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祭り(前夜)

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


パレードまで日がありません。


ではでは~

「うーん、もうちょっとなんだけどな」

「主様、いかがしました?」

タコーは、ヘインリーの屋敷に着替えを取りに来たついでにキャサリアにもたれて一服していた。


「近衛の間者に言うのもなぁ」

「主様!」

「冗談だよ。どうだい?近衛の方は」

「はぁ、傭兵部隊のように揃っておりません」

「気にするな。近衛は、騎兵と騎馬なんだから、本当の馬に行進の訓練は難しいだろ」

キャサリアは、朝からの訪問者の応対で、近衛の訓練は休んでいた。


「まあ、タコー様、キャサリアばかり構って。わたしの膝も空席ですわ」

「殿下、目の前でくつろいで失礼いたします。いかがなご用でしょうか?」

「タコー様にご用はございません。そこで誰か髪を撫でている羨ましいキャサリアにお願いしに来たのです」


「殿下、いかようなご用でしょうか?」

タコーの髪を撫でるのを止めて、尋ねる。

「キャサリア、臣下ではなく友人としてお願いを聞いて欲しいの」

「はあ、できることでしたら」

「破瓜するように、とあるお方をわたしに仕向けて欲しいの」

「ぶっ!」

「で、で、で、殿下ー?」

ジョシティアの爆弾発言で、タコーは吹き出し、キャサリアは素っ頓狂な声をあげた。


「べ、別にタコー様とは限りませんわ」

「そうか。じゃあ、頑張りたまえ」

「あーん、タコー様のイケズー」

ジョシティアのジェラシー(若干ツンデレ)作戦は脆くも一言で退けられた。


変な盛り上がり方をしているところにココモたちが戻ってきた。

彼女らは、タコーの旅に是が非でもついていくつもりで、未熟を理由に置いて行かれないように修練を日課に組み込んで日々鍛えていた。


娘たちの顔を見たので、タコーは宿舎に戻ろうとしたが、捕まってしまって、逃げるに逃げられず、夕食が済むまで解放されなかった。

何日かぶりに甘える娘たちは、ジョシティアに遠慮して、一線は越えなかった。


タコーは、女性の知恵を借りることを考えた。

「俺が頼める立場じゃないんだが、傭兵達に恥ずかしくない程度の装飾で、安価で揃えられるモノって何かないか?」

「「「「「「うーーーーん」」」」」」

「じゃあ、宿題」


 = = = = =


予行演習の当日、本番さながら軍の行進が行われた。


王都民の印象はまずまず。

足並みの揃った部隊の行進は見ごたえがあった。

議会の心証が良くなったおかげで、パレード後の屋台の費用を国庫から捻出することが承認された。

市場から一斉に食料が減ってしまった。

一瞬、不満も出たが、前もって商人たちに買い付けを根回ししておいたおかげで、品不足は一時的なものだった。


タコーは、活気づいた市場を見て歩く。

肉屋が篭いっぱいの色鮮やかな羽根を抱えて、裏路地に捨てに出てきたのを見かけた。


閃いた。

「なあ、この羽根、もらっていっていいか?」


 = = = = =


パレード前日、各部隊は準備で大忙しだった。

装備を磨き、服を繕い、革を磨いていた。



傭兵部隊も同じはずだったが、元々の装備は老朽品で、制服に至ってはヨレヨレだった。


「あー、これじゃ、やっぱり見劣りするだろうな」

「タコーさんが洗濯してくれても、これじゃなぁ」


「おー、どうした、誰か死んだか?」

「どうしたもこうしたも、こんなにヨレヨレじゃ、見窄らしいですわ」

タコーが声をかけると落ち込んだ返事が返ってきた。

どうしても、装備で劣る傭兵たちは、元気がない。


「じゃあ、制服もって並べ。俺が制服に魔法をかけてやる」

「え?タコーさん、術師さんもこなしているんですかい?」

「じゃねえどな」


タコーは、傭兵たちの服に【こてアイロン】を使って、服のしわを伸ばしていった。

パリッとした制服は、繕い痕が有っても、石鹸の洗濯も相まって清潔感が増した。

何よりアイロンの概念が無かったので、見る者の注目を集めることだろう。


後の方は、やり方を教えて、傭兵たちに任せた。

こて式にしたおかげで、焦がして穴をあけることを避けられた。


「仕上げはこれだ」

タコーは、市場から宿舎まで抱えて運んできた篭いっぱいの羽根を床に置いた。


「この中から2本の羽飾りとして縫い付けろ。剣士は革の兜の左横、弓兵は弓の先端、槍兵は左の胸、弩兵は帽子だな」

「なんか、女みていじゃねえですか?」

「何言ってるんだ。この羽根飾りの意味はだな、2本が忠誠心を表していて、1本は国王陛下、残り1本は部隊の仲間たちへだ」

「「「「おおーーーーー」」」」


「戦死したとき、羽を墓標にするんだ。愛する人に忠誠を誓って、羽根を送るのもいいだろ」

「「「「な、なんと!?」」」」


「そ、そんな意味があったんですかい?」

「お、おれ、なんか感動しました」

「傭兵部隊だからって、正規軍に負けていられねえ」


「あのなー。今作ったんだよ」

「「「「ええーーーーー」」」」


 = = = = =


王都は、パレードの話題で持ちきりだった。

噂が飛び交う。


そこで、なぜか、誰も知らなかった傭兵部隊の羽根飾りの意味が酒場娘を中心にまことしやかに語られる。

2本の羽飾りが忠誠心を表していて、1本は国王陛下、残り1本は部隊の仲間たちへとか、戦死したとき、羽を墓標されたり、愛する人に忠誠を誓って、羽根を送ったりとロマンチックな話題は、男女問わず好印象で伝わり広がっていった。


日も暮れないうちから酒場に羽振りのいい異邦人がやってきて、傭兵の羽飾りについて酒場娘たちに語っていたらしい。


 = = = = =


「陛下、最後の提案なのですが」

「ジョ、ジョシティアの輿入れは、認めぬぞ」


「陛下、心配するな。俺だって、ジョシティア殿下が幸せになることを望んでいるんだ」

「お、おう、そうか。では、提案とは?」

「殿下の隣にフィーを座らせたいと思う」

「よ、よろしいのか?」


「まあ、フィーにしてみれば、興味がないことだろうが、俺から頼んでみるさ」

「それはありがたい」


「ただな、そうすることで力の均衡、特に帝国と大公国からの圧力が高まるかもしれないぞ」

「それは、いつか訪れることと覚悟している。今は、王国の改革を止めるわけにはいかない」

「いい覚悟だ。俺も微力ながら手伝うよ」

「タコー殿、あなたの影響力は、すでにこの大陸全土に及んでいるのではないですか?」

「うーん、そうだなー。まあ、知り合いは多いかもな」

「全く謎の多い方だな」

国王は、タコーの底の知れない部分に感心した。


「どっちかと言えば、因果っていうやつだな」

いかがでしたか?


体育祭っぽく盛り上がってきました。


次話をお待ちください。



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