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留置場を抜け出す旅人

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


誘拐事件が地味に国際問題になりつつあります。


ではでは~

≪タコー、タコー≫

「おー、リフィ。どうかしたか?」

「今からそっちに行っていい?」

「いいぞ。俺も頼みたいことがあるんだ」

「頼み? 脱走でもするの?」

「まあ、そんなところだ」

「クフフ。また面白いことするんだ」

「面白かねえよ。念話、消耗するから、早くしてくれ」


タコーは部屋の真ん中にしゃがんだ。

しばらくするとタコーを中心に空気が歪み始める。


ゆらゆらと大きな水玉が浮かんでいるような、水ほど光は屈折していない。


タコーを包む歪みから、小神族に似たリフィが姿を現す。



「また、こんなところに。タコーって、牢屋に縁があるよね」

「牢屋じゃないよ。敷布だって、清潔だぞ」

「何が違うのかわからない」

「今度、教えてやろうか?」

「いらない」

「即答だな」


「だって、声が聞こえちゃうじゃない」

「何のつもりだ?」

「ナニのつもり?」


「ほほー、この非常時にえらくお気楽だなぁ?」

「痛-ぃ、頭をグリグリするのはやめてー」


「このままだと外交問題だな」

「えー、なんで?誘拐だから、ただの事件じゃない?」

「そうはいかない。外交館は外国だ。そこで事件が起こった。ましてや王族の誘拐事件だぞ」

「なんか、めんどくさい」

「なかなか面倒だ。王国内に知れ渡ったら、大公国の陰謀だと騒ぎだすかもしれない。あのかわいい王女さんだか、いてっ」

「別に形容詞はいらない」

「なんだよ、いきなり蹴りやがって」

「タコーが悪いんだよ」

「あー、そうですか。続けてもイイデスカ?」

「フン!」

「大公国側も事件と無関係であることが証明されるか、事件が解決されて真相がはっきりしないと陰謀説だけが独り歩きを始めてしまう可能性がある」


「だったら、この国滅ぼしちゃおうよ」

「こらこら、どうしてそうなる」

「タコーだって迷惑してるでしょ?」

「迷惑だが、国を滅ぼしたくなるほどじゃねえよ」


「つまんない」


「ほほぉー、みんなが一生懸命暮らしてる国を簡単に考えてくれてるなぁ」

「痛-ぃ、頭をグリグリするのはやめてー」


 = = = = =


「よぉ、みんな元気だったか?」

リフィに連れられタコーは留置所をあっさり抜けて来ていた。


脱走前に郊外の墓地を合流場所に選んでいた。

人気が少なく、目撃されてもオカルトネタ扱いで注目されることはないと考えたからだ。

「アニキ、出られたの?」

「ああ、リフィと一緒だったらな」

「タコー様だけでは・・・」

「俺にそんな能力は無いし、あったら、もっと器用にやってるさ」

「あなた、発音に訛りがない」

「よく気が付いたな。リフィが近くにいれば、念話が重なるからそう聞こえるみたいだ」

「「「ほー」」」

3人の妻(自称)は感心した。


「言いつけ通りキャサリアには内緒にしておきました」

「いいのぉ?あとでキャサリア拗ねちゃうよ」

「ココモの言うとおり」

「仕方ない。脱走を知ってたら、共犯者だろ。それは、かわいそうだ。俺たちと一緒に逃げることになったりしたら、実家に帰れなくなる」


「タコーってば、お人好しで優しいね」

リフィが茶化す。


ココモは心配に心配を重ねて問う。

「じゃあ、どうするの?」

「脱走を帳消しにできるくらいの仕事をすればいいだけさ」


 = = = = =


男たちが酒盛りのする中で、泣きながら食事をする少女がいた。


国の誇りとも喩えられた美貌は、見る影もなかった。

凌辱を受け、憔悴し、心が折れ、誰も護ってくれず、助けも望めない。


ある男を苦しめて死なせることを望むことだけが彼女を生かしていた。

(あいつの死を知るまでは死ねない。わたし以上に苦しみを味あわんことを)


 = = = = =


「さぁて、リフィ。監禁場所わかるか?」

「うーん、ここからだとちょっと遠いかな。彼女の一部か持ち物があるとわかるんだけど」


タコーは、王国のお家騒動は予想していた。

外交館の職員が眠らされ、姫だけが誘拐された。

誰も害されていない点から、事件後にも事は続き、死者が出なかったことで王国内の世論が反発は抑えられる可能性が大きい。

そうなると今回の事件は、姫奪還、職員の覚醒の条件を満たせば、一応の解決となるだろう。


「王国に火種は残るが、そこに首をつっこむのは、ただのおせっかいだな」


「タコー。やっぱり、わかんない」

「そうか。 ・・・外交館に乗り込むか」

「ついでにリンカに会っていく?」

リフィが提案する。


「それは裁判後だな」

「なんでさぁ」

「手を出さないでいられる自信がない。痛い、痛い、千切れる、千切れる」

4つの手がタコーに一斉に襲い掛かり抓っていた。


 = = = = =


「マリア、リフィさんとみんなを知らない?」

「存じません、お嬢様」

「わたしだけのけ者なの?」

「差し出がましいようですが、お嬢様。お嬢様方は、お嬢様のお立場にご配慮して動いておられると思います」

「でも、一言くらい言ってくれても」

「作戦であれば、知らないほうが良いこともございます」


「マリアは、あれほどリフィさんを警戒していたのに」

仕える主に微笑みかけただけ(・・)の来訪者に襲い掛かり、仕掛けながらかすり傷一つ負わせらなかったメイドは言った。

「あの方がその気になれば、大陸の国々は滅びましょう。かつて、その力を見たことがあります。その時と同じ香りを感じました」


突拍子もない話を飲み込めないでいるキャサリアは、やはり、のけ者にされたように感じるのだった。

いかがでしたか?


解決の糸口が見つかりました。


次話をお待ちください。

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