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その後



「いい加減にしないか」

「すみませんでした・・・」


 今ルエは正座させられ、腕を組んで凄むジグに見下ろされている。そんな彼女は全身が赤い果実でベチョベチョに汚れていた。


『すみませんでしたー』

『すみませんでした!』


 そう言う小鬼たちも同じく汚れている。そしてその部屋も・・・。


  原因は言わずもがな、ルエたちが供物で届いた大量のトマトを投げたりぶつけたりして遊んだからだ。部屋中潰れたトマトとその果汁まみれになっており、ジグは先程まで自室で本を読んでいたことを激しく後悔した。

 片付けや掃除は小鬼たちにやってもらうとしても、ドレスの染み抜きは自分でやらなくてはならない。それに大量のトマトを駄目にしてしまった。


 なんだか頭が痛くなってきた。


「食べ物を粗末にしない」

「すみませんでした。つい調子に乗りました」


 ジグは大きなため息を吐き出す。


 お互いに好かれる努力をと約束したものの、ルエが大人しかったのは最初の3日だけだった。残念ながらいくら努力しようが性格は生来のもの、なかなか変えることはできない。

 一方で、ジグもできるだけ優しくとは思っていても、ルエが悪さをすればきつく説教をしてしまう。そこも生来のものなのか、ちゃんと言わなければ気が済まないのだ。


「ごめんね、怒ってるよね」

「当たり前だ!」


 ジグの大声にルエは小さくなっていた身体をさらに縮ませる。ジグは再び大きなため息を吐いた。


 ルエが騒いでジグが怒る。それはなにもかも変わらない。


 だけどすべてが変わらなかったわけではない。


「はあ、それにてもすごい量のトマトだな」

「今年はトマトが豊作だったらしいよ。甘くて美味しい」


 顔を上げてへらっと笑うルエに、ジグは屈んで彼女の頬についているトマトの汁を舐めあげた。その生暖かい舌の感触にルエは飛び上がる。


 ルエはまるでトマトのように顔を真っ赤にし、ジグはそんなルエを見て笑った。


「そうだな。美味しい」


 恋人になった。ただそれだけで全てが上手く回り始めた。結局のところ、二人とも恋人に対してはうんと甘くしてしまうのである。






(「怪我にだけは気をつけてくれ」「どうしようジグが優しすぎる」)




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