徘徊する災い
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ここでの火竜は変温動物ではないので、気温に関係なく動き回ります。
ではでは~
王都の旧市街は、混乱を極めた。
火竜は肩高5m、尾は3m。
旧市街の路地をぎりぎり動けるサイズだった。
火竜が手当たり次第に火を放つ。
軍隊が出動し、川や井戸から水を汲み、火災現場に水をかける。
しかし、火竜の吐く油脂の炎は、水では消えなかった。
家屋の延焼を防ぐのが精いっぱいで、火竜を仕留めるまで手が回らない。
魔法使いか法術師が油脂そのものの温度を下げるしか火が消えなかった。
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「なんか騒がしいな」
「タコー様、おそらくは火事です」
「どんどん、燃え広がっているようです」
ケンタウロスのふたりは、家屋の炎焼で発生する匂いで火事を察知した。
「旦那、どうする」
「うーん、バケツリレーくらいは手伝えるか」
「「「バケツリ何?」」」
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「フィー。火事みたい。手伝いに行こう」
「うん」
「じゃあ、マリア。行ってきます」
「はい、お嬢様がお戻りになりましたら、加勢いたします。お気をつけて」
「「行ってきまーす」」
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「主様、火竜が火元のようです」
キャサリアがつぶやいた。
「火竜?」
「はい、火竜です。・・・もしかして、ご存じありませんか?」
「噂に聞いたことがあるが、街中にいるものか?」
「いえ、普通は郊外で放し飼いしております」
「そんな危ないものを放し飼いなのか?」
「火竜は、おとなしい性質の上に、火を放つ習性は有りません」
「じゃあ・・・。今はそれだところじゃないな。火事場に急ごう」
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「ココモ、下がって。・・・火の精霊よ。戯れを止めて、術に従い、治まれ」
フィーの言葉と同時に炎が消える。
「「「「お、おおー」」」」
消火活動の兵士たちがどよめく。
「さーー。みんな、あぶらに砂かけて!そうしたら、燃えにくくなるから」
ココモの指示に兵士たちがしたがって、燃えていない油脂に砂をかけて回る。
「じゃあ、次いこう」
「「「「おー」」」」
いつのまにか現場指揮を執っているココモ。
「ココモ、こっち」
フィーが火竜の存在を感じ取れた。
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「なるほどなぁ。火竜は、近接戦闘じゃ狩れないか」
「はい、胃液を吐かれると防ぎようがございません」
キャサリアがタコーの疑問に答える。
「弓はどうなんだ?」
「皮膚がかなり硬いので、刺さりません。通常は攻城兵器でなぎ倒します」
コッカが通常の戦術を説明する。
「市街地じゃ、無理か。ヴェルン、発射器を」
「はいな。ところで、ガンとはピッタリの呼び名ですね」
「そうか?」
「はい、試射の音そのまんまです」
「まあ、そういうモノかもな」
タコーは、ヴェルンからガンを受け取る。
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発射器、タコーがこの世界にやってきて、懇意になった鍛冶師に作らせた武器。
簡単に言えば、後ろ込めの小銃。
ただ地球の小銃とは少し異なる。
ライフリングは施さず、弾丸ではなく装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)を模した鋼鉄の矢を高射速で撃ちだす。
中折れ式の単発銃で、銃身から銃床が直線的なデザインで、ピストルグリップが付いている。
露出した撃鉄があり、弾薬の尾部にある雷管を叩き発射する。
無煙火薬(部外者には秘術扱い)を作り、可能な限り速い初速で矢を発射することで、この世界で、個人携行できるモノでは、類を見ない武器に仕上がった。
タコーとしては連発銃、できれば、連射式にしたかったが、コイル状のスプリングの生産、あるいは同等の代用品が見つからなかったので単発式に妥協した。
回転式拳銃が作れなくもないが、弾薬を作るのに手間がかかり過ぎるので諦めた。
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風に乗った木の燃えた匂いが強くなってきた。
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「口を狙えーーーー!」
兵士たちが弓や弩を構える。
「放てーーーー!」
火竜に十数本の矢が引き寄せられるように飛んでいく。
火竜は目を瞑り、顔をそむけてやり過ごす。
コ、コンと手ごたえのない音を立てて、皮膚に跳ね返される。
矢が軽く射速も足りず、強靭な皮膚に食い込むことができない。
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「う、でかいな」
タコーの路地を狭そうに這いまわる火竜を見た最初の印象だった。
「あ、アニキ」
「おお、ココモたちも来てたのか?」
ココモたちとタコーたちは合流した。
「で、どうだ?あの火竜、どうにかなりそうか?」
「うーん、ボクじゃ相性が悪くって。ごめんなさい」
「いいさ、気にするな」
ココモの頭をくしゃくしゃと撫でるタコー。
「あーん、髪の毛くしゃくしゃだよー」
嬉しそうにごちるココモだった。
「あなた、危ない!」
タコーは、フィーの悲鳴にも似た叫びに気が付いた時には、開かれた火竜の口が見えた。
いかがでしたか?
火竜、なかなか厄介ではないかと思います。
次話をお待ちください。




