↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/140

ヘインリー家の訪問者

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


アイハイロード王国に災いが忍び寄ります。


ではでは~


「お酒おかわりー」

「はーい、喜んでー」

「茹で芋もお願い」

「ハーイ、よろこんでー」

「炙り肉」

「炙り肉追加ー」

「はーい、喜んでー」

「さあさあ、お兄さんも飲んでよね」


官士は、美女たちに混じって料理を口にしても味がしなかった。


隣国の姫と姫と対等に会話をするふたり。

おそらくは身分が高いと思われる。


そんな中に交じって酒盛りをして酔えるはずもなかった。


 = = = = =


「なぜだ、どうして死なない?くそっ」


 = = = = =


「キャサリア、どんな方なの?」

「旅人です」

「じゃあ、ご身分は?」

「おそらくは平民です」

侯爵夫人の顔色が、不機嫌なものに変わった。


「あなた、自分の立場が判っているの?あなた王国貴族なのよ。侯爵家の娘で、爵位も持っているのよ。他国の王族との婚姻も可能なのよ。それなのに平民だなんて」

「お言葉ですが、わたしたちは彼を愛しています」

「わたし、たち?あなた、その男に騙されてるわ」

「騙されてはおりません。わたしたちが彼を愛しているだけです」


「あなた、初めての男性に舞い上がっているだけなのよ」

「母上は、あの方を知らないから」

「あなた、それが騙されていると言うのよ。地位も無いような女たちと同じ扱いなのでしょ」

「母上、実を言いますとわたしが一番立場が低いのです」

「嘘を重ねて、どういうつもり」


「義姉妹は、お二方のご令孫ココモ、ケンタウロスのコッカ、アーエルフルの御令嬢フィーです」

「ちょ、ちょっと待って、キャサリア。あなた騙されてるのよ。ただの旅人にそのような方々が関わるわけないでしょ」

「ココモは、大公閣下、統領閣下がご存知でした。コッカは以前戦場でお会いしています。フィーは統領閣下直々にご紹介いただきました」

「キャサリア。でしたら、敬称をつけないのは失礼ではなくって?」

「マミー、みんな名前で呼び合っております」

「そんなこと!?」

「皆から、名前で呼ぶように言われて、慣れてしまいました」


「はあー、じゃあ、ご招待するとお越しいただけるのかしら?」

「はい、みんな喜んで来てくれると思います」

「ちょ、ちょっと待って。そんな支出が今の時期できるわけないでしょう。領民に税金をかけなくてはいけないのよ」

「いいえ、大丈夫です。野宿でも平気なくらいです」


 = = = = =


王宮の通用門から出た地味だが頑強な馬車が、数騎の騎馬を伴って大通りを走り抜ける。

やがて、ヘインリー家の王都屋敷の車寄せに到着する。


馬車から降りてくる来客をメイドが無表情で出迎える。

「マリア、久しぶりだね」

「陛下、かしこくも玉体をお運びいただき、名誉なことでございます。客間にてお待ちいただきますよう、お願い奉ります」

「マリア。側室になってくれないか?妃も喜ぶから」

「ご案内いたします。こちらへ」

メイドは、特に反応もせず、スタスタと歩き始める。

「マリアー。ボク、国王だよ、年上だよ」

「・・・」

客間に案内された国王は、あれやこれや無言のメイドに話しかけるも返事をもらえなかった。


 = = = = =


「アニキ、ご飯食べていないんだよね」

「タコー様なら、大丈夫よ。だって、タコー様だから」

「でも、水さえ飲まないのは心配」


 = = = = =


「このような夕刻に陛下直々とは、何用ですか」

「実は、アーエルフルの姫が来ていてな、逗留先が決まっていないんだよ」

「はぁ、さようで」

「そこで相談なんだが、ここに泊めてもらいたい」

「え、ちょ、ちょっと待ってくれ。おっと、これはご無礼を。そんな支出が今の時期できません。領民に税金をかけなくては、いけなくなります」

「それは大丈夫。国費を当てるから」


「はぁ、まあそういうことなら。でも、どうしてウチなんですか?」

「姫とキャサリアは、仲が良いと報告が上がってきていたんだが」

「娘とですか?マリア、ちょっと呼んできてくれる?」

「はい、旦那様」

沈黙を守っていたメイドが主の依頼に返事を返す。


「マリア、後で話し相手になってくれる?」

国王が、流れを読んだようにメイドに懇願する。

(はい、陛下と言ってくれ)

「チッ」

「マリアー、今舌打ちしたよね?チッて言ったよね?ボク国王だよ、年上だよ」

メイドに相手にされない国王だった。


 = = = = =


「裁判、いつになるかなぁ?」

タコーは、陽が落ちて真っ暗になった部屋の中でひとりごちていた。


 = = = = =


「お嬢様、客間までお越しください」

「ダディにお客様のはずよね?」

「はい、陛下がお越しです」

「陛下が!すぐ行きます」



「父上、キャサリア参りました」

「ああ、帰ってなくて助かったよ。早速だけど、アーエルフルのお姫様と仲がいい?」

「あ!はい。姉妹のように接しています」

「そうか!それは良かった。実は、陛下から、姫をここに迎えて欲しいと頼まれたんだよ」

侯爵は、事の次第を簡単に説明した。

「キャサリア、報告は本当だったんだね。でも、あの気難しい小神族とどうして?」

「えー、まー、色々ありまして」

「細かくは聞くまい。じゃあ、侯爵よろしくな」

「賜りました陛下」

国王は特に詮索することなく、侯爵の承諾を得た。


「陛下、キャサリア、お願いがございます」

「キャサリアが私に願い事って、珍しいね」

「申し訳ございません」

「いいさ、気にするな。で、何かな?」

「わたしが証言する裁判のことなのですが、早く開廷できないでしょうか?」

「姫が訴えた裁判だね」

国王が、明らかに気落ちして確認する。


「はい。被告は、無実を訴え、断食を始めていると思います」

「法務は、大臣に委ねているから、例外は認められないよ」

「そうですか」

「でも、今回の裁判は特殊だから、頼んでみるよ。お姫様も引き受けてもらったしね」


「陛下・・・、ありがとうございます」

「マリア」

適齢期のメイドの突然の謝意に国王は破顔したのだった。

いかがでしたか?


マリアの素性は書いていこうと思います。


次話をお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。