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7・おかえりという言葉

「ツキ、笑顔になっててよかったな」

「うん! でも、ツキが笑顔になった理由が婚約者なのが気に入らない! 私のツキなのに!!」

ルルはふんわりと柔らかそうな耳がかかっているピンクの髪を弄りながらほっぺを膨らませた。

リジンはそんなルルを見て笑った。

「今度、あたし達も会わせてもらおうか。ツキがずっと惚れてるなんてどんな人か気になるし」

「ルルは会いたいけど会いたくないような……」



ツキは2人と別れてマネージャーの大木の待つ車へと向かった。

そして、大木の車を見つけると助手席に乗った。

「大木さん、お待たせしました」

「ツキちゃんお疲れ様〜。今日の撮影もバッチリだったね! さぁ疲れたでしょ! お家まで送るよ」

「ありがとうございます」

大木はツキがデビューした当初からずっと支えてくれている優秀な女性マネージャーだ。

「送り先は新しい方のお家でいいのよね?」

大木はニヤニヤしながらツキに聞いた。

「はい。これからは新しい家に送り迎えお願いします」

「了解! じゃあ出発するねー!」

そう言うと大木は車を発進させた。

ツキはずっと疑問だったことを大木に質問した。

「大木さん、私が婚約者作ったこと怒らないんですか?」

「なんで怒るの?」

「だって、こんな大事な時期に、婚約者がいるなんてもしバレたら大事になるじゃないですか」

少し不安そうな表情をするツキを見て、大木は言った。

「確かに婚約者の件がバレたら大変なことになるかもしれない。でもね、私はツキちゃんが幸せならそれでいいの」

「大木さん……」

「それに、男装してるイケメンアイドルに実は婚約者いるとか面白い展開すぎない?」

「お、大木さん……」

大木のアイドルのマネージャーとも思えない発言にツキはガクッときたが、それでもこんなに優しいマネージャーはいないだろうと少し嬉しい気持ちになった。

そして大木と色々な話を、主に零の話をしていたらマンションに到着した。

「じゃあツキちゃん、ゆっくり休んでね! 明日からの学校も楽しんで!」

「はい! ありがとうございます。それじゃあ、おやすみなさい」

ツキは車から降りて、マンションへと向かった。エレベーターに乗り、25階のボタンを押して部屋に向かう。

ガチャ。

「ただいま……って、さすがに起きてないか」

時間はもう0時近く。さすがに零はもう寝てると思い、静かにあがるとリビングのドアが開いた。

「あっおかえり。遅かったな」

「えっ……起きてたの……? た、ただいま……!」

「こんな時間まで仕事大変だな。お疲れ様」

零の少し眠そうな様子を見ると、恐らく帰りを待っててくれたのだろう。

「起きて待っててくれたの? あ、ありがとう……」

「ツキが仕事頑張ってるのに、先に寝るの申し訳なくてな」

零がふわぁと欠伸をするのを見て、ツキは驚いた顔から笑顔になった。

「ふふ、ほんとに嬉しい。やっぱり零くんが婚約者でよかったよ」

ツキの緩んだ笑顔を見た零は照れたような表情になり、口を隠すように手を当てた。

そんな様子の零を見て、ツキは思った。

(帰りを待っててくれる人がいるって幸せだな)

「明日から学校だし零くんは先に寝てて。それとも、私と一緒に寝る……?」

「な、何言ってんだ!? 俺は自分の部屋で先に寝るから、おやすみ……!」

「うん、おやすみ」

ツキはお風呂に入り、学校の支度をしてベッドに横になり、一日の幸せを噛み締め、眠りについた。




「じゃあ俺は生徒会の仕事で先に学校行くから、また後でな」

時間は6時半。玄関で零は靴を履きながら、まだ寝巻き姿のツキにそう言った。

「うん、行ってらっしゃい。また後でね」

零はツキに見送られ、家を後にした。





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