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後悔の先

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


フィー アトイーシャ アーエルフル

フィーのフルネームです。


ではでは~


いつの間にか眠っていた。

おおよそ眠れないと思っていたのに。


自覚以上に薄情な男なんだと自分が嫌になる。


罪もない娘がこんな自分を庇うために命の灯を消した。


こんな男のために・・・


 = = = = =


タコーは、身を起こし、卑怯で薄情で何度でも裏切る矮小な自分が生きていることを恥じた。


抱きしめていたフィーだったモノが外套ごと無い。

おそらく、薄情に惰眠を貪る卑怯者から引き離し、弔いの準備をしているのだろう。


「ふっ。やっぱり、俺は、這い蹲って死場を探す方が似合っているんだろうな」


不意に空腹を感じた途端、腹が鳴る。

「腹が空っぽの時に腹を切った方が見苦しくないだろうな」


とにかくアーエルフル領に向かう用意をするため、身なりを整えるために厩を出る。


思ったより日が高くなっていた。

「こんな時間まで、のんきに寝てたのか」

見苦しい自分に腹が立つ。



「アニキー。おはよー」

先にタコーを見つけたココモがいつもと変わらず挨拶を投げてくる。

(この子も俺の薄情さに気が付けば、傷も浅い内に暮らせるだろう)


「タコー様、おはようございます」

コッカがココモに遅れまいとやや速足で許に来る。


タコーは、何か違和感を感じる。

(いつもと変わらない?夢なのか?)

「昨晩の火竜退治、お見事でした。近くで拝見できてよかったです」

「ほんと、すごいよねー、人族が手持ち武器だけで火竜をつぶすなんてねぇー」

横に寄り添うようにふたりが歩く。

(ああ、こんな薄情な男に気を使ってくれているんだな。優しい子たちだ)


「タコー様、おはようございます」

「あ、ああ。おはよう。あの「お嬢様がた、お食事の用意が整いました」・・・」

「はい。アニキ。ご飯食べよ」

「タコー様、ささ、お疲れかも知れませんが、何か召し上がらないと」

ふたりに引きずられそうになりながら、連れていかれるタコー。


「タコー様、酒精も用意できております」

「え?マ、マリア」

「はい?」

マリアの言葉に驚きを隠せないタコー。

その驚きを歯牙にもかけないマリアだった。


 = = = = =


「お嬢様は、近衛隊総本部へ状況を確認に向かわれました。気にせず食事を先に済ませてとのご伝言です」

「あ、ああ」


促された席に座る。

ココモとコッカが狭苦しいほどに両側に詰めて座る。

今は、その心遣いが嬉しかった。


真正面にヴェルンが座っていたが、気のせいか少し不満そうだった。


マリアがいつも通り給仕をしてくれた。


侯爵夫妻は、所用で王宮に出かけて不在とのこと。

おそらく、フィーが亡くなったことで王国の先行きについて話をしているのだろう。


メニューは、肉と野菜の煮込みだった。

果実酒を添えてくれた。

「タコー様、火竜退治お疲れさまでした。被害を食い止めたのは、紛れもなくあなたの功ですよ」

「マリア、労ってくれるのは、ありがたいが、俺にとって被害は大きすぎたよ」

「タコー様・・・」


「ねえ、アニキ。ボクでも同じ?」

「縁起でもないことを言うな。俺が死んでも長生きしてほしいんだよ。お前たちがこんな俺よりちょっとでも長生きして、幸せになってくれないと・・・」

タコーは、こみ上げてくる感情を抑えるために黙るしかなかった。

しかし、涙はフィーの面影を思い出した瞬間に熱く吹き出してしまう。


「旦那、ウチもその中に混ぜてもらっていい?」

「・・・、・・・」

タコーは頷くしかできない。

苦い焼けるような感覚の喉から言葉が出そうもない。


 = = = = =


「タコー様、火竜退治お疲れさまでした。被害を食い止めたのは、紛れもなくあなたの功ですよ」

「マリア、労ってくれるのは、ありがたいが、俺にとって被害は大きすぎたよ」

「タコー様・・・」


「ねえ、アニキ。ボクでも同じ?」

「縁起でもないことを言うな。俺が死んでも長生きしてほしいんだよ。お前たちがこんな俺よりちょっとでも長生きして、幸せになってくれないと・・・」


いてもたってもいられない。

あの人のそばに寄り添いたい。

あんなに憔悴しきって、あんなに悲しそうに。


気が付けば、すぐそばまで身を寄せていた。

そして、つい喉から出てしまった言葉。

「あなたがいないと幸せじゃない」


あの人はわたしを見てくれた。

くしゃくしゃになった顔で見てくれた。


「髪、焼けた。恥ずかしい」


 = = = = =


「あなたがいないと幸せじゃない」

聞き覚えのない声が聞こえた。

それでも、誰の声かすぐにわかった。


幻聴なのか?いや幻聴でもいい、もう一度あの子の声が聞こえたんだ。

声の主を探るように顔を向けるとそこにできそこないのミイラのような人?がいた。


咄嗟に言葉が出ない。

その姿は、昨夜とは明らかに違う。


「髪、焼けた。恥ずかしい」

彼女の表情は顔に巻いたさらしに隠れていたが、はにかんでいるのが見て取れた。


彼女は、生きていた。

いや、生き返った。

いかがでしたか?


すみません。伏線を張っていました。


次話をお待ちください。

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