ヘインリー家の訪問者
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
アイハイロード王国に災いが忍び寄ります。
ではでは~
「お酒おかわりー」
「はーい、喜んでー」
「茹で芋もお願い」
「ハーイ、よろこんでー」
「炙り肉」
「炙り肉追加ー」
「はーい、喜んでー」
「さあさあ、お兄さんも飲んでよね」
官士は、美女たちに混じって料理を口にしても味がしなかった。
隣国の姫と姫と対等に会話をするふたり。
おそらくは身分が高いと思われる。
そんな中に交じって酒盛りをして酔えるはずもなかった。
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「なぜだ、どうして死なない?くそっ」
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「キャサリア、どんな方なの?」
「旅人です」
「じゃあ、ご身分は?」
「おそらくは平民です」
侯爵夫人の顔色が、不機嫌なものに変わった。
「あなた、自分の立場が判っているの?あなた王国貴族なのよ。侯爵家の娘で、爵位も持っているのよ。他国の王族との婚姻も可能なのよ。それなのに平民だなんて」
「お言葉ですが、わたしたちは彼を愛しています」
「わたし、たち?あなた、その男に騙されてるわ」
「騙されてはおりません。わたしたちが彼を愛しているだけです」
「あなた、初めての男性に舞い上がっているだけなのよ」
「母上は、あの方を知らないから」
「あなた、それが騙されていると言うのよ。地位も無いような女たちと同じ扱いなのでしょ」
「母上、実を言いますとわたしが一番立場が低いのです」
「嘘を重ねて、どういうつもり」
「義姉妹は、お二方のご令孫ココモ、ケンタウロスのコッカ、アーエルフルの御令嬢フィーです」
「ちょ、ちょっと待って、キャサリア。あなた騙されてるのよ。ただの旅人にそのような方々が関わるわけないでしょ」
「ココモは、大公閣下、統領閣下がご存知でした。コッカは以前戦場でお会いしています。フィーは統領閣下直々にご紹介いただきました」
「キャサリア。でしたら、敬称をつけないのは失礼ではなくって?」
「マミー、みんな名前で呼び合っております」
「そんなこと!?」
「皆から、名前で呼ぶように言われて、慣れてしまいました」
「はあー、じゃあ、ご招待するとお越しいただけるのかしら?」
「はい、みんな喜んで来てくれると思います」
「ちょ、ちょっと待って。そんな支出が今の時期できるわけないでしょう。領民に税金をかけなくてはいけないのよ」
「いいえ、大丈夫です。野宿でも平気なくらいです」
= = = = =
王宮の通用門から出た地味だが頑強な馬車が、数騎の騎馬を伴って大通りを走り抜ける。
やがて、ヘインリー家の王都屋敷の車寄せに到着する。
馬車から降りてくる来客をメイドが無表情で出迎える。
「マリア、久しぶりだね」
「陛下、かしこくも玉体をお運びいただき、名誉なことでございます。客間にてお待ちいただきますよう、お願い奉ります」
「マリア。側室になってくれないか?妃も喜ぶから」
「ご案内いたします。こちらへ」
メイドは、特に反応もせず、スタスタと歩き始める。
「マリアー。ボク、国王だよ、年上だよ」
「・・・」
客間に案内された国王は、あれやこれや無言のメイドに話しかけるも返事をもらえなかった。
= = = = =
「アニキ、ご飯食べていないんだよね」
「タコー様なら、大丈夫よ。だって、タコー様だから」
「でも、水さえ飲まないのは心配」
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「このような夕刻に陛下直々とは、何用ですか」
「実は、アーエルフルの姫が来ていてな、逗留先が決まっていないんだよ」
「はぁ、さようで」
「そこで相談なんだが、ここに泊めてもらいたい」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ。おっと、これはご無礼を。そんな支出が今の時期できません。領民に税金をかけなくては、いけなくなります」
「それは大丈夫。国費を当てるから」
「はぁ、まあそういうことなら。でも、どうしてウチなんですか?」
「姫とキャサリアは、仲が良いと報告が上がってきていたんだが」
「娘とですか?マリア、ちょっと呼んできてくれる?」
「はい、旦那様」
沈黙を守っていたメイドが主の依頼に返事を返す。
「マリア、後で話し相手になってくれる?」
国王が、流れを読んだようにメイドに懇願する。
(はい、陛下と言ってくれ)
「チッ」
「マリアー、今舌打ちしたよね?チッて言ったよね?ボク国王だよ、年上だよ」
メイドに相手にされない国王だった。
= = = = =
「裁判、いつになるかなぁ?」
タコーは、陽が落ちて真っ暗になった部屋の中でひとりごちていた。
= = = = =
「お嬢様、客間までお越しください」
「ダディにお客様のはずよね?」
「はい、陛下がお越しです」
「陛下が!すぐ行きます」
「父上、キャサリア参りました」
「ああ、帰ってなくて助かったよ。早速だけど、アーエルフルのお姫様と仲がいい?」
「あ!はい。姉妹のように接しています」
「そうか!それは良かった。実は、陛下から、姫をここに迎えて欲しいと頼まれたんだよ」
侯爵は、事の次第を簡単に説明した。
「キャサリア、報告は本当だったんだね。でも、あの気難しい小神族とどうして?」
「えー、まー、色々ありまして」
「細かくは聞くまい。じゃあ、侯爵よろしくな」
「賜りました陛下」
国王は特に詮索することなく、侯爵の承諾を得た。
「陛下、キャサリア、お願いがございます」
「キャサリアが私に願い事って、珍しいね」
「申し訳ございません」
「いいさ、気にするな。で、何かな?」
「わたしが証言する裁判のことなのですが、早く開廷できないでしょうか?」
「姫が訴えた裁判だね」
国王が、明らかに気落ちして確認する。
「はい。被告は、無実を訴え、断食を始めていると思います」
「法務は、大臣に委ねているから、例外は認められないよ」
「そうですか」
「でも、今回の裁判は特殊だから、頼んでみるよ。お姫様も引き受けてもらったしね」
「陛下・・・、ありがとうございます」
「マリア」
適齢期のメイドの突然の謝意に国王は破顔したのだった。
いかがでしたか?
マリアの素性は書いていこうと思います。
次話をお待ちください。




