出来なかった。やり方は気に食わないが、制御された魔法の研究が不幸な事故を失くせる可能性があることを否定出来ない。

 「魔物連合は奴に利用されていた。この借りは必ず返すつもりだ。」

 「俺も殺すべきだと思う。理由が何だろうと、他の誰かの命を使い捨てにするなんて間違ってる。放っといたらカイエル達も何されるかわかんねー。リオスは違うのか?」

 「俺は、殺したいとまでは思ってない。やり方を変えて欲しいだけだ。」

 2人に比べたらぬるい考えだと思う。それでも、ガイリを殺して何もかもが上手くいくとは思えなかった。

 「…まーアイツが具体的に何するかはわかんねーしな。ちゃんと調べてから決めても良いかもな。」

 「悠長だな、君達は。いつ追手が来てもおかしく無いんだぞ?」

 「え?俺ら追われるの?」

 「相手は組織なんだ。賞金が懸かってもおかしくはない。」

 「マジ?俺ら賞金首!?」

 「なんでちょっとワクワクしてんだよ!」

 この状況でも楽しむ心を忘れないとは、カイルの能天気は才能だな。人とすれ違うだけでも強張る俺とは大違いだ。

 「とにかく、一度南へ行くのはどうだ?魔物連合なら確実に匿ってくれる。」

 確かに、シェルドがいれば匿ってくれるかも知れない。最悪、魔境の方へ逃げ込めば追って来れるやつはまずいないだろう。…生き延びれる確率も下がっていくけど。

 「一応、候補はもう一つあるぞ。」

 「何処だ?」

 「教会、というか大聖堂だ。」

 「あー…ルシエか…」

 「そうか。君達は聖女様と知り合いだと言っていたな。手を貸してもらえればガイリに関する情報も入ってくる可能性がある。そっちの方が良いかも知れない。だが、何故そんな沈んだ反応なんだ?」

 言えない。ルシエ本人はせいぜい普通の人で、頼りになるのはルシエの周りだけだということを。その周りも、ギルドとの敵対を選ぶとは思えない。

 「詳しくは言えないんだが、協力してくれるかは分からないんだ。」

 「可能性はあるんだろう?なら先に聖女様に会ってみよう。」

 「いいのか?連合の様子が気になるなら、一旦ここで別れるっていう手もあるけど。」

 「正直な話、私は君達との協力体制を途切れさせたく無い。魔物連合は味方だが、戦力も高くは無いし、保守的な考えが強い。私が先陣を切ろうにも、ガイリとの相性が悪過ぎる。」

 シェルドのボディは鉄製だ。磁力を自在に操るガイリ相手には勝ち目が無いだろう。

 「君達に頼らないとガイリに手が出せないんだ。一緒に行かせてくれ。」

 「わかった。なら、大聖堂に行ってみよう。」

 危険が迫っているかも知れないと思うと、この場に留まりたくない。そんな気持ちにせっつかされるように、方針が固まった俺たちはルシエが普段いるはずの南東部の大聖堂へ向かった。

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